理由のない衝動を、昔から愛している。
心を奪われるのにいつも理由などなくて、それが何時から 始まってしまったのかも知らないし、それを知る事を、私は自ら避けている。
今まで私をとことん夢中にさせたのは、幼少からしている 読書と、飽きっぽい私が唯一続けてきた水泳と、そして恋だけ。
…だけど、いつもいつも、その理由を考えはじめた時から どれもこれも急速にその気持ちは収束する。
理由を考え始めるとき、気持ちというのはすでに沸点を越えた後で。 夢中になっている最中はいつでも幸せだけれど、その頂点を過ぎたら あとは死んで行くだけ。私はそれがとても怖い。 いつか、衝動よりも先に、理由の為に動くのではないかと。…。
気持ちが死んで行く事が怖い。こんなふうに胸に込み上げてくる 私を動かす原動力が、その衝動が消えて行くことが。
…だけど、そうして消えてゆく儚さを思うからこそ、 理由が見つからない衝動を愛してやまずに、恋焦がれるのだろう。
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