訳も無く 無性に悲しくなる時がある。匂いは全てにおいて、全てをもう一度、再製するから嫌い。もう二度と、帰らないものを、思い出させるくせに、全く別のものにそれを変えてしまうから。二度と帰らない道。二度と無いあの日の夜と、その肌のぬくもりも。形の無いものが、私を想い出のどん底まで突き落としてしまうから。街の匂い、風の湿った、アスファルトの、海辺の、川辺の、野球場の、全ての、全てが、 二度と帰らない日の私が、…背中を追いかけるの私は、二度とあの道を歩けない。それを知った上で。