乾いた唇を舐めて、風にむかって肩をすくめて、ふとショーウィンドウを見たら、ボケッと突っ立っているバカな東洋人が目に付いて、それが自分だと気づいたらなんだか情けなくなった。ひとつずつ階段を上って、地下鉄の出口から空を見たら、いつもの日常が口を開けて待っているのに気付いた。乾いた唇を指で押し返して、リップを塗りつけたら、私はまた石畳の上を歩く。追い風に押されながら。懐かしい人を、胸に思い返しながら。