オミズの花道
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『武士は喰わねど高楊枝』
2003年05月30日(金)


さて、ストーカー君である。

最近は切り離し作戦が成功して、落ち着いた定番のお客様として固定しつつあった。
実はこの人、ミナミに出て来て初期の頃、私が遊びに行っていた店で見初められた人なのだが、最初は切っても切っても追いすがってきてかなりうっとおしかった。
良く居る粘着質系の男性で、このタイプの頭を良くすると若造社長になったりするのだが、こういうタイプのお客様はお客様と言えどキッチリ躾け、ままならぬ時は容赦なく切り捨てるのが私という高慢ちきな女なのである。
周りの評価としてマルチプレーヤーな水上だが、どないもこないもならんもんはならん。
サクサク切ってしかるべし。月に35〜50万落とす割と良いお客様ではあるが、要らんもんは要らんのだ。

良く周りとかママに『よくそんな思い切った行動が取れるわね』と言われたり、『しんどい人でも引っ張って行けば良いのに勿体無い』と言われるのだが、私にしたらそんな奴に手間をかけてるより他の枝葉や新規開拓をして動いた方が、時間も労力も無駄にならないような気がして堪らないのだ。
こういう気性だから最大限に努力はするが、ある程度まで面倒を見て無駄だったら手を離す。
確率論かなとも思うのだが、自分が他所に出向いたり、新しい事に目を向けなければ新しいお客様も手に入らないのではないだろうか。

ところがこやつ、切っても切ってもまた追いすがって来る。
この一年間もう何度となくイエローカードを出し、電話も着信拒否にし、言い訳は許さなかった。
それでも泣きついてくる。病的なくらいに追いすがって来る。
こうなると傍目から見れば(店とかママからとか)私はただの冷酷な女でしかなく(いや、実際そうなんだけどさ)、段々とストーカー君が可哀想だとか言う意見が出て来て向こうに有利になってきた。で、渋々こちらが折れていたのだが・・・・不本意だぜ、まったく。

で、水上は切り離し作戦を決行した。今まで人を頼るとか、貸しだぜって世界はうっとおしいんで嫌いだったし、組むなら自分より実力のある人でないと修行にならんので避けてはいたが、もうこうなったら仕方がないと言うか、背に腹は変えられんと言うか、とにかく私にとっては最終手段だったのである。
さて、どういう手段かと言うと、同伴の時にお店の女の子を何人か巡回して同席させたのだ。
要するにヘルプちゃんにヘルプしたんですね。
3〜4人ほど巡回していただきました。(みんなありがとお〜。)
で、じっと見ていてストーカー君と馬の合いそうな子に、ここ最近ずっと私の同伴を援助して貰っていた。
その子にも同伴ノルマはあるから、その子にとっても願ったり叶ったりだったし、ストーカー君も目が散ったのか私に対する執着心を少しずつ無くし、すべて穏便に万々歳に事は運んでいたのである。

ストーカー君も最近ではその子に気持ちが傾き、その子を気に入って来店し、私はちょっとだけ挨拶に行けばいい、というパターンが続いていた。こういうパターンは実に有り難い。労せずして売り上げが上がるのである。色も抜ける。(っていうか他所に擦り付けてるだけなんだが)上手く行ったぜ、わ〜い、なんて思っていた。思ってはいたのだが。

ところが丁度一ヶ月前の事である。
コヤツこともあろうに料金を値切ってきやがった。


・・・・。
・・・・。
切れましたね。
こりゃもうレッドカードです。
今度という今度は勘弁がなりません。

自分の気に入った子が居る店で値切るとは、遊びを全く理解してませんね。何を考えているんでしょう。値切るなら他所で値切るべきだっちゅうの。
今までの私の苦労は何だったんでしょうね?アホらしくなりますね。お前の耳はちゃんと脳味噌に連結しているのか、機能を果たしているのかオラオラって感じですか。

大体この話をヘルプちゃんが知ったらどんな気持ちでしょうね?
ディスカウントの客に回されてる自分を情けなく思わないでしょうか?そんな安い扱いを受けたら、馬鹿にされてるって思うのは当たり前でしょうがね。
しかも自分で采配してディスカウントなら納得もするでしょうが、私の客だし売り上げだし、彼女に何の得があるんでしょうね?そういう事は考えないんでしょうか?
ストーカー君の仇名の如く、自己愛の塊ですね。相手の気持ちはどうでも良いんですね。

即座に返答しました。
『絶対マケてなんかやらない。』

その日、早速ヘルプちゃんに『同伴しなくていい、引っ張らなくていい、電話も嫌だったら出なくて良い』と告げ、何故そうなったか彼女には全てを話し、了承を得ました。
さて、それから一ヶ月が大変でした。店側としては奴ひとりでバイトの二人分のお給金は出る売り上げですから、呼べ!引っ張れ!とせっつかれましたし、ヘルプちゃんには悪いので別の同伴に回って戴く段取りを組み、何とか凌ぎました。
こうなるとね、口座の私じゃなくって上層部はヘルプちゃんにプレッシャーをかけて来るんですね。それをブロックするのもホントに疲れましたです。

で、ストーカー君。一ヶ月の間ヘルプちゃんに電話をかけまくり『ご飯だけでも付き合って欲しい』ですと。アホか。誰が行くっちゅうねん。
で、先日。とうとうストーカー君から私に泣きが入りました。どうしても遊びに来たいんですと。よござんしょ、来るならいらっしゃいまし。
ただし、
『これから先の値切りは一切許さん。』

そう断言しました。水上は根性がひん曲がっているのでむしろこの手の輩からは、鬼になって搾り取れるだけ搾り取る主義です。嫌な女だと思うなら思えって感じ。口座を怒らせるとこんなに手間がかかって余計な時間もかかって、尚且つ自分の株が落ちるのだと、ストーカー君も身に染みただろう。(染みて欲しい・・・・が、染みてねえかもなあ)

それが出来ないなら来なくて良い。私のお客様では無い。他所に行け。

店の子を安く扱って人間を馬鹿にして、人を踏み台にしなきゃ成り立たない商売なら、しない方がマシってもんだ。
そこまで私をナメてかかって来たのも許せない。
上層部が何て言おうが、要らんもんは要らん。どんだけ店側にせっつかれたって、ビタ一文マケテなんかやるもんかぃ。

マヤさんがボソっと呟く。
『ふふふ。武士は喰わねど高楊枝、・・・・ってヤツねぇ。』



もう嫌いっ!この人っ!



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『自棄糞な無謀者』
2003年05月29日(木)


出没しない水上です。

取敢えず呼吸はしてますが息も絶え絶えです。

原稿落としかけました。
本数を増やしたのは無謀だったかも知れません。


店でも自棄になったのか上の者(常務とママ)に喧嘩を売りました。
『上が仲良くやってくれないと下の者がやりにくい。』と。

私は金を貰ってるからお客様の愚痴は聞きますが、アンタ等二人の愚痴を聞く気はない、景気が良いなら揉め事もあっても良いだろうが、このご時世に中で揉めてて何が実るってのか聞かせてもらいたい、

・・・・ってな事を言いましたね。
皆の前で言ってしまいました。
相変わらず大人気ないっす。


って言うかね、何で発言したかと言うとですね、もう『変えたい』とか『頑張りましょう』とかではなくてね、取敢えず私に愚痴るのは止めて欲しいんです。
聞く方も時間の無駄なのよ。
それを取り除きたかったの。
これでもう暫くは静かにしてるんじゃないかな。


好きなように生きてますぜ、はい。



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『無欲の勝利か怪しい話か』
2003年05月22日(木)


ミナミで働いていると良く道を訪ねられる。
そりゃこんなに沢山ビルがあったら解らないだろうなと、通勤途中の急いでいる時でも、私は割と丁寧に道案内しちゃう方だ。

働いてる私たちも解らなかったりするんだから、遊びに来ている人達ならもっとそうだよね。
代表的なビル、筋の名前が付いているビルならそこそこ解るんだけれども、小さいビルになると殆ど解らない。


で、昨日。

喫茶店で出勤前のお茶を飲んでいたら、隣の席のオジサマが私に道を尋ねて来た。
丁度ネットに繋いでいたからテコテコと検索(サクサクな性能ではないバイ吉君2号)して、オジサマに道案内してあげたのだけれど、いたく感激されて名刺を求められた。

ちょっと戸惑ったがまあいいかとお渡しし、私は自分の店に出勤。
そんな出来事もすっかり忘れていた。
で、店も後半に差し掛かろうと云う11時頃、私は店長に呼ばれて表に出たのだが、ふと見ると、道案内したオジサマが別のもう一人と二人連れで立っている。

『あ、そうそう、このお姉ちゃんや。さっきはありがとうな。助かったで。
 親切に道案内してくれたから1回飲みに来たろ思うて。一見やけどいけるか?』

これにはちょっとビックリ。
店長が良いって言うからオッケーだけど・・・・これはちょっと・・・・っていうか大分困る。
料金を解ってて来るなら良いのだが、後で料金でもめるのなんて嫌だし。
大体道案内する事なんて良くあるから別にいいのに、と思うしね。

まあ・・・・取敢えず今の段階では店客だし、自分の未収さえ無ければいいので入って戴く。
ちょっとこわごわだったのだが、お話をお伺いして行くとかなり美味しいお客様だと解って来た。

と言うのは・・・・座るなりそのお客様の第一声が、
『俺達は貧乏やからな、店長、安くしといてや!』
だったのである。

この瞬間に私は自分で 『こりゃちょっと良い拾い物をしたかな』 と思った・・・・。

土地柄もあるのかどうかは解らないが、大阪の金持ちと言うのは死に金を使わない。
遊びになると尚更シビアで、気に喰わなければビール1本さえ抜かせては貰えないのだ。
その人種の特徴として最初の第一声がこのパターンというのが多く、冒頭のセコイ言葉の割には、最後に出てきた数字に文句を付ける事はまずない。

逆のパターンとして見せ金をチラつかせる人は『必ず』と言って良いほど、支払いの段階で値切って来る。
こういう嗅覚はどうしても女性達皆が鋭くなってしまうから、見せ金の席では酒がピタッと止まる。
それを横目で観察するのも面白かったりするのだが、自分の席では余り有難くない。
水商売とは、意外とこんな心理戦だったりするから面白いんだけどね。


『最近ミナミもうっとおしいなあ。道を尋ねたらすぐ自分の店に引き込みようとしよる。
 そやのにアンタ商売っ気無いなあ。そんなんでホステスとしてやっていけるんか?』

『はあ。息も絶え絶えですが、何とかやってます。 
 商売っ気ですか。余りありませんねぇ。
 マナーの悪いお客様を切る時は容赦なく切りますし、
 同伴ノルマも嫌いな客とはしませんし。
 良くこんな我儘女を雇ってくれてるなあ、
 ってママの事別の意味で尊敬してますよ。』

『はっはっはエライじゃじゃ馬やのう!!おもろいネエチャンや!!』

連れのお客様もサオリ相手に和んでいる。ヨイヨイ。
で、そのお客様同士のコソコソ話を聞かぬ振りで拾って行くと、超有名店の常連だという事が見えて来た。
・・・・こりゃ本当に美味しいかも知れない。だってその店って、うちより高いはずだもん。


顔に出さずに接客を続ける。
羽振りの良さがあるのは良いが、どういう業種の人達か解らないと。

私の嗅覚はヤクザセンサーが付いているのか、銀行員のようなヤクザでもヤクザと解る。
話さずともヤクザ屋さんは目をみるだけで、いやさ町を歩いているだけで解る。
が、このお客様方・・・・その業界ではない。

と、ここで嗅覚は消去法に突入。
サラリーマンではない羽振り、となると自営業。だが不動産、相場師、金融屋ではない。
土建屋でもない、店舗経営でもない、製造業でもない、ビル所有でもない。

言動が相場師のようにやや派手め、
金融屋のような気風の良さ、
だが製造業には無い面倒くさがりな面、
土建屋さんのように着飾らないラフな格好、

・・・・これはパチンコ関係だ。


『お姉ちゃん、ヘネシーあるか?今度女の子連れて来るから抜いておいて。』
私は黒服を呼び、ヘネシーを開ける。
他所の席のお姉様方が興味深そうに見ている。
ここでまた私は店長に呼ばれた。

『水上さん、大丈夫?』
『うん。大丈夫だと思う。』
トイレに行くフリをしたので、通りすがりに言葉を交わす。

『また後で店長も名刺を渡しておいて下さると助かります。』
『え、そんなに美味しい客なの?』
『美味しいかどうかは。思うにパチンコかパチスロか。
 アミューズメント関係なんじゃないかな。』
『そうか・・・・微妙だねぇ。』


で、時間も過ぎ閉店の時間になって支払いがやって来た。
このお客様、ろくに数えもせずに諭吉を私に渡す。間違いねえや。こりゃパチンコ屋だ。
死に金を嫌がる金持ちの癖に金に無頓着なのは、博打業界の特徴だよ・・・・。

『お姉ちゃん、楽しかったわ。また来るで。来てもええか?』

『ああ、勿論です。また是非にいらっしゃって下さいませね。』

『・・・・アンタ変な子やな。俺等を変な客やと思わへんのか?
 こんな店に一見で来て飲ませろ言うて、銭を持っとるかどうかも解らんのに。』

『いえいえ。
 ピラニアが血の匂いに敏感なように、私はお金の匂いに敏感なんです。
 ぷんぷんしてます。愉吉様が団体の時の匂いですね、こりゃ。ははは。』

『ふうん・・・・スーツも着とらんのにな。
 それやから何処行っても胡散臭がられるのや。
 アンタ、何の躊躇いものうヘネシー抜いたな。何でや?』

『ですから愉吉様の匂いが。』

ジャケットを羽織って頂き、お店の外へ送り出す。
店長がおつりを袋に入れて持ってくる。
おつりはしっかり受け取るんだな。さすがだ。


それにしても変な子とは妙な言いがかりである。
今日び道案内したくらいで感激して来るなんて、そっちの方がよっぽど変だ。
まあ確かに近年のミナミはこの客引きのせいで質がぐっと下がって、お客様も歩き難い。
その中で無欲が目立ったと云う事であろうか。良く解らんな。

でもちょっと怪しいかも。う〜ん、なんぞ裏でもあるのかしらん。
余りにも今回のことは美味しすぎるような気がする。


ちょっと警戒している水上なのであった。




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『菊星のフェイシャルクリアジェル』
2003年05月17日(土)


菊星NaturalWorksが凄い!!

何が凄いって、このフェイシャルクリアジェルがすっごいの!!
お肌がツルツルになるの〜。
これ、最近のコスメでは水上イチオシ!!


顔だけじゃなく身体にも使える安さが嬉しいですし、
韓国の垢すりよりずっとお肌に優しくて、尚且つ垢すり並みの効果がある!

騙されたと思って試してみて下さいませ。
皮膚の表面の皮が一枚むけたって実感出来ますよ〜ん。

皮膚の硬い部分にも効くこと効くこと。
硬い部分には時間をおいてこすったら効果抜群!!

あ、いや。
ワタクシ別に菊星の人間ではございませぬ。
だけどこれ、本当にいいのよ〜。

怖かったら一度サンプルで試してみて下さいませ。
ページ見つけた。ここでくれるみたいです。



週に1回スリスリしだして約1ヶ月。
皮膚が極端に弱い私ですが、今の所トラブルはございませぬ。
お化粧乗りも抜群に良くなりました。


・・・・誰だ。面の皮が厚いからとか言う奴はっ。←被害妄想。




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『占い師なお客様と吉凶入り混じった水上』
2003年05月16日(金)


人相学が本職のお客様がいらした。
あ〜や〜す〜ぅ〜い〜いぃぃぃぃ〜。


でも女の子は占いが好きだからね。
みんなキャイキャイ盛り上がってましたぜ。

それに先生、有名らしい。
あらゆる占いを網羅し、統計して見るんだって。
見料も非常にお高いのだとか。ふ〜ん。


マルシア似のユウちゃんは福相なんだって。
ああいう顔って良いらしいよ。

宮沢りえ似のマヤさんは金運バッチリなんだとか。


で、水上。
先生『う〜ん。』
水上『な、なんすか?おっかないなあ。』
先生『これは面白い。』
水上『顔が面白いんですね。ひょっとして私に喧嘩を売っておられますか?』
先生『売ってもいいのか?』
水上『買わせて戴きましょうかね。』

先生『いかにも男を食い殺しそうな顔をしているのに、妙に情に脆い。
   その部分が変な事に福になる。
   マイナス×マイナスがプラスになる。でもこれって逆もあるんだよね。
   つまり、一般的には福になるものが君の人相では凶になる可能性もあるんだよ。
   君は普通の人生を選んじゃいけないね。
   自分はともかく周りが不幸になるから。』


こ、このやろう。
当たるか当たらないか知らんが、それ以前に占い師失格なんじゃねえのか。
ま、何でもいいや。
見料払ってる訳じゃ無いしさ。


そうなんだ〜いいよワタシ、今でも普通じゃないしさ〜って流しておいた。
・・・・同意するんじゃねえ、みんな。


先生『うん、面白い。
   吉凶の入り混じった人相の人間に会うのは20年振りくらいかな。
   君はどうなるか楽しみだね。
   どんなに不摂生しても健康だったり、
   逆に健康に気を使い出すと病気したり。
   そんな人生だろうね。』
水上『好きなように生きた方が福を呼ぶって事ですか。
   今でもかなり好きな事してますし言ってますが。』
先生『あ、そうそう。それでいいんじゃないの。
   だってもともとそういう主義なんでしょ。』

妙にウケてる常務。笑いすぎなんだよ、てめえ。


先生『貧相で色白でその目のまま居なさい。で、取り敢えず太ったら駄目。』
水上『何ですかそりゃ。』
先生『今より福福しくなると運が逃げちゃうから。
   ああ、でも君・・・・太っちゃうかもなあ。』
水上『ほう。何故でしょうか。』
先生『だって食いしん坊の人相なんだもの。
   男よりお金より美味しい物が一番好きなんだよね。』
水上『う。』


先生『う〜ん、それにしても・・・・キミの顔って・・・・。』
水上『まだ何かございますか?』

先生『ニューハーフみたいだね。整形でもしてるの?』




表に出やがれ、このやろー!!




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『私の一番嫌いなお酒』
2003年05月15日(木)


昨日の同伴は韓国料理の『兆』であった。
美味しかったけど『韓日館』の方が味が上かなあ。
って、値段はどうなんだろ。解らないけれど。
人のおごりで食っていておいて味の批評とはこれいかに。
イカンイカン。

でもブタさんの携帯ストラップを貰ってしまった。可愛い。
金運が良くなるんだって。運勢だったかな?とりあえず付けとけ。



ところで、うちにはサオリちゃん以外に中国の女性が2人居る。
吉林省出身の『ユウちゃん』と、上海出身の『カナちゃん』だ。

と、言っても二人ともまだ新人さん。ユウちゃんは一ヶ月、カナちゃんは一週間目だ。
或る日の事、カナちゃんが44〜45歳くらいの男性と同伴して来た。
私とユウちゃんはそのとき別の席に居たのだが、ユウちゃんはカナちゃんのお客様を見て、只ならぬ反応をしていた。明らかに様子がおかしい。・・・・これは顔見知りだな。


うちの黒服連中は良い子が多いのだが、気の回らない子が多く、中国の女性の席には、同じ中国の女性を付けたがる。・・・・ワンパターンだぞよ。
案の定、その席にもユウちゃんが呼ばれた。だが彼女、異常に嫌がっている。
『なおちゃん、私いきたくありません。あのお客さんと昔、とっても喧嘩しました。』

『ふうん、そう。ちょっと待ってね。』
私は黒服を呼び、このお客様はユウちゃんを気に入っているから外さないで、と適当に理由を並べて逸らした。(オイラは女の子にゃ優しいのです)

何かあったんだろうな、と思いながらもそんな事は関係ねえやと接客を済まして帰る。
いちいち人の事情なんか覗き見してる暇も趣味も無い。


で、後日。
ユウちゃんが待機中に私の横に座り話しかけて来た。

『昨日はありがとう。あのお客さんと私、昔付き合っていたね。あの人、中国人好き。
 しかも日本に来たばかりの馴れて無い子ばかり好き。
 今、あの人カナちゃんの彼氏。昨日私の家に来て、彼女を頼む、言いました。』
『はあ?来た?来たって・・・・あの人が?』

要約すると、
1)昨日の男性は本来なら中国人の店でしか遊ばない。
2)日本馴れしてない子としか付き合わない。
3)付き合っても半年くらいで乗り換える。
らしい。

・・・・。
・・・・。

『で。カナちゃんはその事知ってるの?』
『・・・・知らないです。』
『彼女を頼むって、どういう義理でそんな事しなきゃいけないわけ?』
『多分、私の方が日本、長い。・・・・から。』

頭痛いぞ。
取りあえずむやみに家に上げない事と、他の女性には言わないようにする事を告げた。

で、今度はカナちゃんだ。
1)彼にはどうも他に女が居るらしい。
2)日本人ばかりのクラブに勤めた事を嫌がっている。
3)突き詰めてハッキリしたいが、同伴の相手を失いたくない。
なのだとか。(これは待機中に本人が皆に喋ってたんですけどね)


・・・・ムカついてしょうがないんですけど。


個人的に思うのだが、こんなセコイ男は大嫌いだ。
バックアップを餌に関係を迫り、尚且つ昔の女への情の欠片も無いときた。

さいっていだね。

確かに靡いてしまう女性達にも非は或る。
中にはビジネス上当然の事として、何の感情も無く受け入れる子も居るのだろう。
のだが、日本馴れしてない女性ばかりを狙い、後ろ盾をちらつかせモノにする。
こういう手段は真っ当にやろうとしている子でさえ、ぐらつく餌ではないだろうか。
非常に手堅い。感心するくらいに狡猾だ。まさに確信犯。


だが、それが男のする事かよ。
それが男の遊び方かよ。

情けねえ。

しかもノミのような後ろ盾。ショボすぎる後ろ盾。
甲斐性も無く遊ぶ奴の典型だ。
女性もそんな奴相手に安売りしないで欲しいものだ。


夜の世界は所詮狸と狐の化かし合い。
そんな事はとっくに承知の上だ。

男だから許せないんじゃない。
女だから許せないんじゃない。

私は、弱者を狙って、食い物にして、この海を渡ろうとする輩が大嫌いなだけだ。


ミナミで伝説のあのママは、某製薬会社の会長に店を持たせて貰った、あのクラブの女の子はマンションだのクルーザーだのを買って貰った、そういうのとは話が根本的に違う。

強者に向かって弱者が成り上がって行く、そんなものはごまんとあるし逆に美しいとさえ思う。
逆にこれを批判するのはやっかみ半分な人達も居て、どっちの言い分もどっこいどっこいだろう。
出来ない奴が何を言おうが遠吠えに過ぎない事を、本人達だけが知っている。
勿論、伝説のママだって、してもらった以上の事はなさっている。
色だけでは返しきれないものを返しておられる。
世の中はそんなに単純なものではないし、どの世界にも駆け引きや鬩ぎあいは存在し、また色や美だけで騙し通せるほど、人間という存在は頭の悪い者では無い。


そういうのはまだ高尚な方で、今回のような男の例は本当に質の悪い遊び方だ。
人の感情を弄び、弱みに付け込む汚いやり方だ。
力関係を逆転させる前者と、力関係に付け込む後者とでは雲泥に違う。


私のお客様も女遊びは好きである。
中には目を覆うばかりのドジをなさっておられる方も居て、あるお客様の奥様は私に監視役を申し付けておられるくらいだ。

・・・・だけど、そこにはどなたも何かしら拠所ない事情があって、彼等はむしろ自分の内に抱える物に、責任や代償をキッチリと払っておられる。
惚れてはならぬ身分で、だがしかし惚れてしまった責任はキッチリ取るし、それ故に自分も経済的だけでなく感情的にも傷ついたり泣いたりしている。

私は不倫の正否だけで目の前の方々を断罪出来るほど偉くは無いので、もう出会ってしまった縁の或る二人にどうこう言うつもりはなく、そんな事は私が当事者で無い限り、実の所はどうでも良かったりするから、彼等男連中の女遊びを目の前にしても、嫌悪感は不思議と湧かない。


自分のお客様だから大目に見ている訳では決してない。
自分が男だったらどうだろう、この人の奥様だったら、恋人だったら、娘だったら、と、自分の立場を置き換えて考えてみて、人として許せる範囲かどうかを思い浮かべてみる。
それで判断して自分の中で受け入れられるか受け入れられないかを決める。

そりゃ誰だって女房の立場になったら浮気は嫌だろう。
だけれども、その女性が好きでそうなってしまったのと、今回のよう付け込んで遊ぶのと、どちらがまだ理解出来るかと言うと、殆どの女性が前者ではないだろうか?
男として夫として許せないと云うよりも、人間的にアウトな行為を行う奴の方が、嫌悪感でいっぱいになり、尊敬も信頼も無くしてしまうのではないだろうか?

その辺りを念頭に、述べられる範囲なら述べ、許される範囲なら沈黙する。
目に余る事は少ないので、自分の意見を述べる機会は少ないのだけれど。


その男に話を戻そう。
自分の好みの女と遊びたい、それはいい。
すれてない中国人の女性が好き、と言うならそれもいいだろう。

だが相手の弱みに付け込み、関係を繋ぎとめる。
この遊びの何処に「人としての情」が存在するのか?
私にはどうしてもそれが見えないのだ。

好きになってしまうのは仕方が無い。
遊びが好きな人生ならそれでもいい。

だが一片の欠片も責任を負わないその姿勢を、男として産まれたならば恥じるべきである。


ましてや昔の女に今の女と仲良くしてくれ、などとは良く言えたものだ。

そこまで不様さを曝してまで遊びたいのか。
そこに一体何が存在すると言うのか?
それで一体何を得ると言うのか?



こういう汚い酒を、泣かされる人間を見るたびに、この仕事にふと嫌気が差す事がある。

泣かされる女性が随分減ったとは言え、この不景気も拍車をかけるのか、狡い男も弱い女も相変わらず夜の街には存在している。

酒で汚さを誤魔化すのと、汚さを酒で誤魔化すのは筋が違う。
解って欲しいとは思うが、その事を弁えて飲んでいる男は残念ながら少ない。

時としてこの海の汚さに嫌気が差す。
表面は光を弾き煌いていても、柔らかに波が立っていても、水底に溜まるヘドロが垣間見えてウンザリする瞬間がある。


・・・・が、それでも、清いものは在る。
確固として存在する。


そう信じて私はこの海に居る。


・・・・波に呑まれそうになりながらも。
・・・・水の冷たさに凍えそうになりながらも。




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『私の一番好きなお酒』
2003年05月14日(水)


昨日は新幹線に乗って通って下さるお客様がご来店。
相変わらず私には心の師である。

娘自慢大会。
って言ってもワンちゃんなんですけどね。


私のお客様は動物好きの方が多く、話題もそれに集中するのだが、皆様の親ばかぶりにはたまに目を覆うものがある。

で。
皆様必ずと言って良いほど写真を持ち歩いてるんだよね。
イイトシした会社の会長さんや社長さん、重役さんなんかが、蕩けそうに写真を取り出すあの瞬間が、私は堪らなく好きだったりします。
だってオジサマ方のそういう部分って、本当に可愛いんだもん。

その時に部下が居ようがなんだろうが、とろとろになって恍惚と話し出す。
普段は厳つくておっかない上司が、同じ人間とは思えないでろでろの状況に、部下連中は決まって『どうしたらいいのか解らない』って顔をする。
それを見るのもまた楽しくて。


先日も、
『社長ってとっつき難いって思ってたけど、うちのお父さんと変わらないって思っちゃった。』
と、連れの事務員さんがおっしゃっていた。

どうやら彼女の中で社長に対する親近感が湧いたようだ。
(湧きすぎるのもどうかと思うが)


こんな風に職場においての『潤滑油』が酒の役割であろうと私は思う。

職場なんだから仕事だけしてればいいのだろうが、こうやって場を持って酒を酌み交わし、
自分の内面を晒し、相手に対する視点を変え、少しずつ距離を縮めていくのも大切な事だ。


こういう時のお酒が私は一番好き。
とても綺麗で罪が無く、魔力さえ存在するのではないかと思う。

古来において酒は宗教の儀式や神事に用いられてきた。
それは勿論酒の麻薬的な部分、暗の部分が大きく作用していたのであろうが、ひょっとしたらこういう明の部分もあったのかも知れない。
こぶとり爺さんも・・・・ちょっと違うか。



新幹線の御仁は、明日と明後日また大阪に来てくれるそうだ。
ゴルフのついでらしいけど。


明日は晴れるといいな。



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『吉兆の朝メシは喰えませんでした』
2003年05月13日(火)


で日曜日は、帝国ホテルに泊まった。

いや、こりゃ素晴らしい!!
でもその分お値段もお高いんだけど。


部屋からの風景はおそらく天神祭りを見越してあの造りなんだろうなあ。
夜景もまあまあ綺麗で良かった。ラブホが目立って変な感じでしたが。


所々に置いてある、あのブルーの双子壺が欲しい。
うちにある湯飲みと同じ色なんだよね〜。(なんだそりゃ)

全体的に木目のシックな基調の中、あのぱきっとしたブルーは泣かせるぜ。
エレベーターの中のブルーも中々に美しい。


客室自体も天井が高くて開放感がある。
柔らかい感じの色でまとめてあり、リラックスを誘う。

バスルームは気合い入ってるなあ。
思わず、そりゃ日本人はやっぱり湯船に浸かりたいもんねぇ、と呟いてしまった。
うん、中々に試行錯誤したのであろうな。
このバスルームはちょっと他所に類を見ないグレードの高さ。必見である。


それから小物。
ホテルのセンスってやっぱり小物に出ると思うんだけど、ここは完璧に近い。
派手すぎず機能的で優雅で美しい。

リネン類は残念ながら関空に軍配が上がるけれども、
ベットのスプリングは適度に硬くて寝心地は良かった。



さ〜次はザ・リッツカールトン大阪だ!!
・・・・って、違うってば。


働け。



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『岸田今日子になりたい』
2003年05月09日(金)


わ〜いわ〜い。1本レギュラーが増えたぞ。
・・・・って書くほうのお仕事ね。

この仕事が波に乗れたら、ちょっと美味しいかも。


空き店舗の方は押さえられちゃった。
まあ、世の中そんなもんだよね。

両方とも上手い具合に回ればいいのになとは思うが、いかんせん身体はひとつ。
でも脳味噌を切り替えられる両極端なこの二つの仕事は、思いのほか良い状況を産んでいる。
どちらが欠けても私には駄目。足りないのは時間。時間が欲しい。



これとは別に仕事の依頼。オミズの話をネタとして提供して欲しいとのこと。
初めての媒体だから楽しみ。これも波に乗ったら月一くらいの無理の無いペースになる。


どちらででもやっとこさすっとこさ一人前になりつつある。
もうそろそろ自分に合格点をあげてもいいかなとは思うのだが、流動的である楽しみを知っているので止まる事が出来ない。
これは死ぬまで変わらないなあ。

喰う為に働くだけではきっと満足出来ない性質なんだろう。
良いことなのか悪いことなのかは、次元の違う話なので考えない事にする。
石橋を叩いて渡ろうが、壊れる時は壊れるんだもんな。


身体も健康で、ちょっとした余裕・・・・何かと食べれたり飲めたり、旅行に行けたり、好きな物を買えたりすることがあればいいや。

あ〜でも、猫の飼える所に引っ越したいわ。
3LDKの広さは充分なんだけど、ペットが禁止なのが難点。

私は歳をくったら岸田今日子のようなお婆さん(失礼かな?)になって、海辺の断崖絶壁の古い暖炉のある洋館に住んで、黒いショールを羽織り猫を膝に置きたい。
別に洋猫じゃなくてもいい。
んで、ほほほほとか笑うのよ。そういう余生って憧れるぅ。



・・・・非現実的だなあ。
取敢えず今日一日を頑張ろうっと。



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『不穏な動き』
2003年05月08日(木)


温泉ぐっと。
ナマ富士山を見ながらとは、これまた贅沢な事です。

ナマフジ ナマフジ。
ジャパーンノ レイホー ウツクシーデース。

てなわけで連休は温泉三昧でした。
ああ楽しかったぞ、と。


連休明けは忙しい。
でも、採算が合ってるかどうかは微妙なところ。


常務の動きがヘン。
ありゃ何か企んでるね。

多分、店を変わるつもりなんだろうな。
まあ好きにするさ。

私は基本的にお客様からオッケーが出ないと移らない。
あの方達が居て、初めて成り立つものもある。


昨日は凄い雨と雷。
ビニール傘がなくなりかけて黒服が買いに走っていた。
どしゃどしゃ降ったり、ぴたっと止んだり。

変な天気だ、本当に。

店の中の怪しい雰囲気とぴったり。



うっとおしい。




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『お客様と寝てはならない』
2003年05月04日(日)


さてホステスと言うと、一般の方から見てすぐ客とイタしちゃうと思われがちだが、
実際の所はそうでもありません。

だって病気が怖いじゃないですか。顔に書いてある訳じゃ無いんだもの!!
・・・・ぢゃじゃなくて。
最近良く『ナンバーワンにはどうしたらなれますか?』と聞かれますが、
所詮は三日天下という感の否めない私ですので、余り参考にはならないかと思います。
単独首位じゃ無いってのもアカンと思いますしね。

確かにここのところ暇な割にはノルマもこなしているし、入店して初期の頃から上位には居ますが、持っている客層の業界が5月は恐ろしく忙しく、今月はどうなるか解りません。
鯨ちゃまもいきなり外国に行っちゃったしね。行ったら中々帰って来ないのよ、あのヒト。

ヤバイなあと思う今日この頃です。



そんな拙い私に少しでも秘訣として言える事があるとしたら、ただひとつだけ。

『お客様とは寝ない。』

この一言に尽きます。



寝ちゃうと逆にナンバーワンにはなれないと思って下さい。
勿論これは、そこそこ良い店に勤めて初めて成り立つものだとも思います。
そしてこれって暴言のようですが、ちゃんと根拠はあるんですね。

この仕事にまだ慣れてないとか、お酒に弱いとか(連れ込まれ易いって意味で)、数字マジックにハマってしまった人とか、余程に良いパトロンを見つけた人とか、口説かれるのが好きとか、そういう方なら身体を張ることも在り得るかと思います。
でも個人的に思うのは、数字のために身体なんか張るくらいだったら、いっそのこと風俗に働きに行った方が割が良いかと思います。
だっていかな不景気とはいえ、ホステスの日給よかずっと良いんじゃないですか?

良く見かけますが、あの女には負けたくない、みたいなものがあるんでしょうね。
そんなマジックにハマるのも店側の謀略にはめられているんです。
だからと言って寝ちゃうなんて安易な方法で勝ったって面白くないし、達成感なんか無いんじゃないかと思うのですが、如何なものでしょう?


大体、そういう事をして周囲にバレ無い訳が無い。
さあ問題はここなんですね。


男という生き物は女よりずっと嫉妬深く心が狭いもんです。
てめぇは浮気し放題なのに、女の浮気は絶対許さないと言う人が殆ど。
この辺りもオスなんだな。(勿論そうじゃない人もいるけれど)

だからお目当ての女の子が誰と怪しいかとか、自分の彼女が浮気してないかどうかが、気になって仕方がなかったりします。
女絡みじゃ無くてもお客様ってお互いが「どんな奴であるか」見ながら飲んでいる所があるしね。

誰それとあの子が怪しいだの何だの、あの黒服とデキてるんじゃないかとか何だの、そういった事を探りたがる。好きだねぇ、みんな。
んで、意外と男の勘って侮れなくって、当たってる事もしばしばなんです(笑)。


そして裏切ったと思ったら、途端にえげつない復讐をしてくるのも、どちらかと言うと男が多い。
そういうのを目の当たりにしていると、男社会でもこういうのは多いんだろうなと、男でなくて良かったとしみじみ思ってしまいますね〜。

女は感情的に復讐をするが、男は実質的な仕返しをしてくるから被害も大きい。
いや〜ホント男って大変っすよ。

また彼等はどうしようもなく自慢したがりなので、ついつい自慢しちゃう。
店内でなくとも、どこかの店で『いや〜あの店のあの子とやっちゃってさあ。』、なんて暴露されちゃったりすると、当然皆に知られてしまって自分の首も絞まる。
そういう噂ってどこで発生したか解らないくらいに伝わるのが早いのだ。
で、お客様って結構行く店がダブっているから、お客様の耳にも当然入るんだよね。

口も堅く嫉妬もせず、アッサリ身を引いてくれる男が居たら私だって考えちゃうが、そんなの砂浜で一粒の胡麻を探すようなものである。
今も昔もそういう粋な男は中々居ない。
居たらいいのになとは思うけれど、どんなに遊び慣れた男であっても、自分の物になったと思った瞬間から嫉妬深くなる。


そういうのをいちいち相手にしてるとキリがないので、そんな男性の心理を逆手に取り、絶対落ちない女になり、サクサクと色を抜いた方が得と言うもの。
確率は悪いが、この売り方をしたほうが最終的には息も長いのだったりする。

割り切って瞬発的に稼ぐなら、特攻隊でも良かろうね。
一ヶ月二ヶ月なら食い繋げるのではないだろうか。


さて、ここまでだけでもリスクの大きいことは解って戴けたのではないかと思うが、これよりもっともっと怖いものは 『女の敵は女』 という言葉通り、本当の爆弾は中で共に働く女性達なのである。

何のかんの言ったとて、お客様はまだ楽と言えば楽だ。
お客様の気が変わってミナミに来なくなったり、クラブ→ラウンジへフィールドを変えれば、いつかはほとぼりも冷めようかとは思う。が、女性達はそうはいかない。
誰かと誰かが必ず繋がっていて、どこにフィールドを変えようが必ず付き纏う。
つまり下手を打つと、いつまでもいつまでも、それこそ引退するまで言われちゃうのだ。

ことに 「誰かを蹴落として客をゲット」 するなんて、一番手間もかからないし、自分も大した努力をしなくて良いからうってつけだ。

この辺りの鬩ぎ合いと来たらまさに見事としか言いようが無い。
生業になると誰しも生活がかかっているので、裏に回れば足の引っ張り合いが多いし、そういうネタはフルに活用!・・・・とでも言わんばかりに武器にする。

あの人があの子の男なのよ、そう吹き込まれて打撃にならないホステスは居ない。
しかも中が中を引っ張るのだ。真実味も増そうというもの。

またカタギさんと違って凄く演技に長けているから、始末に負えなかったりする。
日頃お客様相手に演技の連続だから、自然に磨かれるのだろうか。
凄いのは、身内を売った自分の尻尾を、お客様には決して掴ませない所だ。
貴方が可哀想になっちゃう、とか言っちゃうんだよな。

私は何よりもこの辺りが一番怖いのである。
いや、女って怖いよ〜ホントに。

でも、こういう事したりする女性「も」結局は上位に行けないのが事実なんだけどね。
だって人の足を引っ張ったり、悪口満開の奴って信用が出来ないのは誰しも同じで。
やっぱ真っ当が一番強いんですよ。


お客様とは寝ないこと、と言うのは最初の段階で教えられる事ですが、上位に行こうとすればするほど、こんな風に最初の基礎が求められます。
それを守り、付随して色々な調整をしていけば、かなり上には昇れるでしょう。


勿論、そんな事も何もかも投げ捨てても構わないというくらい、イイオトコが出て来たら、何でもいたしちゃって下さって良いんじゃないかと思いますが。





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旅行中です。
文章粗いです。
・・・・いつもの事かぁ。

『水掛不動』
2003年05月03日(土)


久しぶりに水掛不動に御参りして来た。
何だか物悲しいな。

法善寺横町は火災で廃業に追い込まれた店舗があるのだけれど、
だけどそれでも私の好きな店は残っていたので嬉しい。

何だか最近本当に身体が疲れて来てきた。

きっと余り休みが続くとかえって良くないのだろう。
私の身体はつくづく貧乏性だ。


ところで水掛不動に向かう道すがら、財閥様とバッタリ。

今度はきちんとご挨拶する。
こういう所でなら、会った事も差し支えない。

ニコニコとしていただく。ハグもしていただいた。

ちょっと疲れもとれたような気がする。
私っていい加減だなあ・・・・。



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『一年間の出会い』
2003年05月01日(木)


さて、そろそろミナミに出て来て一年が経とうとしている。

振り返って考えてみると、年甲斐も無く(ほっとけ)良くやったよなと自画自賛だ。
スナックからミニクラブ、ミニクラブからクラブへと、自分でも中々に伸し上がった方だと思う。

20代の若さがあったり、最初からお客様が付いていたりなら充分に可能だろうが、32歳の微妙な年齢で、尚且つこちらでのお客様など一切持たない私であったから、最初は不安も大きく四肢も縮こまった状態だったのである。


それに、だ。
何よりもこの不景気という不利さがあった。

確かに私は昔、北新地でそこそこ生らしていたし、それなりに売り上げも上げていた。
だから言いたいこともまかり通っていたし、自分なりの仕事の展開を自由に組めてもいた。

だけどもうあの時代とは違う。いかないい加減な事の多い水商売とは言え、いつまでもあの時代の価値観や倫理観で通るわけでは無い。
そんな事くらい普通の社会生活を営んでいれば、充分に読み取れる。

あの時代はやはり誰しもが傲慢であったのだと思う。
年齢云々ではなく、金銭の有無ではなく、独特の世風が蔓延していた。
それが解るだけに怖かった。
あの蜜の時代を知っているが故に、怖いものがあったのだ。


『誰も来てくれなかったらどうしよう』
『売り上げを上げれなかったらどうしよう』
『新規の開拓が出来なかったらどうしよう』

そんな気持ちでいっぱいだった。


だけどこの怖さの根源を探るうちに、持つからこそ怖いのだと云う事が良く解った。
しかも中途半端に頼ろうとしたから怖かったのだ。

私とて伊達に飛び石とはいえキャリアを積んでいないから、大物のお客様もいた。
(地元ぱぱとか、と〜ちゃんとか)
だけど、その人達に頼るのはひとまず一切止めようと思った。
何も持たずに最初から築いてみようと。
皆心配してくれたし、どうしてるのか、店に行ってやろうか、そんな風にも言われたが、来て頂けるなら自分の基盤が固まって、胸を張れる状態になってからにしようと決めた。


それから色々な事があった。
苦しかったし、息苦しかったし、辛かった。
それを愚痴り出したらキリが無いし、日記に書ける量では足りないだろう。


だけど最近、しみじみ思う。
苦しくて良かったし、息苦しくて為になったし、辛くて幸せだったと。

今、何がしかの形で古いお客様に関わって戴き、それなりに新規も回せる。
そんな私はとても幸せなのだ。少しだけ伸びれたのだ。


そして、思った。
この不景気は逆に有り難いものなのだと。


何故ならば、この時代に 『飲めている』 お客様、
御自分の懐にも木枯らしが吹きすさぶと言うのに、会いに来てくれるお客様、
御身体を壊されてもうお酒が飲めないというのに、顔を出してくれるお客様、
目的が色であれ、美であれ、お笑いであれ、何であろうが、

その方達こそ本物のお客様だからだ。
私が見つけた大切な宝物だからだ。



私は常々接客業として、ホステスがお客様に有り難いと思うのは当たり前だと思っている。
ゼニカネが絡む以上、ビジネスとして感謝するのは義務であるとさえ思ってはばからない。

・・・・だけど、この仕事で本当にしなければいけないことは、自分自身が胸を張って、自分のお客様を誇りに思うことだと思う。

それが無ければ、この仕事はとんでもなくつまらないし、値打ちも無い。
だって自分の宝物を誇れないほど、この世につまらぬ事は無いんだから。


一年が経って、今私が一番自分に頑張ったねと思うのは、誇りに思うのは、小娘だったあの頃よりもずっとずっと良いお客様が、至らない私の傍に居てくれている事だ。

中には転勤で滅多に会えない方もおられる。
不謹慎だし、辛くて書けなかったが、亡くなったお客様もおられる。
新幹線に乗って会いに来て下さる方もおられる。
自宅まで迎えに来て下さる方もおられる。
昔からずっと可愛がって下さる方もおられる。
背中を押して下さるお客様もおられる。
発破をかけて下さるお客様もおられる。

皆様が私の大切な宝物。


慢心しそうになる時に、常に思い浮かべる。
宝物である、彼等の事を。

辛い時も、お店に行きたくない時も、悲しい時も。


そして何より・・・・嬉しいことがあったとき、思い浮かべる。
喜びを分かち合う相手が居る事は、辛い時に慰めあう相手が居るよりも、
ずっとずっと幸せな事なんじゃないかなと思う。


ここを借りて、そっと御礼を言いたい。
私の大切な宝物様達、一年間本当に有難う。

不束不届き者ですが、これからもどうかよろしくお願いいたします。



水上拝





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