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diary
2004年01月07日(水) テディベア
朝起きると、目が開かなくて、身体を縦にすることが出来なかった。
仕方ないので、そのままベッドで目を閉じていた。
いろんなことが思い浮かんだが、どれもこれも、まとまりなくて、考えようともしないうちに、泡沫のように、消えていった。
眠くはなかった。
それでも目を閉じているうちに、何度か沈んだ。
とりとめのない、夢をみて、また浮かび上がる。
このまま、毛布に同化して、溶けてしまえばいい。
同じ台詞が、何度も記憶を徘徊したが、それがなんなのか、既にどうでもよかった。
重い瞼と身体を起こして、やっとその前まで動いた。
瞼は赤く、腫れている。
「いいつけを守らないからよ。酷い顔」
彼女が言って、私の頬を撫でる。
「いいつけも、約束も、守れないかしらね」
彼女はとても、楽しそうだ。
「気分はいかが?」
彼女の手には、赤い顔をしたテディベア。
そいつをぴこぴこ手の中で動かして、私に問い苅テける。
赤いテディが、私に問い苅テける。
「酷い気分よ」
まるで病院みたいな、真っ白な壁を見渡しながら答えた。
「丁度インテリアが欲しいわね。あたしのこの腕を串刺しにして、引き千切って、あの壁にハリツケにしてやりたい。
そんな気分よ」
赤いテディベアが笑った。
「望みを叶えてあげましょうか?」
今度は私が笑った。
「いいわね。でもその前に」
私のナイフを手にした右手が、テディベアの眉間に振り下ろされ、そのまま腕は弧を描いて、横の壁面に、突き立てられた。
「いいつけも、約束も、罰するものがいなければ、効を失うわ」
彼女は笑っていた。
消えるのか、と思った。
「誰も何も傷つけず、生きていくのなんてね」
言い残して、彼女は消えた。
私のお気に入りの、下卑た笑いと共に。
「誰も何も傷つけず」
生きていくのなんて
「できるわけがねーよ。生きてんだからさ」
テディベアのナイフを引き抜いて、裁縫道具を取り出した。
「こんなことやったって、
無意味なんですけどね」
ふと見上げた壁面に、私の白い腕が、虫ピンで止めてあるような、そんな気がした。
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サキ
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