脳みそが最速になる時 - 2014年11月03日(月) 何回も繰り返して同じ曲を演奏していると、次のフレーズの事を考えながら今のフレーズを演奏できるようになる。 もっと演奏していると、どこを叩くかっていうことを意識せずにすすめても、頭で歌っているフレーズに勝手に手が動いてくれるようになる。 さらに演奏していると、いまどのフレーズを演奏しているのか、どういうリズムだったかも意識しなくても手が演奏してくれるようになる。自動演奏してるような感覚。 意識は別のところにあって、演奏は手がしてくれてる感じ。 もっとつきつめると、今度は自分で叩いている音がすごくずれてしまっている感じになる。 1997年、トリニダードのスティールバンド ムーズMoodsにいれてもらって、たたいている時に、よくこの「ずれた感じ」になって困った。演奏はちゃんとしているんですけどね。その年のテナーパートのリーダーみたいになっちゃって、フロントラインにたたせてもらってた時だから、演奏はちゃんとしてたんだよね。Moodsのリーダーからもお墨付きをもらってたわけだから。 スティールパンのバンドやオーケストラでは、自分と同じパートが10人とか20人とかいて、しかもすごくうるさい(^^)。自分の叩いている音が、隣の人の音とまったく同じタイミングで鳴るので、聞こえなくなっちゃう。音が埋もれる感じ。 ちょっともたらせると、とたんに聞こえちゃうので、やっぱり気持ちわるい。 タイミングがばっちりでも、おっきい音でたたくとかすかに聞こえるんだけど、ね。でも音が割れるくらいにはたたきたくないので、全部の音に埋もれさせる。そんな演奏をずーっとしていると、だんだんずれてくる。演奏がずれてないのだから、ずれているのは意識の方だと気づいたのは日本に帰ってきてからだった。 ようするに、集中しすぎて、脳みそのクロック周波数が上がりすぎて、処理が前倒しになってしまうのだと思う。よく「事故の時にスローモーションに見えた」とか言うよね。映画とかでも大事なとこはスローモーションに編集してあるとか。あれは、すんごい集中している状態では脳みその処理速度がめっちゃ上がってしまうのだと、と思う。 これって僕一人ではなかなかできなくて、20人とか50人とかのスティールバンドで、全員がめちゃめちゃ真剣に、かつ、びしばしにノリがあってる状態だったから、できたんじゃないかなと思う。 いつも思うのは脳みそがつながっていってるんだと思うんだよね。彼らの中で演奏すると、やっぱり彼らのようなノリになるもの。それってずっとバンドに参加させてもらって、同じもの食って、同じもの見て笑って、お互いの名前も性格も知ってるからつながれるんだと思うのよ。その数十人がぎゅっと集中した時に、右も左もなく、一つになる感じってのが、脳みそつながった感じなんだけど。これ数人ではなかなか出ない。 金曜は八尾、土曜茨木は、たじやんらじやんのゲストにパーカッショニスト池田あゆこに来てもらって、三人での演奏でした。 たじま君とあゆこさんはもう二人ともすんごい忙しくしてて、その二人と一緒にできるのはめちゃめちゃありがたい。 でもそれよりなにより、この感じに限りなく近いとこにまでつれていってくれるんです。自動演奏になって、意識が別に発生するとこまでは、いつも行ける。それがありがたい。 まさに、ありえることがまれである、という意味でもありがたい。こんな人たちはそういないもの。 はっしゃんもそうだったなー。 A-Caribeというバンドを始めたときに、神戸深江のzinkだったかな、ドラムはっしゃん、パーカッションあゆこさん、ギターたじやん、ベース青ちゃん、コーラスみほちゃんでやったのよね。そん時にもこの感覚を思い出してたなー、 というのを、こないだ土曜に思い出してました。茨木Dbarでの演奏してる時にね。 「トリニダードにいるみたいー☆」っていうのは、そんな簡単なことじゃないのです。 ほんと、ありがたい。 -
|
|