砂漠の図書室
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2001年04月26日(木) 『光る砂漠』 2



今日、3月10日は矢沢宰君が天に召された日。
彼の絶筆となった詩をここに・・



『小道がみえる・・・・・・』


小道がみえる
白い橋もみえる
みんな
思い出の風景だ
然し私がいない
私は何処へ行ったのだ?
そして私の愛は





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矢沢宰君について -- 『光る砂漠』の解説から

「矢沢宰君が十四歳の十月から詩を書きはじめて、二十一歳の三月十日の未明に、たとえようもなく清らかに強烈に燃えたその生命が最後の息を引きとるまでの七年間に書いた詩は、ゆうに五百編をこえている。

この若さで、これだけの質の高まりをみせた詩を五百編も書き残して死んでいった例は、おそらくこれまでになかった」


「ここに収めた五十四編の詩の半数以上が、矢沢宰十六歳の詩作である。
十七歳、矢沢は、ふつうより三年おくれて、病院附設の養護中学校へ通うところまで奇跡的に健康をもち直す」

「十八歳で、三年間のところを特別進級で二年間で養護中学校を卒えて、県立栃尾高校を受験、合格、五年間の病床生活に別れをつげて、自宅から通学するようになる」

「二十一歳の三月一日、心配された腎結核の再発で、少年時代を送った、もとの三条結核病院に再入院という最悪の結末を迎える」


「人間という動物は恐ろしい動物である、ということが現実になりかけているとき、彼の詩は、その詩の独特な『うつくしさ』(透明さ)『かなしさ』を通して『なつかしい』存在であることを教えてくれる」



矢沢宰 詩集『光る砂漠』
周郷博 編 ; 薗部澄 写真
童心社 1969.12 初版


2003.3.10 記


clara-p |MAIL