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■ わかりあえないという敗北・下
ヤバイヤバイ…それだけが心の中にえんえんと響く。だが、この人は私のかなりの仲良しとなっていた。とにかく彼女を理解したいと思った。一緒に信仰することはできないだろうが。それに今すぐ勧誘しそうな雰囲気では無かった。
よし、まずは平常心を取り戻そう。そして話を聞こう、そう思った。
この人は、まず親がこの宗教を信仰していたという、いわゆる二世の宗教会員だったそうだ。幼い頃は「どうもウチの家はほかんちと違う」そう悩んだこともあったそうだ。
ただ親がかなりの熱心な宗教会員だったので、自分の子を、ここの宗教のエリートにすることがずっと夢だったそうだ。友人はこれに答え、ここの宗教の文献にも精通し、常に精進、試験を怠らなかったために若くして、たくさんのジジババに週に数回説法を説くような位にまで登りつめた。
日常の仕事も普通に尊敬に値するようなクリエイター職で、技術は素晴らしかった。だからすっげーと思って仲良くなったんだがね。
友人はこの宗教をやっていることを職場の誰にもカミングアウトしてなかったようだった。そして知ってしまった私。でもうさんくさい目でみないで、信仰をもっている友人を認めてあげたい――こっからが私の苦悩の始まりだった。
休日の前の日に電話が鳴る。するとこの友人で
「一緒に○○国王の展覧会があるから見に行こうよ」又別の日には 「××国の写真展があるから行こうよ」
全てここの宗教幹部と繋がりがある国の国王の展覧会である。もちろん主催者はここの宗教団体だった。集まる人全部ここの宗教の人(涙)。あああ、キツイ、キツスギルゼ…
挙句の果てにはその宗教の総本部に「信仰のテストがあるので、本部に課題本を買いに行きたいの」などと言われ(涙)、全てこの友人を認めてあげたいが為に一緒に行ってあげた。
全て友人の為だったのだが、それがいけなかったんだろうな。今度は次第にそこの宗教の発行物を定期的に取ってくれと頼まれるようになる。
私はこれも付き合いのつもりで期間限定で取ったのだが、ここでやはりこの人はおかしいということに気が付く。
この発行物が、宗教やってない人にはホントに「何言ってんだ?この宗教の代表者??」というようなまるで一般の人には理解できないようなことが延々と続くんだよ。あまりにも現実味が無いので辟易して一切読まないではじから捨てていたのだよ。
それなのにね…この友人と私の会話を記すとこうだった。
友人「どう?発行物は?面白いでしょう。普通の情報欄もあるし」 私 「…うん、まあね」 友人「今の世の中、嫌なことが多いから、ウチの宗教の発行物を読むと明るい気分になれるでしょう」
ああ、友人は私があくまで”付き合いで”発行物を取っていた、ということを理解してなかったのね。それにこの記事読んだところでうさんくさくって、決して明るい気分になれないよ。こんなに頭のいい人なのに、こんな記事に喜んで、私に押し付けて…
友人は本当にここの教団の人間なんだな、と思い知らされた。私はこの発行物の継続を断った。とにかくもういいよ、の一点張りで断った。
その後もそんなにむげにすることもできず、結婚し、子供もできた私に友人は発行物を勧める。
「明るい気分で子育てができると思うから、私がお金を払ってプレゼントしてあげる」
もうダメだ。
この時はきっぱりと断った。友達の気持ちを大事にしてあげようとはもう思えなかった。私の心の中ではこの友人との決別が決まったと思っている。
今でも時折メールや電話が来ている。もう私は話をしないけどね。そこにはこう書いてある。
いつもあなたとあなたの家族の幸せを私の神様に祈っている。朝昼晩に。
ありがとう。
だけど、あなたが祈っているあなたの神様が、私には見えない。
どうしてこれを理解してもらえないのだろうか。あなたとはやはり、わかりあえない。誰が悪いというわけではないが、この敗北感は何なんだろう。
それはもう、ずっと私の心に引っかかったままだ。残念でならない。
2004年02月20日(金)
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