JERRY BEANS!!

2001年12月07日(金) 作られた人

私は偽善や嘘が嫌いだ。

それがないと生きて行けないのは、もう知っているけれど、

何でも無い時にまでそれを持ち出して来るのには耐えられない。


小学生の頃、授業参観や道徳の研究授業が大嫌いだった。

家の人間が来るというだけで、生徒はみんな借りてきた猫のように

イイコちゃんになるし、先生は先生で、それがいつもの様子であるかの

ように、嘘の態度を振舞うのだ。研究授業では、普段は使わない紙でできた

説明用の小道具まで用意しちゃって、全然いつもの様子なんかじゃない。


先生の、親や偉い先生に対する媚びた笑顔が嫌いだった。

生徒たちの、普段のガキ臭さを一掃したような偽善面が嫌いだった。


だから私は、授業参観のときは特に、いつもと同じように、椅子の背もたれ

に体重をかけて座り、足を前に投げ出しながら、ギイギイと椅子を鳴らして

授業を受けた。今思うと、嫌なガキだったと思うけど。当時の私には、

みんなが揃って急変するその様子が、なんとも気持ち悪くて、今にも

吐き出しそうだったのだ。どうして、みんなそれが平気でいられるのか、

その方がずっと不思議だった。そんな小学校時代を送っていた。

さすがに、低学年を上がる頃には、そんな気持ち悪さにも耐えられるように

なったけれど、それでも、今、あの偽善的な空間に放置されたら、今度は

耐えられる自信が無い。


年齢を重ねて、授業参観というものも無くなって、そういう場面に出会わなくて

良くなったけど、せめて、普段の生活にくらいは、そういう偽善から離れて

いたいと願う。けれど、あの時、偽善や媚びの厚顔を不思議に感じなかった

人たちは、いつの間にかその顔が“普段の顔”になっているのだ。


そんな彼らは、まるで作られた人のようで、機械の人形のようで、

あやしい操作を施された人のようで、怖いのだ。


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nana [HOMEPAGE]

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