砂漠の図書室
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「降りしきれ雨よ 降りしきれ すべて 許しあうものの上に また 許しあえぬものの上に」
今日は朝から雨。 冬に逆戻りしたかのような寒さの中、夕方、教会に向かう。 途中、いつものように公園の中を通っていく。 冷たい雨と風の中で、それでも桜はひたむきに、美しく咲いている。 ほかの木々も凛として立ちつくしている。
そんな中を歩いていたら、昔、合唱団で歌った曲を思い出した。 合唱界に身をおいた人ならきっと誰もが知っている『水のいのち』という合唱組曲。 冒頭はその1曲目「雨」の中の一節。 おそらく聖書の「父は悪人にも善人にも太陽を昇らせ、正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる」(マタイ 5;45)という言葉から生まれた詩のように思われる。
この曲は大学4年の12月、信州での演奏会で歌った。 私たちの学年にとっては、2年越しの念願かなっての演目だった。 私にとっても、日本の合唱曲の中でたぶん最も好きな、とても大切な一曲となっている。
作詞は高野喜久雄、作曲は高田三郎である。
あの頃は、高田三郎といえば合唱曲の作曲家としてしか知らなかった。 ましてや、作詞の高野喜久雄という方のことは何も。 この方は「呼ばれています」(一般賛歌409(典礼聖歌) 賛美歌83(賛美歌第2編))という曲の作詞者でもあることをつい最近知った。
「呼ばれています」は、大学の礼拝でも時々歌っていた。 「水のいのち」と同じ作詞者・作曲者だとはまったく知らないまま・・・ 昔から好きな曲で、今もミサのオルガン当番の時、閉祭の歌としてこれを選ぶことがある。
学生時代、すっかり無神論者という気持ちだったにもかかわらず、 なんと神は近くにおられたことか、と思う。
そして、立ちかえったことの喜びを・・・
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「雨」 高野 喜久雄 詩
降りしきれ雨よ 降りしきれ すべて 立ちすくむものの上に また 横たわるものの上に
降りしきれ雨よ 降りしきれ すべて 許しあうものの上に また 許しあえぬものの上に
降りしきれ雨よ わけへだてなく 涸れた井戸 踏まれた芝生 こと切れた梢 なお ふみ耐える根に
降りしきれ そして 立ちかえらせよ 井戸を井戸に 庭を庭に 木立を木立に 土を土に
おお すべてを そのものに そのもののてに
2003.4.5 記
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