ああ、こんな所にこんな事を書いたって、貴方には何も伝わらない。
例え、私が貴方に会う事が出来て、何か言葉を発する機会に 恵まれたとしたって、それでも何も伝わらない。
私は貴方の前では、全ての意味ある言葉を失ってしまう。 スットンキョウで場違いな言葉ばかり口を突いて出て、また、私は 自ら、貴方に私を知ってもらうきっかけも、こうして捨ててしまう。
私はあの人の前では、自分の形を保てない。 一番外側で貴方に触れる筈の、私の輪郭が、揺れて揺れて 不安定になる。自分を保つはずの境界線がぶれる。 貴方が私に触れてくれたら。 いや、違う。もしも貴方が私に触れてくれても、きっと何も伝わらない。 私が貴方に触れても。貴方は別の誰かを好きだから。 今は触れるどころか、会う事も話す事もないし。貴方はきっと振り向かない。
あの人は、ただの男。それだけの筈。
ああ、それでも、どうしたってこの気持ち。死なないで。死なないで。 私の欲求は、貴方をバラバラにする。知りたい気持ちが多すぎて、 思考が貴方を分解する。これでは、私の中で貴方は居ないのと同じだ。 私は貴方を知りたいのに、貴方にこの気持ちを伝えたいのに、 全ては、一度身体の外に出した途端に、それぞれが部品に成り下がる。
何もかもがどうしようもなくても、それでもやっぱり、貴方が好きです。 ああ、気付いて。死んでしまえ。…それでもやっぱり、貴方が好き。
確かめたい。
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