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diary
2008年03月10日(月) そのままのきみでいて【セリフ連】
「そのままでいいよ」
思えばあのころ、そんなことを言ってしまった。わたしはそれを、今更のように後悔する。後悔してしまっている。
そのままでいいよ。
きみはきみだから。
そのままでいいよ。
きみのそのままをわたしは愛すから。
そのままでいいよ。
きみが変わってしまったら、わたしはわたしも変えなきゃならない。
そのままでいいよ。
きみがそのままなら、わたしはそれでかまわないから。
そのままでいいよ。
結局わたしは怠惰だった。今から思えば結論はそこだ。適応するのが苦手だから、きみを適応させようとするのは愚かだと思っていた。そのままで愛せるなら。そのままで問題が起こらないなら。そのままできみがわたしを受け入れてくれるなら。それ以上は求められない。でないときみはきっと、わたしから去ってしまうから。・・・・・・結局わたしはしくじったのだ。きみをどこにも連れていけず、自分をどうにも解放できず、ふたりで成長するなんて、どこか先に行くなんて、これで未来があるなんて、言えるはずがなかった。でも、それが求められる十分なんだと、本気で信じていた。
きみが現れたのは、外に出るには少し寒い夜。季節はそこで一年以上止まってしまった。ふたりとも、暖かい場所に留まりたがった。それはふたりとも同じ。正当化するために、そのままでいいのだと、繰り返した。外ではたくさんの不幸なひとたちが、出会って、別れた。季節があった。窓くらい開ければ幸福だったかも。でも、結局不幸だ。わたしが開けた窓から幸福は流れ込み、結局ふたりは不幸を知ってしまったのだから。知ってしまうのだから。
そのままでいいの?
もうどこにも行けなくて。
そのままでいいの?
ほら、そこに笑っているひとがいるのに。
そのままでいいの?
後悔っていつするの?
そのままでいいの?
このままじゃイヤだ。
終わりがないものなんてないって知っていた。でも、この場所がなくなるなんて思わなかった。このままでいられなくなるのなら、わたしは死ぬだろうと思っていた。結局、例外はなかった。それだけだ。このままじゃだめなのだ。
シェルターなんて、存在しなかった。
そして誰もいなくなった。片方だけが残るなんて、あり得なかった。
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セリフから連想 No.21「そのままでいいよ」
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サキ
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