地上懐想
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2001年01月03日(水) |
地中海、アレキサンドリアより 2 |
アレキサンドリアから見た地中海はすばらしかった。 特に朝、かつて要塞だった建物のてっぺんから見た地中海は、大快晴の空の下、ほぼ360度にわたって青く輝いていた。 あんなにすごい青色をわたしは見たことがなかった。
アレキサンドリアという町は、どこかエジプトばなれしている。 もちろん、その辺を歩いている人の姿かたちや、市場が「スーク」的であることなんかを見れば、まちがいなくエジプトの町だ。 だが、町のイメージとしてエジプトというよりは、ギリシャかどこかの地中海の町、といった方がぴったりとくる。古代エジプトの建造物がこの町にあるのかどうか、少なくとも主な観光ポイントには入っていないことは確かで、それがルクソールなどの「いかにもエジプト!」という町と一線を画す原因となっているのはまちがいない。
たしかに町の歴史を少しでもひもとけば、ここが紀元前何千年も前から、地中海の重大な交易ポイントであり、ギリシャをはじめ沿岸諸国の民族が入り交じって生きてきた国際都市であることがわかる。そもそも、「アレキサンドリア」という名前からしてエジプトばなれしている。 あのクレオパトラが生きたのもこの町であった。(彼女はギリシャ系? 手元に詳しい資料がないのでうろ覚え)。そして彼女にかかわってくる、カエサル、アントニウスといったローマ人たち。 また、2万冊だかの本を所蔵した、当時としては驚異的な大図書館があった町でもある。(わたしは図書館というもの自体が好きなので、こういう町にはそれだけでも惹かれてしまう) 古来より、人と情報が交差する町なのであった。
そして、この町を舞台にした印象的な小説「アレキサンドリア四重奏」がある。
つづく
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