お行儀良くしている人が時折見せる、獣の目。あのギラついたような。黒目がひときわ大きく拡がる瞬間の、…その伸縮の様子が見たい。瞼を上げて、小刻みに震える睫毛。指先まで集中する、あの感覚。あの人の目が欲しいと思う。けれど、私にはそれを保存する瓶も無い。あの目はきっと、抉り出した瞬間に、その光を失うだろう。白く濁った魚の目。…暗く澱んだ、人間の目。褐色の保存瓶に入れ、あの液体に漬けたままにしても、やはり駄目だ。愛が無い。