オミズの花道
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『 有相執著 』
2005年09月26日(月)


水上がいかに口説かれるのをかわして行ったりしても、それが上手になって来たとしても、この商売が口説かれ続ける業種である事には変わりが無い訳で。

相変わらずそのあたりで四苦八苦してたりするんですね。


特に今の時代は人間関係が希薄になって来たから、単発勝負に出てこようとする男性が多く、男性にウンザリ感を感じるよりも、この時代のお手軽な傾向にウンザリ感を強く感じます。

そもそも飲み屋に来る、来て女性を口説く、そういう色の強い男性は『何故飲み屋で口説くのか?』と言えばずばり、
1)風俗じゃ味気ない。恋愛がしたい。
2)自腹は切りたくないが、接待場に女性が居るから上手く行けば一発。
3)本能だよ本能。
の3パターンなんじゃないかと思います。

こちらも子供じゃありませんからこういう『動機』は結構なんですが、これをお手軽に済ませようとする、その手段に食指が湧かない・・・・のが、女性という生き物なんですね。


まあ、こういう初歩的な口説きには、可愛い女の子を何人も付けて相手の目線を散らしたり(回し続ける)、ちょいとキツめにお断りすればいいのだから、私個人の問題は皆無と言って良い。
そもそも私自身がお手軽な傾向にウンザリしているのだから、困る必要なども無く後は手段をこうじるだけで充分なのだ。

例えば・・・・彼等の3つの傾向をやんわりと指摘し、『中途半端に口説くと痛い目に遭う』うっとおしい女を演じてあげたり、相手のプライドを損なわないように泣いた振りをすれば、大概の男性は自分のほうから距離を置いて行ってくれる。

彼等は特定な女と密な付き合いなど望んでいないのだから、自分もその方が助かると思わせ、他の女に目移りしている自分を耐えながら見守る健気な女(水上)、などになってあげれば良い。

誰も彼も『己の非』である事を嫌いしがみ付くのだから、それを刺激しなければ意外と容易いものだったりする。


だが、本当に困ってしまうのは長年を共にしてきたお客様からの口説きだ。
特定な女と密な付き合いを望む、というパターン。

前述のような新規の(?)口説きが30あるとしたら、上記のような本当に困ってしまう口説きが1の割合で在る。
これが本当に困ってしまって、私に虚脱感と焦燥感と疲労感を産みつける。

大袈裟でなく今までの努力と積み重ねを一気に崩されたような気持ちになるのだ。


男性という生き物は繊細なのだが、こういう冒険を厭わない無鉄砲さがあって、それにこちらは感心と共にため息をもらす。
馴染んだ相手が離れて行くかもしれない、そんな寂しくて怖い行為は、私には出来そうにも無い。

寝る、寝ない、という行為・・・・そんな形ある現象がそれほど重要なのか。
じゃあそれですべてオッケーなのか。


先日まさにこのパターンがあって、ちょっとお疲れ気味な水上なのである。

上手くかわしたとは思うのだが、まだまだ安心は出来ない。
男って生き物は、本当に難解な生き物だ。




いやいや。
お手軽にウンザリしているのに、難儀にもウンザリしてしまう水上。

自分の事が一番難解だったりしますね。






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『 一水牽愁 』
2005年09月21日(水)


最近忙しくて風景を見る余裕など無かったのだが、あぜ道の脇に彼岸花を発見した。
ああ、もう秋なんだなあと思う。

私にとってはこの花が一番秋を感じさせる。


花を育てているとこの時期は、種が実る、果実が実る、という「収穫」の目出度い時期ではあるのだが、私はかえって嬉しいはずのこの時期を、実がなる故にか物悲しく思ったりする。

初秋のこの短い期間はどこか憂いを含んでいて、・・・・それが急に冷たさを感じる風に焦燥感を煽られるせいなのか、収穫とか実りとかの結末の形を見せられるからか、は良く解らないのだけれど、追い立てられるような感覚が心に残るのだ。

多分、昨日まで暑かった風が急に冷たさを帯びてくると、移り変わりのスピードに気持ちが付いて行かないのかなと思う。

春の風を運んでくる冬の季節の終わりより、秋の風を運んでくる今の時期の方が、時間の流れを早く感じる。

まったくどこまでも貧乏性な事だ。


ところで、にゃんこ。

決して太っている訳ではないのですが、生後1年未満なのに5キロもあるってどうなんでしょう?

ブリーダーさんに聞くと父猫が体格の大きい子で、その遺伝なのかも・・・・と云う事らしいですけれど。本当かなあ。

デカイ体でも心は遊び盛りの少年。
でも怖いんですよ、迫力あるの。

あの柄でウロウロされると生物としての防衛スイッチが私にも働いて、MAXでは相手出来なくなって来ました。
すっげ〜爪が太いし。掻き切られちゃうと流血だよ、絶対。


でも夜中に家に帰って、ちょこんと座ってお出迎えしてくれる姿は可愛くて可愛くて。

うにゃん?とか言いながらスリスリされると疲れも吹っ飛びます。
お風呂にも遊びに来て、ずっと私にまとわり付いて離れません。
(唯一私と同衾できるオス、と真田さんに笑われたり。)

セーフティゾーンがあるとしたら、私にはそれがにゃんこ。


そう思うと、にゃんことくっ付いて暑くないこの季節も悪いもんじゃないですね。





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『 一薫一蕕 』
2005年09月20日(火)


うちのような大きい店は一長一短であって、良いことばかりではない。
最近女の子の間で盗難事件が続いていて、店側も難儀している。


盗難に合う代表的な物としては、お土産のお菓子が多い。
在籍が40〜50人居る大型店は口座持ちの女性も多く、お土産の量も半端では無いので収納しきれないが故に置場が決められているのだが、そこから頻繁にお土産が無くなるのだ。

死角にあるそのお土産置き場から、最近頻繁に物が無くなっていく。
一個千円程度のお土産といえど、個数が重なれば馬鹿にならないものだ。

同じ口座持ちが自分のお土産をけちって他の人間のを使っている、とか派遣の女の子が来ているときには必ず盗難がある、とかヘルプがくすねている、とか実しやかに皆は言うのだが。

いずれにせよ、腹が立つと言うより気持ちが悪いし、悲しい気分にはなるね。


水上はと言えば、節約して聖庵の800円セットだったり、850円の堂島ロールだったり、かたや奮発してポワールのチーズケーキだったりするのでクローク預かりとなり、この置き場に置く事は無いから被害に遭わずに済んでいる。

まあ、正直言うと物が欲しいのではなく、爽快感を味わいたいから物を盗む、という病的な子が多いこの業界だから、これくらいの小知恵は口座持ちも働かせておいたほうが良いように思う。

いくら根絶したくとも、人が多く集まれば悪事は絶えることは無く、善行は通り難し。
悪事を働かせないようにする、も責任の一つではあります。






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『 飛花落葉 』
2005年09月15日(木)


前回書いた問題は解決。
取り敢えず、週一の方を一人ゲットした。
あとはまぁ、何とかなるだろうと思う。


私には多分、努力というものを除いたとしても、何か巡り合わせが良いというか、幸運と言うか・・・・そういうモノがあるような気がする。

人生において、物事や仕事にとことん餓えを感じたり、恐怖を感じたり、焦燥感に駆られたり、は勿論人並みにあるのだが、いつも最終的なギリギリの所で何とかなって来た。

占いはあまり信じないが、個々の人生において星回りというものはあるのかも知れないなぁと思う。

最近にゃんこを飼い始めてますますその傾向が強くなったから、ひょっとしたら知らぬ部分の肩の力が抜けて、柔らかさが物事を良い方向に向かわせているのかも知れない。

そうすると星回りというより人間心理の分野なのだろうけれど。



真田さんにも最近、私は柔らかくなったと言われる。
諦めとも違うし、開き直りとも違うし、飄々としているのとも違う、ただ楽そうに呼吸をし…すいすい泳いでるように見える、と言うのだ。

実際は彼を相手にも、相変わらずドキドキしたり喧嘩したり気恥ずかしくなったりしているのだが。

ただ出会って2年も経てばそりゃ多少は落ち着いて当たり前なのであって、意識してなくてもお互いの波を自然に流せるようにはなっている。

それが彼の言う形のものならば、私達の間柄も安定して来た、という事なのだろう。

相変わらずお互いが大好きで、会えそうな時は時間を割き合い、会える努力をし、進むでもない褪せるでもない関係を維持している。



私の年令になると、関係の発展より持続の方が課題になってくるから妙なものだ。

どれだけの時間をその人と過ごせるか?とか、共に何を見て語り合うか感じ合うか?が重要で、相手にとって一番になりたいとか、相手が欲しいとかはさほど重要ではない。


男女になるとどうしても『離れる』という結末があって、それが年令を重ねると思ったより苦痛になる。

若い時はその苦痛を味わっても立ち直りが早かったから、恋愛の結果を求める事にも意義を見いだし、貪欲に挑んでいった。

だが、体についた傷の治りが悪くなるのと同じく、心の傷も治りが悪くなるのだろうか、とにかく今は・・・・壊さないように壊さないようにしている自分が居るのだ。

いや、そうすることが苦痛では無くなっていると言うか、むしろこの関係を壊さないこと、その行為自体に恋をしているようだ、とさえ思う瞬間がある。



忙しい私が、この事を考える時には少しだけ時間も緩やかに進み、柔らかい気分になれるのはどうしてだろう?

きっとこの疑問に対する答えも、先の人生に落ちているはず。



今、若葉の名残りを惜しむのと同じ気持ちで。






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