あの人の座っていた椅子を眺めて、数分前までいただろうその人を思い浮かべた。愛すべき人の前で、こんな事を思う私は、その真髄から穢れているのでしょう。あの人の残した煙草の空き殻を、自分の鞄に詰め込みたいような衝動に駆られ、そして悲しくなる。私は、貴方に初めて会った時の事を思い出して、そしてやっぱり、悲しくなる。貴方と会えた事を喜びと感じると同時に、きっといつか別れる事を思って、来ない未来の平穏を思って、私はやっぱり、その悲しみに気が付くのです。