髪を洗って、体を洗って、充分に湯船に浸かったあと、体中の匂いを取ると、私は私に戻った気がする。髪についた煙草の臭い、体に付いた男の臭い、服に絡む外の臭いを、全部リセットした時、体が透明になる気がする。毎日毎日、透明にしては色をつけられて、また元に戻して、それをくり返し続けると、最後にどうなってしまうんだろう。おばあちゃんになっても、この感覚が変わらないのならば、死ぬときも後悔が無い気がする。私の中には、透明な何かが存在する。透明なものが。