陰さして 雨の振りそむ 窓外の 木立の揺らぎ 電線も かすかに震え 水溜り さざなみ立ちて
ガラス戸を 二枚隔てて 独りきり 事務室の中 気が付けば 物寂しくて 窓を開け 雨音を聞く
祭太鼓が聞こえたような
夕暮れの街並みのなか我二十一本のバラ抱えて走る
一年前の君の誕生日。 夜景の見えるレストランで、 僕が選んだプレゼントは かわいいペンダントと、婚姻届。
一年経って。 我が家で開く、ささやかなパーティ。 オードブルと、小さなケーキと、 ピンクのバラを21本。
お酒も用意したけれど、 みんな弱いもんだから、 慌ててコーラを買い足しに行って。 にぎやかにすぎていく、今年の君の誕生日。
わいわいと過ぎ行く君の誕生日テーブルのケーキやや融けおりて
雲きえてメールの向こう汝の空も晴れておりしや退院の日に
メールで繋がっている人。 文字の中、断片的な情報。
大きな病気。 眠れぬ夜。 決意の手術。
次に届いたメール。 ごくいつもの様子で。 乗り越えた力強さが見え隠れ、 ほっとした泣き顔もちらちらと。
乗り越えていつもの部屋にもどる汝にいつものようにメール贈らん
ひるさがり ふとてをやすめ まどのそと こさめふりそむ
へやのなか しめりまさりて われひとつ ためいきをつく
うららかな はるのようきを まちこがれ はるはすぎゆく
くもみれば こころはくもり あめみれば こころはしずむ
ふとおもう やまぬあめなど ありはせぬ いつかははれる
ひるさがり やすまりしてを うごかしむ かけごえともに
そとはそと じぶんはじぶん くものまに かすかなひかり さしこむをみる
連休明け、久々の仕事。 やっとこさ終わって、くたびれ声でカエルコール。 受話器の向こうから、妻の元気な声。 とっさに、僕も声を元気にして。
空に、まん丸お月様。
お土産はハーゲンダッツのチョコレートアイス、 そんな新婚240日目。
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