雪は、降る時に音がしない。しんしん、しんしん、けなげに積もる。静かに優しく積もる雪のように、いつか真っ白になって消えて行くと良いと思う。私の記憶も、あなたの記憶も。忘れたい事は、雪に埋めて、静かに記憶の埋葬を。雪に閉じ込められた冬の日には、良くそんな事を考えていました。大きな窓から見える外の風景に目を細めながら、いつか幸せになれるといいなと、微かに灰色がかる雲の上を見つめながら。