オミズの花道
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『ヤクザ屋さん相手にキレたハナシ』
2002年11月26日(火)


世の中にヤクザ屋さんと言っても色々おられます。

特にこの・・・・関西という地域、ミナミという場所は、
今更ながらの言葉ですが、本当に様々な組の方がおられます。


幸いにも私が関わった方は幹部クラスの方が多かったので、そうそう汚い部分を見せられる事はありませんでした。
皆とても紳士的に飲み、和気藹々と遊んでおられました。


それは、良い店に巡り合えたのも理由の一つだと思います。

良い店、有名店から出入り禁止を食らう、・・・・なんてのは彼らも好みませんから、そうそう無茶もなさいません。


ことに飲み屋の噂は恐ろしく伝わるのが早く、尾鰭羽鰭が抱き合わせですし、『あそこの店であんな揉め事おこしたん、あの組らしいで。』そんな事を一般庶民にまで言われてしまうのは、見栄と任侠の世界に生きる彼らには汚点でしかありません。


そんな訳で割と良い状態のまま勤める事が出来ていたのですが、たまには礼儀知らずのヤクザさんもおられます。




その日私は自分のお客様を4名接客しておりました。

と、そこに3人連れのお客様が隣のボックスに入られたんですね。
御2人は見慣れない方でしたが、御1人は顔見知りのヤクザ屋さんです。


サポートの女性が隣のボックスに座るなり、そのヤクザ屋さんが大きい声で、
なんやこの店!こんな女つけやがって!
と、怒鳴るのです。


そして私を指差して、
おいこら女!お前じゃ!こっち来い!
と言うのです。

『あ、もう少しお待ち下さいね♪行きますから♪』
・・・・・・私もプロですんで、笑顔で申しましたよ。
いちいちこんな事でキレてたら接客業ではないし。


こっち来いっちゅーてるやろ!ガタガタ抜かすな!!

・・・・・・・・。


『はーい、ごめんなさい、もうちょっと待ってね。』(でも笑顔)

そんな客放っておけ!!こっち来い言うてるやろがっ!!


ぷっち〜〜〜〜ん。


・・・・・・・そんな客。
そ・ん・な・客・やとぉ?


『・・・・・待って下さいって何回言わすんじゃコラァ!!


と、ここで。
お断り申し上げますが、この時私は感情に任せてキレた訳ではございません。

そんな客呼ばわりされた私のお客様の顔色が、みるみる変わったからです。
これはヤベェ!!、私は本能的に思いました。
乱闘にでもなったらエライ事です。

原則として。
お客様とお客様のトラブルは『絶対に』避けなければなりません。
理由はお客様の足が遠のくからです。

ホステスとお客様のいざこざは、こう申しては甘えやも知れませんが、後から幾らでも取り返しがつきます。


でも彼等は雄同士。
一端揉め出したら頭を下げる世界など存在しないと言っていいのです。
殺しあうまで収まらない!(←それは言い過ぎ。)

こういう時に全てを救うには、自分がキレるしかないんです。
すっげ〜嫌ですけどね(泣)。



『なんやとコラァ!ワレ、誰にモノ言うとんじゃ!!
 ちょっと○○の親分に可愛がってもうてる思たら調子乗ってんのんちゃうか!
 ○○ここに呼べや!イテもうたる!!』


ぶちぶちぶちっ!!


・・・・・・すいません。
ここから先は感情のみしか存在しません。
理性も分別も思慮も策略もございません。本能のみ。

しかもワタクシ、泉南(関西でもガラ悪い地域)出身なんで。
本能のまま言語が非常に野蛮になります。


『ワレ、なぁにを眠たい事抜かしとんねん!
 おどれ如きヘタレヤクザ相手にすんのに、
 何でわざわざ私が親分呼ばなアカンねん!笑かすなやヴォケ!』


ここでもう、ヤクザさん憤死状態。


『パンピー(一般人。彼が理解していたかどうかは知らん。)相手に
 エエ格好して恥ずかしないんか!みっともないんじゃ!
 飲み屋には飲み屋のルールがあるねん!
 守られへん奴は客やない!とっとと去ね!』


と、ここで皆が止めに入る。私のお客様までもが私を押さえつける。

ヤクザさんはポカーンと口を開け、手足をバタバタさせている。
(何がしたかったんでしょうねぇ。)


『な、なおちゃん!もう止めとき!!』と、私のお客様。
『ねえちゃん、もう解ったから!もうええから!』と、向こうの連れの方までが。

男6人に押さえ込まれる私。


『離しぃや!離せぇぇぇぇぇっ!!コラ、オッサン!よう聞け!
 ええか!うちらはな、小泉の純ちゃんが来ても、汲み取り屋のオッサンが来ても、
 やることは一緒なんじゃ!!世の中には順番っちゅうもんがあるんじゃ!!
 ヤクザやゆうて何でも通る思うなーーーっっ!!


かくて水上、トドメの一言。


『おどれの飲み代くらい出したらぁ!
 二度とツラ見せんな!』


ここまで言われて帰らない男が居るだろうか。
ヤクザ屋さんは椅子を蹴っ飛ばし(でも重いボックスだからビクともしないのだが)、
帰っていった。2人の連れも出て行った。


私のお客様は私をなだめにかかる。

『まま、落ち着いて。ほら飲んで飲んで。』
『もうビックリするわ。なおちゃん、止めてや〜。』
『帰り送ったるわ。恐いやろ。』


と、ここで1人の客がぽつり。
『先にキレられたら怒られへんもんやなあ・・・・。』

と、その日は終わった。(作戦は成功なのか?)



それから少しして、そんな出来事もスッカリ忘れた頃。
○○の親分が来店した。

『ぱぱぁ〜♪どうしてたのぉ〜。なお、淋しかったぁ〜ん。』
(いつもの飼い猫ちゃんモードである。)


『・・・・・・・・・。
 大人しいフリしやがって。もう信用せえへんぞ。』


あれ、何だか様子が違う。
いつもなら『そっかそっか〜可愛いのう〜。』とか言って、
紙やすり顔負けの頬っぺたをスリスリ(ザリザリ)してくるのに。


『ううん?ぱぱりん、どしたの?』
『お前・・・暴れたらしいやんけ。○組の○○○と乱闘したんやろ?』
『・・・・げ。』
『この猛獣め。可愛い子ぶっても遅いんじゃ。』


はた、と見ると親分の横には見慣れた2人が。
そう、あのヤクザ屋さんの連れである。

『凄かったでっせ。男6人に押さえつけられても跳ね除けようとするんやもん。』
『まさに猛獣でしたな。恐かったわあ。』



親分はかっかっかと笑いながら、私に尋ねる。

『俺を呼べって言われたんやろ?何でそうせえへんかったんや?』
『だってぱぱりんには関係ないもん・・・。飲み屋での話は飲み屋で解決しないと。』

『そやな。なおは賢い子ちゃんやな。お前はそういうこと言うと思たわ。
 だから俺もお前が可愛いねん。・・・待っとき。○○○、呼んだるからな。』
『え〜もういいもん。会いたくないもん。』

『そんなん言うたらアカン。ちゃんとお仕事せなアカンやろ。』
『したもん・・・・。』

『いや、まだや。 なお、客はな・・・躾けて行って、育てるもんなんやで。』
『・・・・・・・・。』

『自分が猛獣やったらアカンのや。猛獣使いになるのがお前の本当の仕事やで。』
『・・・・・・・・。いぢわるぅ。』


親分が携帯を取り出してかけている横で、2人連れがヒソヒソ話。
『このねえちゃん、あの時と同じ人間やとは思われへんな。』
・・・・うるさい、ほっとけ。



さてこの後なのだが、親分は実に見事であった。
そのヤクザ屋さんを呼びつけ(実は元舎弟)、その人に怒りまくるフリをしたのだ。

勿論これは作戦で、私がヤクザ屋さんを庇って彼に平謝りという構図を作ってくれた。

お陰で双方とも手打ちとなり、仲良く乾杯を交わし、めでたしめでたし。
そして彼は私のお客様に変わりました。




このことは私にとって大きなお勉強になったのです。

『てめぇのケツはてめぇで拭く』とでも申しましょうか。(失礼)
やはり何事も最後までやり遂げなければ、後味が悪いのだと思いました。


親分に言われたこと、本当に深く噛み締めています。
今でも。


確かに、飲み屋には飲み屋のルールがあります。
それを守る為には、時にはこういった事もあるでしょう。


ですが、それを守る事も大切ですが、
本当は、伝える事がもっと大切なのです。


勿論・・・・全ての人にそれが伝わるものではありません。



だけど『伝える』事こそが、そう努力し続ける事こそが、
本当の意味で『守る』事なんだと思いました。




あの時関わってくださったお客様に、心から感謝しています。


親分も引退し、今では一般人。
私との交流は相変わらず続いています。


そして相変わらず、
『この猛獣め。』と言われる日々でございます。





イカンじゃん。
精進、精進。



『危ない話・誰も書けないヤクザ屋さん』
2002年11月25日(月)


さて、飲み屋に勤める以上避けても避けれないのがヤクザ屋さんである。

この方々は例えどんな上品な店であれ、高級店であれ、絶対に避けられないお客様だ。


よしんば、
『うちは客筋が良いからそういう人は一切来ない。』
そう言い切る店があったなら、そしてそれが本当ならば、
その店は店として辛気臭く、面白くない店だと言えるだろう。

それくらい彼等は遊びに敏感だ。
『皆が遊ぶ場所で男として派手に見栄を切る』
それもヤクザの醍醐味なのだから。


往々にしてトラブルの多いお客様だが、
大阪のヤクザ屋さんは見た目で解りやすいからまだ助かる。

サラリーマンが敬遠しそうな高いスーツを着ているし、
ロレックスは貧乏臭いとピアジェを好み、デカイ石の指輪を欠かさない。
それ以前に指が飛んじゃってる人、多いしね(笑)。

つまり見て解る以上、こちらもそれなりにトラブルを覚悟して対応出来るわけ。


私はヤクザは嫌いだが、彼等を『客としては』嫌いではない。
いやむしろ、好きな方だと言える。



この方々達の流れとして、

『ヤカラは言うが、時間は短く、金を落とす。』

のが普通だから、ホステスとしては売り上げが非常に助かるのだ。
*(ヤカラ=沖縄の言葉ではツワモノを意味するが、関西ではインネンの意が近し)


気が向けば5万なりするボトルがバンバン空くし、抜き物(ドンペリとかワインとか)も水のように扱われる。

ホステスとして大きいヤクザ屋さんを掴むと、売り上げを気にせず立ち回れる。


んで、あの人達はキャッシュだからね。
しょうもない店だと『潰し目的』の為にツケられる事がままあるが、それ以外はポ〜ンと現金払いだ。
どうも彼等は『ツケ』だなんて格好悪いらしい。

つまり短い時間を何とかやり過ごせば、彼等ほど上客は居ないのである。
そういう意味では好きなお客様と言っていい。




・・・・では、その対処法なのだが。


(その壱)まず、ブスは付けない。
     これは彼等が面食いという理由ではなく、面子の問題だ。
     彼等が雄であり、テリトリーや権力の生き物なのを忘れてはいけない。
     周りのお客様よりイイ女が傍に居るのが大切なのである。

(その弐)親分の横にはその中でも飛び切りの美人を付ける。
     そしてその子は絶対に親分が帰るまで外してはいけない。

(その参)子分衆とは無理に話をしようとしないこと。
     話の分、気配りを重視し、采配するべし。
     

要はへりくだるのではなく、『沈黙は金なり』を臨機応変に使えばいいし、彼等の雄としての習性を理解すればいいのだ。



そもそも大体がヤカラを言うのは子分衆だったりする。
彼等に突っ込ませる隙を与えない為には、しおらしく凌ぐのが一番と言えるだろう。


親分が怒ることは滅多に無い。
というか私は見たことがない。


そして実は子分衆が怒るのも、周りに対するデモンストレーションの意味合いが大きかったりする。
うちの親分になんちゅう口の利き方や!・・・・ってな具合ですね。

要は忠義心の表し方のひとつであって、私たちや周りに怒っている度合いは、実の所低かったりします。


そして組や派閥や世代の考え方で、
『堅気さんには迷惑をかけない主義』と、
『ヤクザが恐がられへんようになったらしまいや主義』とにも分かれるので、
こちらの言い分で『ヤクザは堅気に迷惑かけへんもんやろ』と思い込むのも良くありません。

後者の方々はとにかく荒っぽい方々が多かったりしますが、ある程度のルールを理解する姿勢がこちらにも必要です。



一度ですが、真っ直ぐ見つめ返した目を済まなさそうに逸らされ、後で『ネエチャン、さっきはごめんな。』と不器用に謝られた事がありました。


ああ、この人も好きで怒りっぽいスタイルを取っている訳じゃないんだな。
下がれなかった私が子供だったかな。

そんな風に感じたのを覚えています。


そういう流れや心情が読めて来ると、不思議と彼等を嫌う気持ちが薄れて来るんですね。

ああ、子分さんも大変なんだなあ・・・・そう思った時私は、
むやみやたらに彼等を嫌うのは止めようと思いました。



お酒はお酒。
飲む人がヤクザであろうが、総理大臣であろうが、清掃業であろうが、卵売りであろうが、私は所詮酒場のネエちゃん。


接客スタイルに変わりはございませんて。





とはいえ、ワタクシもヤクザ屋さん相手に切れる事はございました。
それはまた、明日の日記と致しましょう。

『ニューハーフの性転換手術&手術方法&思うこと』
2002年11月24日(日)


さて、今日はちょっと『イタイ』お話です。
男性諸氏には特にイタイお話かも知れません。


私は良くニューハーフの方に、同業者と間違われます。
一般人の方にではなく、その筋の方に仲間だと見られちゃうんですね。


これはちょっと複雑です。
男っぽい、女っぽいの前に、養殖っぽいんですから。

彼女等は間違えたあと、間違われるのは美形だからよと慰めてくれます。
真意はどうだか解りませんけど。ええ社交辞令です。お世辞です。


そう言われて複雑で嬉しい反面、彼女達にはとても適わないと思い直します。
彼女達の『美』への執念ときたら、私ども女は足元にも及ばないんだから。

お化粧法だけでなく、仕草や、男の心理に至るまで。
すべて自分の美意識の向上の為に。
私は今まで沢山のニューハーフの方々にご指導を戴き、糧にしてきたと思います(?)。


さて、彼女等の段階としては多々あります。
工事してない方、工事途中の方、工事済みの方。
そう、性転換手術の事です。彼女等の美意識の集大成とでも申しましょうか。


ニューハーフの方の殆どは、脱毛、喉仏の切除(というか削る)、豊胸、睾丸除去、
そこまででペニスは残ったまま、ホルモン療法の段階の方が多いと思います。


なぜ睾丸を先に除去するのか?というと、これはホルモン治療の為です。

外から女性ホルモンを補っているのに睾丸があることで、
中から製造されてしまっては効果が薄れるんですね。
ペニス本体を後に回すのは、影響が少ないからだと思われます。


でもまあ、これは本当に人様々です。
女性っぽくて華奢な人は、睾丸も残している人がいるらしい。



さて、問題の膣生成。
皆さんはニューハーフさんが女性に変わる時、ペニスは根元からちょん!
・・・・と思われてませんか?


でも・・・・違うんですね。
その方法を解りやすく書かせて戴きますと、次のようになります。



(1)陰嚢を中央から切開し、睾丸を取り出して切除する。

(2)その切開線を陰茎部まで伸ばし、陰茎を皮膚と尿道と海綿体と亀頭に分離する。

(3)そのまま陰茎部まで切開し、海綿体は切除する。

(4)亀頭は子宮頸部として利用する方法と、切除してしまう方法がある。

(5)女性の尿道開口部位置に合わせて皮膚を切開し、そこに尿道を通す。

(6)女性の正しい膣の位置に指を挿入し穴を開ける。

(7)そこに陰茎皮膚を逆転して押し込み、膣とする。

(8)尿道の余分な長さを切除して尿道口を形成する。

(9)陰嚢皮膚を利用して陰唇を形成する。

(10)膣がふさがらないように詰め物(ステント=シリコン製)を入れて完成。



この手術法を最初に聞いたとき、女の私でも貧血を起こしそうになりました。
その話を私と一緒に聞いていた男性客は、みるみる無口になってしまいました。
この話、血に強い女性ならともかく、大概の男性なら貧血物なんじゃないかと思います。


『その方法しかないの?』
恐る恐る尋ねる私に、
『昔はね、腸の一部を使って形成したり、
 太腿の皮膚を丸めて形成したりする方法もあったのよ。
 でもね、自分のオチンチン使った方が性感が残るから気持ちいいの。』
さらっと答える某有名店ママ。


『い・・・、イタイでしょう。』
ああ、とっても馬鹿げた質問。
『ん〜、どっちかって言うと部分麻酔でやる豊胸手術の方が痛いわねえ。
 性転換手術は全身麻酔だから、その時は痛くないわね。』


『・・・・術後は?』
『豊胸は胸元の皮膚が引き攣れて暫くは痛いわ。
 局部は2週間くらいドーナッツ座布団のお世話になるかしら。
 痔みたいよね!!あはは!!』


加えてこの手術を受けた人は、膣が萎縮してしまわないよう、
一生膣にシリコン製の詰め物を入れておかなければならないらしい。


『最初は慣れなくてねー。詰め物を何回もトイレに落としちゃったわ。』
『今も・・・入ってるの?・・・よね。・・・あ、見せなくていいからね(汗)。』


ママはふふ、と笑いながら薬のシートを見せる。
『後はこれだけよ。毎日ホルモン剤を飲むの。』


銀色のシートをクルクルと弄ぶその横顔は、何だか少し寂しそうだ。

『なおちゃん、アンタは天然物の女なんだからね。
 ちゃんと気張って女を磨きなさいよ。
 私達は所詮、養殖の女なんだから。
 アンタ達に勝てっこないの。』


私はう〜ん、と考え込んでしまいました。
果たして自分はどれだけ女として努力しているのだろう?

男に生まれた事を幸せと感じ取れなかった彼女達。
私は幸いにも自分の生まれた性を違和感無く過ごせる人生である。

ひょっとしたら私はすでにこの時点で充分幸せものなのかも知れない。


この人達が努力と痛みと金銭に変えても欲しかった物。
私はそれを最初から持っているけれど、このままでいいのだろうか?

女にアグラをかいていないか?


そう思った日から、彼女達は私の中で興味の対象ではなくライバルになった。
今は彼女達を『同性』までもは思わないが、商売敵だと思っている。

そう、それくらい尊敬しているのだ。


え?間違えられて怒ってるじゃないかって?




・・・・・・・・・・それとこれとは別問題です。

この辺りが天然の女心の微妙な所かな。

『歩いてるんだが足の骨にヒビ・ニューハーフとは喧嘩しないぞ』
2002年11月21日(木)


暴れたからか、足の甲が痛ぇ。


嘘です。
ちょっと前から痛かったの。
多分、階段から転がった時かな。

でも騒ぐ程じゃ無かったから放っておいた。
だけど昨日ちょっと熱が出て来たから、病院に行ったら何とヒビが入ってたのであった。
・・・・相変わらず私は痛みに鈍いらしい。


何度も死にかけた!・・・・・とか言うといかにも冒険家のような、
ハードボイルドのような人生を想像するのだけれど、
私の場合は痛みに鈍くて死にかけた事が何度かある。
生物としては致命的な鈍さと言えないだろうか。

しかもヒビが入ってる足にハイヒールを履くヴァカであるし。
防衛本能も欠如してるか?それとも酒漬けで痛覚器官がイカれてるのか?
まあいいか。平和だからな。


医者には怒られたが。
大した事ないだろう。
歩けるんだから、ね。


そうそう。
例の暴れ方なのだが、オカマに喧嘩を売るほど私は無謀者ではないのです。
相手は「なるしす」だし。じゅんこママ恐いし。
あのひと今のところ総本山的な扱いだから、
変に怒らせるとミナミはおろか全国的にオカマを敵に回します。

ベティさんは勿論ですけど、カルーセルさんとか、ひょっとしたらオスピーとか、
変な具合で美輪様まで飛び火しちゃうかも知れない。


恐いっすね。
想像しただけで出家したくなりますね。


そうそう。
暴れ方でしたね。
被害に遭ったのはナンパしてきた車に乗った3人連れと、
声をかけてきたホスト君数名です。


どういう風に暴れたか。
いや・・・そんなに。




でも向こうは何で逃げたんでしょう。
解らないなあ。




えへっ。

『水上、暴れる』
2002年11月20日(水)


今日も今日とて飲み屋街。

お腹が空いたので、納得は行かぬがグラスゴーにてクソ高いご飯を食べる。


ピラフの海老が生だからまだ許せる。
これが冷凍だったら絶対に許せない。



しかし、どうよ?
今、店内の客の全てがオカマってのはどうよ?


何でやねん。
キミら、今ちょうど仕事の真っ最中の筈やん!?


普通のクラブやラウンジやスナックは午前1時〜2時に閉店するのだが、
彼等はこれからが山場のはず。



また何かあったのか?

またモメ事か?出入りか?分裂か?
・・・・・・気になる。



それはいいんだが。


頼むから私を見ないでくれ!
睨まないでくれ!!


私はオンナなんです。
同業者じゃないから。

お、お願いだからぁ・・・。



変な話だが。
ニューハーフの世界はとても狭くてとても体育会系。

見知らぬオカマがウロチョロしてると、すぐに目を付けられる。


変なところで彼等・・・・彼女等は男性を引きずっている。
『何よアンタ、どこのオカマなの!?アタシ達に挨拶はないの!?むき〜っ!』
・・・・・ってな感じですね。



マイノリティの世界ってそんなもんなのかも知れんが、
マイノリティだと勘違いされてる身分としては、笑えん。



一緒にご飯を食べてたお姉さんは、ニヤニヤ。
『明日お客さんに話そうっと♪いいネタだわ♪』とか言って嬉しそう。


とにもかくにも堺筋方面へ向かい、千年筋を北上。



と、そこで。
『おづがれさ〜〜〜ん!!』
と、野太い声。


見上げると「なるしす」(オカマバー)のオネエさんが、
私に向かって手を振っている。



『おづがれさ〜〜〜ん!!
 今日は暇だったわね〜!!
 明日は頑張ろうね〜〜!!
 オカマバンザーイ!!』





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




をれはオカマじゃねぇぇ!!
おめえらいい加減にしろぉぉ!!
挨拶なんかしてんじゃねぇぇ!
わたしはオンナじゃぁぁっ!!








暴れました。
水上、久しぶりに暴れました。



何が悪いんですか。
暴れましたよ。


暴れるのに、こんな正当な理由は他に無いでしょう。







しく。

『お客様の愚痴を言うホステス』
2002年11月18日(月)


今日は根幹さん改め『大口さん』から電話。珍しい事です。

昼間お電話を戴いた時に、不覚にも眠ってて気が付かなかった。折り返しメールで『かけても差し支え御座いませんか?』のメールを出した。しかし、音沙汰無し。

ああ、今はマズイんだなと納得して待つ事に。メールが普及するようになってから本当に便利。奥様がいらっしゃったり、お仕事中だったりすると、電話は何かしら害があるもんね。


パケットが出だしの頃、お客様の殆どを説得してiモードに加入させた。
ドコモから感謝状を貰いたいほど営業した。でもまあ私もコンタクトが取りやすくなった分、恩恵にあずかってるからいいか。
とにかく便利な世の中だ。



電話を待つこと何時間。
電話の向こうの御仁は相変わらず優しい声。

『今、富山から帰って来た所だよ。』
『あら・・・寒いのに。大丈夫ですか?
 社長も上海や九州や富山や大変ですね。』

そんな当たり障りの無い会話で終わり、電話を切ってふと思う。


ああ、社長ってば・・・人恋しかったのだろうな。


余りにも当たり障りの無い会話に、疲れ切ったその人の顔が浮かぶ。




昔・・・そう、この仕事をし始めた頃、今は亡き大きな会社のトップに聞かれた事がある。
『なおちゃん、「男が外で飲む」って事はどういう事やと思う?』


小娘の私は戸惑いながらも答えた。
『最近それを良く考えます。お客様はここに何を求めて飲みに来られるんだろうって。ただ「お酒が好き」なら居酒屋でいいんです。いえ、家でも充分ですよね。でも、ここに来られるお客様は高いお金を(当時は座って5万円だったかな。私にしたら大金。)払ってでも飲まれている。もっと不可解なのは、その中でも女性を目的に・・・・という方が余りいらっしゃらないんです。好きな子が居るから通う、と言うならまだ納得は出来るんですけれども。』
 

社長は私だけに語りかける為の準備の如く、グラスを置き、こちらに向き直る。
『なおちゃん、ワシ等経営者はな、沢山人に囲まれてはいるが、その実・・・誰も話を聞いてくれる人間がおらんのや。会社でもな。』

『・・・・確かに、トップの方が社員に相談して物事を運ぶというのは、余り聞いた事がありませんけれども。』(その当時の企業はそんなもん)


『そう。それにな、時を追うにつれて、友人も同じ業界や何らかの繋がりを持つ人間になって来る。・・・・そうなると本当に心を許す相手は出来にくい。』

『何だか戦国武将みたいですねぇ。』


『そう(笑)。でも、いかな家康とはいえ愚痴はあるやろ。本来なら女房がその役割を果たさなアカンのやけど、中々そんな出来た嫁さんはおらんし、男にも見栄や照れがあるから泣き言は言えん。』
 
『つまり・・・そんな方々の為に私達がいると?』


『大なり小なり差はある。飲む店も様々や。ワシ等のように「自分の業界の知識もあって話に対応出来る」そんなホステスが多いクラブで飲む人間と、家に帰ってもお母ちゃんと上手いこと行ってのうて、ただ女の柔らかい雰囲気を味わいながら酒を飲みたい人間と、本当に様々や。』

『・・・・・男性の心の隙間を、少しでも埋めて行かないといけないんですね。』


『補う、仕事やと思っとき。「あの子にまた話したらスッキリする。それまで頑張って働こう。」そう思われるホステスになりや。』 



補う・・・・仕事。
補う。


それまで割り切った物が存在しなかった私に、少しだけ方向性が見えた瞬間だった。
補う為には、その人の事に興味を持ち、何が足りないか見極めねばならない。少しでも埋める為に考えなければならない。その人自身を。

それからの私は、お客様の愚痴を一切言わなくなった。
正確に言うと裏では言わなくなった。

勿論私だって人間だから怒る事はある。
だけどその際も自分が何故怒っているか、本人に告げる事が殆どで、裏で言ったりすることはない。

と言うか、埋める作業に取り掛かると、裏で愚痴る事に興味が湧かなくなったのだ。不思議だけれども、本当にそうなのだ。
何故だか難儀な内容でも、本人に考えを聞いて対応する方が楽しくなってしまう。


そして私は店でもウェブでも、お客様の悪口を言うホステスは嫌いだ。(色が絡む場合は別ですが。)そして女性同士で陰口叩くのも嫌いだ。問題があるときは本人に告げてしまう。

皆『ゼニ』というものがあるから働いているには変わりない。
そこには綺麗事なんて存在しない。


だけどお客様の悪口を言うほど嫌いなら、パズルを解く楽しさを見出せないなら、そんなしょうもない接客しか出来ないなら、別の仕事をして欲しい。ゼニの為だけなら、他の仕事の方がずっと割がいい。

しかし・・・・排卵時の攻撃性に甘えて述べさせて戴くが、そんな人は、例えどんな仕事をしても、事を成す事は出来ないだろう。
決して。


何故ならば『仕事』というものの『本質』は、どんな業種であれ変わらないからだ。
風俗であれ、私のもう一つの仕事・・・物書きであれ、会社の経営者であれ、事を成すと云うのは『自分の世界観を構築する。』という事だから。
言葉を変えればポジションを築くとか、ビジョンを持つと云う事だろうか。

一つの仕事において世界観や地位や目標を持てない、また喜びを見出せない人間が、他の事に於いて一体何が出来ると云うのか?
ちゃんちゃら笑わせて戴く。

仕事は二の次、趣味や人生が大事。
『オミズなんてバイトだも〜ん。これで生きて行く訳じゃないも〜ん。不真面目だも〜ん。』それも全然オッケーだ。

だがしかし面白いもので、そういう輩に限って悪口や愚痴がてんこ盛りだったりする。
そしてそんな輩に限って、これまた『オミズとは・・・。』などとウンチクを語ってくれちゃったりする。
私に言わせればこれほど腰の抜ける無様なアホさは無い。

お客様の悪口や愚痴が出た瞬間で、その業種について語る資格などありはしない。
ロクな接客が出来ていない証拠だと言うのに、本人だけが気づいてはいない。
自分の不出来な事に気づかずお客様に刃を向ける。


そして結果は明白。
所謂『上客』はそこを見切り、彼女達の手には決して落ちない。
(事実、上客を抱えるホステスは決してお客様の悪口は言わない。)


言うなれば私の今日のお客様との電話も、彼女達にとっては無駄な事としか映らない。
だが、その相手がどんなコンディションであるか、何故私に電話をかけて来たか、一日の仕事の終わりに女房ではなく何故私なのか。

私はその事自体にとても意味を見出す。自分の価値を感じる。


自分自身の存在を相手に植えつける為には、相手を受け入れる事からしか始まら無い。
受け入れて、受け入れさせ、種を蒔き、水を与え、肥やしをやり、日に当て、花開かせた後も目肥えを与え続ける。

その行為は、自分もそうだが、相手もまた同じなのだと思う。
それから初めて信頼関係が広がり、自分と相手の世界が築き上げられるのだ。

亡き社長があの時に教えてくれた大切な事。





今日、電話をくれた大口の社長。
彼もまた私にとっては大切な宝物・・・。





そしてまた今日、

私は自分が彼の世界の中で、宝物になりつつあるのだと自覚した。

『復讐するは我にあり』
2002年11月15日(金)



先日からちょっと問題があった。
ホステスに良くありがちな口座の問題である。

私のお客様の連れであったお客様が、(つまり枝のお客様)ヘルプに付いた女の子を気に入ってくれて、私の居ない日に来店したのだ。

そこまではいいのだが、何とそのお客様、口座を私ではなくその子にしろとほざいてたらしい。
次の日に出勤した時、黒服がそう言っていた。

いや、いいんだけど、システムで無理なんだよね〜。
個人的には面倒くさいから、お互いがそうしたいならそうすればいいんだが。
(ボトルさえメインのお客様とキッチリ分けて戴くならどうでもいい。)


だけどこういうお店の原則として、口座を店の女の子から女の子へ変えるのはご法度なんである。
店客を女の子の口座に変えるのは割と簡単なんだけどね。
(そりゃそうだよな。店はその方が確実に金になるんだから。)

『口座持ち』とは文字通り銀行口座のような意味を持つことであって、客が現金やカードで支払わない場合(要するに『付け』なんだが)、それを自分の責任で請求し回収するシステムの事だ。

当然未収も出てくるのだが、現金は無情にも期日キッチリに、ホステスの給料から店側に引き落とされてしまう。
つまり『この客の支払いはアタクチが責任持ちますよ。』ってヤツでんな。


そんな支払いや売り上げのトラブルを避けるため、窓口はひとつ。
クリアにするために方法はひとつ。
枝葉であろうが何であろうがスタートが私なら、口座も売り上げも最後まで私なのだ。
それが店側にもホステスにも余計なトラブルが無くていい。


この辺りがクラブの難しい所なんだな。
枝葉に関しちゃややこしいんだよね。

反面年喰ったババァでも勤められる理由はそこ。
いやいや。上手いこと成り立ってますね。



話が少し逸れたが。

黒服から口座がどうのこうのの話を聞いたとき『おや』とは思ったが放っておいた。
そういう折り合いの交渉は本人(この場合はヘルプさんね)がすべきだし、私が率先して店や女の子にとやかく言う事項でも無いからだ。


何ていうか・・・そりゃメインのお客様に手を付けたら私だって黙ってはいない。
って言うか私のお客様を取れるホステスが居たら拍手喝采しちゃうね。見習っちゃう。

だけど今回は所詮枝葉だし。選ぶのはお客様の勝手だし。いいんじゃないのと思ってしまう。
なんか『それ自体が甘い!!』と周りには叱られたのだが。


まあ、でも考えてみると。
勿論その子にも厳しいノルマはあるから、必死は必死だろうが、そんな危ない橋を渡るのは、普通皆避けるものだ。

口座のお姉さんには嫌われ、
中途半端な実力なら、店にはトラブルメーカーとして扱われ、
口座の餌をカサに、お客様の口説き攻撃を喰らうのである。

嫌だろう、そんなの。


そういう訳で放っておいた。
その方が懸命。



んで、昨日のこと。
その子が『なおさん、ちょっといいですか?』と聞いてきた。
ほうほう来たね。何かな。
『先日のYさんの事なんですけど・・・。』
『ああ、あれ?ごめんね〜私居なくて迷惑かけちゃったね〜。』
『お店のほうから聞いて戴いたと思うんですが・・・。』
『あ、うん。いいよ。口座でしょ?移して移して。(本気)』
『いえ、あの・・・。違うんです。私何だかYさんの事怒らせてしまったみたいで。』
『へっ!?』
『アフターにお付き合いしたんですけど・・・私は途中で帰ってしまって。』
『はあ。それで向こうは怒ってんの?』
『私も事情があって、どうしてもお付き合い出来なかったんです。』
彼女はしどろもどろで平謝り。


悪いけど笑ってしまった。
彼女はビックリしてたけど。

『ああ、なんだ。そういう事なんだ。いいよ、無理しないで。
 要するにオヤジ、振られたから怒ってるんでしょ?いいよ、放っておきな。』
『・・・・はあ。』
『あのね、私は女の子の方が大事だからね。気にしなくていいよ。
 メインの客とどうせまた一緒に来るでしょう。
 その時に知らぬ振りで接してあげてくれればいいから。』
『すいません、本当に。』


案の定である。話を総合するとオヤジってば、
「この子もさぞかしノルマがキツイのだろうな。助けてやったら良い事あるかも♪」
なんていう考えで黒服を呼びつけ、
私を口座から外せ、とエエ格好をカマした(つもり)らしい。




ナメやがったな。


こういう場合、私というホステスはオヤジにムカツクんである。
女の子にはムカつかない。何の得もない。ムカつくだけ恥ずかしい。


だってそうでしょう。
この場合私をコケに『しようと』して手を『下した』のはオヤジだからな。女の子じゃない。


よりによってオンナを口説く材料などと、しょ〜もない事に私を使いやがって。
そこまで軽い扱いをアテクシに仕掛けるとはいい度胸じゃねぇか。
さて、どういう風に料理してイテこましたろ、とマジで考えてしまう。


ちょっとだけ楽しいよな。
ううん。すっごく楽しい!


最終的には、あのオヤジが居る専門分野業界の面子とは飲めなくしてやる。
大人しくしてれば、とんでもない大物とも繋ぎを取ってやろうと思っていたのに。
けけけ。何千万惜しい事しましたね。


まあ・・・あんまり怒っても大人気ないから。
それくらいで堪忍してあげましょう。



優しいわ♪
私って♪


『ダイヤモンドは泥水の中より出でる』
2002年11月12日(火)


今日は休んじゃった。えへ。(えへっじゃねえって)
だって前の店にお給料取りに行ったんだけど、何だか疲れちゃったんだもーん。


そこで黒服に聞いたんだけど、
どうやら前の店ってば閉めやがるらしい。(お言葉悪し)

潰れた『A』って店と組んでやり直すのだとか。
けっ。潰れた店同士が組んで何をどうするんだか(笑)。
そんなもんお客様から見たら信用出来ないに決まってるじゃん。


に、しても。私ってば良い時に転職出来たね。
つくづく引っ張ってくれた姉さんに感謝感謝です。
本当にありがとう♪


この人の事、キツイから嫌いって人は多いけど私は大好き。
正直に言ってくれて立ち回ってくれる分、とってもやりやすい。

・・・・・・思うんだけど、
俗に言う『言葉のキツイ人』とか『性格のキツイ人』とかって、
裏を返せば本当の意味で善人だよね。


勿論、その人の傍にいることは落ち込む原因ではある。
時には相手の言葉の刃が心に刺さって、血飛沫を上げることもある。

だけど言う方もそれなりにリスクを払っている。

誰だって他人に嫌われたくはないものなのに、
それを踏まえながらちゃんと言葉を発信してくれる。


本人がそのリスクを意識しているかどうか、なんてのはここでは問題ではない。

むしろ本人の表層意識としては、
言わなければ気が済まない、スッキリしない、そういう場合が殆どだろう。

だけど、それがどんな言葉であれキチンと相手の方を向いているのだから、
人に対して『真っ向から向き合う』リスクはまだ背負ってる訳ですよ。


だって、良い人振りたいなら周りにバレない範囲で、蝙蝠のように立ち回ればいい。
嫌いな奴が居るのなら、罠をはってじっと猫のように潜んでいればいい。


でも彼等はそうしない。
自分も傷を負う道を、敢えて選んでいる。
私にしてみれば随分と正直で粋で素敵な人間だと思う。
まだこちらに対して敬意を払ってくれる人達だな、と感じる。



本当に恐いのは自分の心を晒さない人間なのであって。
本当に汚いのは触れ合いを拒絶する人間なのであって。


だって彼等は見えていない。

他人の心も、
自分の心も。

それが本当に、
一番恐い。


そりゃ私だって未熟者だから、他人の心も自分の心も見えてはいない。
でも、
見えないけれど、見つめる努力はし続けたいと思う。


自分だけの事を考えれば、確かに正直者は馬鹿を見る。
自分にとっての利益だけを思うなら、前述のように猫を被る蝙蝠であるのが良い。

だけどそれでも、出来るだけ自分の感情は素直に表現したいなと思う。
所謂『賢い人』から言わせると馬鹿なのだろうし、損な事も多いのだけれど。


でも私は自分の為だけで生きるのではなく、自分の利益を考えるのではなく、
自分の目の前に立つ他人の為に、自分を晒して行けたらなと思う。
不出来で不器用で馬鹿に見えても、そうしたいなと思う。

だってその方が相手は楽じゃないか。
私が何を思ってるか解ったほうが、相手にはやりやすいじゃないか。

だから晒す。
馬鹿で不利だけど晒す。


実はその方が得るもの、残るものが多いのを、ちゃんと知っているからなんだけどね。









人生には、いつにでもどこにでも宝石が落ちている。

でも宝石は泥の中からしか掴み取れない。


『ホステス御用達美容院』
2002年11月11日(月)


ホステスと言えば美容院。


ちょっといいクラブに勤めるとなると、
美容院に行かないと店から小言を食らったりする。
それだけ日給が高いのだから、美容院くらい行けと言う理屈なんですね。


でも日給が低くても言われる場合があるらしい。
綺麗にしないとお客様に失礼だから、という理由で。
そういうのってちょっと厚かましいんじゃないの。
払うもん払ってから言えってカンジ。

時給換算一時間ぶん以内でセット代が出る店に勤めていないと、こっちも採算合わんのだ。
セットのお金も毎日になると馬鹿にならないからね。
店によって値段はまちまちだが、キタもミナミも3000円くらい取るんだもん。


大型店やキャバクラだと専属の美容師やメイクさんが居たりしてね。
あれはあれで面白いのだが、時間待ちが長いし店からその分天引きされたり。
不本意でかなりうっとおしいし、銭払ってる快感も我儘も存在しない。
そういう訳で、私は店舗に専属さんが居ても他所に行ってました。


しかしいくら綺麗にしなければならないとは言え、3000円は勿体無い。

もともと自前で何とかするのが好きな性格の私。
スーツ縫いたさに洋裁を習ったりするくらいだ。
(そのうち今度は和裁を習おうともくろんでいる。)

そんな私だからある程度は自分でセット出来るようにお勉強した。
その甲斐あって腕前は上々。
自分でセットしても、『美容院行ったのね。』とママに言われるくらいに。


だが和装となるとそうもいかず、美容院のお世話になる事がままある。
これがまた面白いんだな。

今は髪の毛グッズも進歩していて、実に多種多様に楽しめる。
髪の毛が薄くても短くても、どんな髪型も自由自在。
岩下志麻にもお蝶夫人にも塩沢トキにもなれる。

手持ちのウィッグを持って行けばそれをもとにアレンジしてくれるし、
アクリル綿を芯にして土台を組み、クリスマスツリーみたいな頭も可能だ。

自分の頭も面白いが、他の女性達が仕上がって行くのを見ると、
本当に楽しくて仕事に行くのを忘れるくらいになってしまう。


ところで和装の時は原則として頭のセットが先で、着付けは後になる。

これは着物がスプレーなどで汚れるのを防ぐため。
何たってシューシュー半缶くらい吹いてんじゃないの、というくらい吹き付けてくれるんだから。
(そう考えると安いよなあ。)

あと、座って帯が崩れるのを防止する意味もあるかな。
座ってる時間はそんなに長くないけれど待ち時間もあるしね。



しかしねぇ・・・・。
着付け場所に行くまでは、Gパン姿に岩下志麻の髪型なんだよね。

我ながらすっとんきょうな格好だよ(笑)。


『クラブホステスはスナックホステスを差別するか』
2002年11月10日(日)


拾う程のネタもなし。

でも飲んじゃった。
ボトル2本開けるとさすがに酔っ払げ。



さてさてお問い合わせの件ですね。

『クラブホステスはスナックホステスを差別するか?』


・・・・・・しますね。
悲しいですが。

勿論、そんな考え方の奴はアウトですが、存在します。
では何の何がどう違うんでしょうかね?


スナック=カウンター越しに接客(建前はね)。

ラウンジ=同席、またはカウンター越しに接客。
     基本的に『誰それの客』というのは無し。
     でも主張するヴァカもたまに生息。
     店舗によっては同伴などのノルマあり。

クラブ=口座あり。口座とは客が飲んだ酒代の責を担うこと。
    未収で飛ばれると最悪。動員、同伴、は当たり前。
    周年など最悪。イベントも最悪。お化けも最悪。

キャバレー=完全指名制。そのたびに指名を変えてもオッケーだが、
     (クラブは原則的に変えられない)とんでもない顰蹙を食らう。
      クラブと同じようなシステムの店舗が多いが、
      個人営業のような感覚で勤められる。
      究極の貸し借りの世界。
      トイレの前などに成績を張り出される事多し。

すっげ〜おおざっぱだなあ。
呆れるぜい。
ま、いいか。


さて、昔話です。


その昔、私もスナックホステスでした。
それがラウンジに行き、クラブに行きます。
私はこの間にキャバレーも経験しましたから、
まあ一通りの『水商売』と呼ばれるものはこなしている訳です。

そんな私は言い切ってしまいますが、
やるこたぁ一緒です!!
酒作って飲ませて会話して遊ばせて酔わせてふんだくる!!
・・・・んですな。
要は。


その中でスナックは黒服に頼らず自分達でマメに動くぶん安く、
クラブやラウンジやキャバレーは黒服を養う(失礼)ぶん高く、
なってしまう訳です。


思うに、
究極の水商売はキャバレーですね。

一見さんが多いあの職種で、口座もクリアで無く、
いかに『次に繋げるか』が常に課題であるキャバレーは、
一瞬一瞬が戦いの連続です。

今はそういうシステムで動いているのはキャバクラなんでしょうね。
働けたら面白いでしょうね。
戦々恐々としてて実に楽しいでしょうね。
いいですね。
魑魅魍魎なんでしょうね。
うっとり。


で、ですね。
クラブホステスやキャバレーホステスってのは、
お客様を持てば持つほど、
『アタシがアンタ達の給料出してやってんのよ!!』
と、黒服ちゃん達にくってかかったりします。

実際の所ワタクシも小娘の頃は、
『こらぁっ!!いてもうたろかぁ!!おんどりゃぁ!!』
と、お客様に無礼を働いた黒服に怒鳴った事もございました。
懐かしいですね。


今はペンギンだと思って、可愛いわねえと揉んでやったりしてますが。


戻りますが。
クラブホステスの、
『アタシがアンタ達の給料出してやってんのよ!!』
の自信の源は、
『稼いでんのよ』『数字出してんのよ』ですからね。

だから自分の数字がクリアにならない分野のホステスを、
馬鹿にしてしまうことは(傲慢ですが)あるでしょうね。

もっと云うと稼いでも搾取されちゃう悲しさも存在するから、
八つ当たりの感も否めなくもないんですが。


個人的に云うとですね。
おんなじ飲み屋のねえちゃんなんですから、仲良くしようよって感じです。

今日お客様といらしたスナックのママは、
『あなた方のようなクラブホステスさんと私達スナックのホステスは違うから。』
って妙に卑屈でしたね。

ああいうのは好かんです。


だいたいですね、
そんな事を決めるのは我々ではないんです。
ご判断なさるのは、あくまでもお客様なんです。

クラブに勤めようが、キャバレーに勤めようが、
『お前はスナックホステスだ。』とお客様に言われればそれはそうなんですよ。
逆もまた然りで。

いつでもどこでも、
自分の評価というのは自分がするのではなく他人がするものです。


特に今の時代、
働いてる我々も苦しいのですが、
たかが酒に大枚はたいて来て下さるお客様の方が、
もっと、もっと、大変な思いをなさっておられるんです。


その大枚をはたく場所が、
スナックであろうがクラブであろうが関係ありません。

同じ業種の我々に出来ることは、
ただ心を尽くすことだけ。


お互いのくだらん差別意識に振り回されるよりも、
目の前のお客様を見て行くべきだと思うのです。


一瞬一瞬を見ていくだけです。



以上っす。
*****************************************
すいません、酔ってるから文章おかすぃです。
*****************************************

『ホステスの売り方は3通り・飲む、喋る、寝る』
2002年11月09日(土)


これは昔に聞いたハナシ。


『ホステスには3種類のパターンがある。
 
 飲んで店の売り上げに貢献するホステス。
 喋って客を楽しませ惹きつけるホステス。
 
 そして客と寝て客を引くホステス。』


これを聞いた時、ほほう、と感心したものだ。
周りを見回すとなるほど、パターンに当てはまる。

いや、一応仕事だから皆ちゃんと飲むし、喋るのだ。
だけれども両方に長けた人間は中々存在せず、よく見ると必ずどちらかに偏っている。


物静かな酒豪ホステスは、にこやかに頷き客の話を聞いている。
一生懸命に話すお客様は彼女が何杯飲んだのか気が付いてもいない。

酒が苦手なホステスは、ポイントを押さえてさも量をこなしているように見せかけ、
明るく陽気に振舞いお客様を宴会モードに引きずり込む。

簡単に言うとそんな具合だろうか。


そして、たまに脱線してしまうホステスさんもいる。
所謂『枕ちゃん』と呼ばれる方々だ。


指名欲しさにお客様と寝る人も現実として多い。
何をやってんだかこちらから見れば本末転倒なのだけれども。

競争心を煽ってくる店側の戦略にハマっているのだな。
解らぬでもないが、そういうのは余りにも馬鹿馬鹿しいと思う。

最悪なのは寝ても指名の取れないホステスさん。
これもまた多かったりする。


寝るなとは言わないが、せめてヤリ逃げされる憂き目には遭わないで欲しいと、
同じ女としてワタクシは思うのです。



・・・・一度自分のお客様とヘルプさんがイタされた事がございましてね。
それでもそのお客様ってば、その子をメインにせず私の口座で居続けたのです。
まあ義理とかもあるんでしょうが。

考えた挙句、社長も男なら女性には義理を通して下さい、と言い口座を外して貰いました。
女性の方には、お付き合いなさるなら義理堅い方がよろしいのでは、と言いました。

居辛かったのか、彼女はすぐにやめてしまわれましたけれど・・・。


後日そのお客様がホッとなさったように遊びに来られた時には、
私は何とも悲しい気持ちになったものです。(笑顔で接客はしましたけれど。)


ごくたまに、そういうやり方ではなく、うまく義理堅いパトロンを掴み、
自分の給料分は店で飲ませる、そんな達人ホステスもおられる事はおられます。


でも・・・個人的には喋ったり飲んだりして接客する方が、まだ楽だと思うんですが。
寝て引っ張る方が、よっぽど高等技術なような気がするんですけどねぇ。



如何なもんでしょう。

『静と動のバランス』
2002年11月08日(金)


日記は真面目なんだけどなあ。
オミズもそれなりに真面目なんだけどなあ。

原稿が遅れて編集さんに怒られた。
ごめんね♪
(ごめんねぢゃねぇって。)


『このままだとコイツ、年末進行はヤバイ。』
そう思われたのか、さっきからしつこくスケジュール確認してくる。
ええい、うっとおしい。


そもそも。
物書きの仕事はヒッキーでも八丈島とかの離島でも出来る。
取材物は別だが、それ以外は自宅から一歩も出ずに成り立つ。

つまらんのだね。
いびつなのだね。


人は人と話さないと駄目になるのよ。
人と話さないと、色々な物に触れないと、面白いものも書けないのよ。
だからワタシ、接客業は大好きなの♪


例えて言うならモノ書きは『静』で、ホステスは『動』だろう。
そして日常生活の中でこの『静と動』を使い分ける事によって、
私は相反する両業のバランスを取ってるのだろう、と思う。


事実、家にばかり居て、外に出ないと筆が全然進まない。
ただダラダラと時間を過ごし、日が暮れていく。

反して、仕事帰りに思い立ちパチパチ弾く方が効率が良かったりする。
面白い物が浮かんで来たりする。評判も良かったりする。

書くのは時間ではなく集中力なのだなとしみじみ思う。


北新地に一人ご同業が居るのだが、
彼女もまた同じような事を言っていた。

『夜の街って変な事がゴロゴロしているからネタには困らないよねぇ。』
『そうそう。この間の○○ー北新地店のワイングラス事件なんかスプラッタよねぇ。』
『あれなんかホラー向きだよね。自殺者出たテナントの跡地の店舗だし。
 因縁じゃぁ〜ってノリで一本書けそうじゃん?』
『お客も酒飲んで本能が出てくると、本音しか言わんから心理も掴みやすいしねえ。』
『行動も突飛だからね。をいをい、何してくれんの?ってギャグネタ盛り沢山(笑)。』

先日もそんな会話をしたところだ。
・・・・悪党2人連れ。


一部のお客様は私の本業を知っていて、両方こなす私を感心してくれる事が多い。
別に大した事はしていないのに、どうも頑張っているように見えるらしい。
(本当に頑張ってたらオウチに缶詰っすよ。)


周りの方々から見ると器用そうに見えるのだろうが、実はそうではなく。


静が無ければ動も無いのだ。
動が無ければ静も無いのだ。


解りやすく言うと、
この仕事をしている・・・という特徴は夜のお仕事で『掴み』のひとつに変わり、
本業では夜の仕事の面白いネタを大きく活用出来る。
と云った所でしょうか。


私はただ単に、そういう相乗効果を利用しているに過ぎないのだ。


さあ、今日もお仕事だぃ!
今夜もネタを拾いに行ってくるべ!!

『給料の3倍を稼ぐ必要がある』
2002年11月07日(木)


最低でもそれくらいの実力は必要。
これは別に水商売でなくとも同じことが言えるのではないだろうか。


スカウトを受けた時に、お客様であり企業のトップである御仁に相談をしたのだが、『お前は銭になる女やからな。』そう言われた。
何となく意味は解ってはいたが、まだ出て来て3ヶ月という浅さが、どうにも自信の足を引っ張っていて、その言葉にすんなりとは馴染めなかった。

『そうでしょうか。少なくとも給料の3倍は売り上げないと、
 私という女の値打ちは無いのではないでしょうか。』

『その通りやな。ただ時間を売られるのは雇う方としては困る。
 それはワシらの会社でも同じなんやで。
 最低でも自分の給料は自分で出す、それくらいでないと雇う値打ち無い。
 でないとマイナスが出るやろ。アホ臭いやん。
 3倍売り上げるなら店の経費も出せるし、儲けも出てくる。
 経済の仕組みとして考えたらそれがギリギリのラインやろな。』

『今の私には自信は無いですけどね・・・。』

『皆が迷うのはそこやろ。
 スナックホステスがラウンジへ、ラウンジホステスがクラブへ。
 チャージも倍づつ上がって行くからな。何人連れて行けるかが勝負や。』


ふと、溜息を漏らす。
『私は一店舗につき御一人付いて来て戴ければ御の字だと思ってはいますが。』

『何のコネクションも無い状態ならそれで当たり前や。今の時代は特にな。
 お前はパトロンがおる訳やない。パトロン繋がりの客がおる訳やない。
 全くの「素」の状態の勝負やからな。不利と言えば不利やろうな。』


だけどな、と社長は続ける。
『お前がパトロンもおらん、実力でやってる、そういう姿勢をワシ等はちゃんと見てるで。
 今の店のママはパトロン繋がりの客が殆どやろ。実力で渡ってる訳じゃ無いで。
 その証拠に見てみい。あの店が新規の客を何人掴んでるんや。』

『・・・・それはね、実の所・・・他のお客様にも言われてるんです。
 いつ来てもパトロンの顔があるから来たく無い、
 店が良いからという理由で行くのではなく義理でしか行かない、と。
 ショックでしたよ。とても。しかもおっしゃってるのが洒落にならない人ばかりでして。
 私としてはその言葉自体、これはこの人を引っ張るチャンスなのかも知れない、
 そうも思いましたが・・・・躊躇はしますね・・・やはり。』


『なおちゃん、そこやねん!!』
社長様、キラリと目を光らせ乗り出す。
『そういう迷いや苦悩も、ワシ等はちゃんと見えるんやで。
 でも仕事せなあかん、売り上げ上げなあかん、
 そういう風に頑張ってるから、
「どうせ銭落とすんやったらあの子の所に行こう」ってなるんや。』

『とにかくやってみぃ。
 今のまま迷ってても一緒や。
 自分の実力が数字としてクリアになる世界を、お前はキタで知ってるんやろ。
 数字の出し方は知ってるんやから、答えが出てから冷静に判断出来るやろ。
 自分が銭になるかならんかは、それから判断せぇ。』



それから一ヶ月が経った今、最初の店からは確実に7人を抜き、(元客は別として)現在の店で勤務3日目の段階で、給料の3倍は何とか出している。
もちろん、今の所だけれど。

経済の仕組みとして(笑)何とかなりそうかな、と思いながら・・・・それでも慎重に事を運ばねばと自戒する。
まだまだ解らない。
本当に解らない。


あの時、私の背中を押してくれた社長には感謝している。

これからも感謝し続ける。


『ちゃんと見てるんやで。』
その言葉に感謝している。



だから頑張る。
一生懸命に。

『お客様還元セール!!』
2002年11月06日(水)


夜叉狸の御殿勤務3日目。っていうか、あの歳で(70)現役ってのが凄いんですけど。うちのママ。

昨日はお客様(重役様)が同伴してくれて助かった。
ご飯は『六根』。オデン美味しかったです。どうもいつもすいません。本当にご馳走様でした。

んで、八時過ぎに入店。がら空きの中での同伴。何とか格好はついた。私のお客様は動員は出来ても同伴は中々難しいのだ。働き者ばかりだから、遅くまで仕事をしている人がほとんど。
でも今日は私の滅多に無い泣きいれに、重役様が助け舟を出してくれた。

に、しても。高すぎるんじゃないの。値段。あのボトルでボリ過ぎやっちゅうねん。
また借りを返さねばならなくなるではないか!!
お洒落な重役様は変にボトルで返せないから高くつくんだぞ!!!


はあ・・・・いっそのこと「枕ちゃん」になれれば楽なんだろうなあ。
タダで済むんだもん。私みたいに収入の三分の一を還元などしなくてもいいんだからさ。
まあ、枕ちゃんになっても向こうからお断りされたら、本格的にヘコむから嫌なんだけどね。


来週の同伴はどうしようかな。ちょっと年末だけに苦しいわねえ。
こうなったらお客様還元セールでも開かねば。
営業兼ねて奢っちゃえ!!
もちろん、他所の店でね。


高すぎてお客様が気を使い過ぎるもん。

嘘です。
甲斐性なしなだけなのでした。

『クラブにスカウト!初出勤レポート』
2002年11月01日(金)


案の定クラブにスカウトされたので転職、初出勤だ。
早いな、おい。

今度はミナミでもそこそこ名の在るお店で、将来を考えるときっと役に立つだろうと思う。その代わり随分と高くなった。お客様は付いて来てくれるかな。(不安)
変な話だが「ここにいました」って言える店でないと、動いても意味が無いからな。ピカピカで嬉しい店内。前に比べるとアップ。


そして今日は例の真っ白の着物が仕立てあがって来たので早速着用。
帯は黒地に金とエンジ色の模様の入ったもの。
帯締めは金、襟はエンジ、帯揚げは白、まあ極妻なこと(笑)。

この着物は前出の地元ぱぱ(某有名人)が買ってくれた。
私の事が昔から可愛くて仕方のない奇特な御仁。
着物を着てみようかと思う、と何気なく口にしたらポンと投資してくれた。

「嫌ぁ〜!!私の体が目当てなのねっ!」と言ったら、
「着物着たらどんなんやろと思うて。拝観料やな。」ですと。
まあ何と粋(無駄)な遊びをしなさるのざんしょ。

そういう訳なので着付けて使用はしたものの、目立たない部分に仕付け糸を残している。
買ってくれた人に、仕付けを切ってもらうのが昔からのしきたりだから。
ありがと、ぱぱ。愛してるわん♪



さて、初出勤は3名様の動員。

3人のうちのお一人、実は某映画館のオーナー。
私にはそうは思えなかったのだが、一緒に来られた他のお二人が言うにはこの人、とっても難しい人だったらしい。
ミナミであろうが北新地であろうが、どんな有名店であろうがランクの高い店であろうが、どんな女の子もキャッチ出来なかったのだとか。

「飲みに誘ってもつまらなさそうにしているから誘いにくくてねぇ。
 それなのに今日はコイツから『なおちゃんの所に行こう』って
 誘いがあってさ。いやもうビックリしたよ。」

そう聞いてビックリしたのは私の方だ。
映画が大好きな私は意外とマニアックなイタリア映画やスペイン映画も見てて、その話で盛り上がって楽しく接客出来たというのはあったが、何だか自分ばかりが熱く語ってしまい、反省しないと・・・くらいに思っていたのだ。

その旨を映画館オーナーMさんに告げると、彼はこう言った。
「うん。なおさん『ライフ・イズ・ビューティフル』に凄いコメント出してたから。」
きょとんとする私になおも続ける。
「あれね、映画会社のキャッチコピーは『人生は宝物』だったんだけど、
 あなたはあの映画を『世界一美しい嘘のつきかただ』と言ったでしょう。
 何だかそれがツボに入っちゃってね。』

ああ、そうだった。
あれは私の映画鑑賞人生においてベスト3に入る名作だ。
おんおん泣いたのを覚えている。


「ちょっと鳥肌が立っちゃってね。この人はどういう人なんだろうって興味が湧いて。」


接客の基本は、こういう所なんだろうなとしみじみ思う。
話す相手との共通項を沢山持つことが、自分という人間に興味を持たせる手段なのだ。

つまり自分が日々何事にも興味を持ってチャレンジすること、
枠を広げていくこと、知識を有効に活用すること。


綺麗なホステス、出来るホステス、賢いホステス、がお客様は好きなのではない。
素直に吸収できる、一生懸命な『人間』が好きなのだ。


馬鹿でもいい、懸命に日々を輝いて生きてるならば。
ミスをしてもいい、素直に頭を下げれる人間ならば。
綺麗でなくてもいい、心からの笑顔で迎えられれば。


そんな風に日々を生きていれば、こんな細かい事で、一本の映画で、
人を惹きつける事が出来るのだから。

特別な『ホステス』になる必要などない。
ただ面白い人間になれば、人は惹き付けられるものなのだ。


「今度試写会があるから一緒に行こうね。
 プレミアショーの時はお洒落しておいでよ。」
「な、生トム(トム・クルーズ)見たかったです。
 前回はご一緒出来なくって申し訳ありません。
 でも、一緒に映画を見れる男の人って中々居ないから嬉しいです。」
「そう?そうかな?映画はいいもんなのにねえ。」
「ですよね〜。でも男性ってしっとりと浸って見るって苦手なようですよ。
 お客様なんて特に(老眼が多いからか?)字幕を嫌がる方が多くて。」
アフターの銀座寿司での会話である。


帰りは着物に気を使って戴いて、タクシー代まで出して戴いた。
すいませんね、オーナー。いたれりつくせりで私は幸せもんです。


さて、今度時間を作ってオーナーお勧めの「トリプル・X」を見に行こう。
興行収入は余り良くないらしいが面白いらしい。これもお勉強、な〜んて思わない。本当に好きで行くのだ。


わ〜い。楽しみ♥
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