鍋をたたく...鍋男

 

 

悪口いわないで - 2002年02月07日(木)

 たまに音楽をやっている人で、平気で人の悪口や陰口をいう人がいる。それに対して頭から反発しているあるミュージシャンがいた。「あ、この人は正解だ」と本能的に思えた。

それは「悪口」というほどひどいものでもなく、第三者に対するグチ話というか、ちょっとした笑い話。「そいつがもう、めちゃめちゃ頭悪くて」とか「なんでそこまで俺が言われなあかんのよ」という程度の話だった。話している人は、いいミュージシャンだったし、話がおもしろかった。さらに私もそういった類の話はよくするので、私は笑っていたんだけど、その人は「もうそれ以上ひどい口きかんといて(言わないで)」という態度でうんざりしていた。

言葉に対してナーバスになるのは、ある程度必要なことだと思う。


言霊という言葉がある。口に出した言葉は魂を持つという事。まともに考えると、もちろんおかしな話だけれど、こう考えると解りやすいかも知れない。例えば....

あなたの友人が最近落ち込んでいて、会うたびに愚痴る。励まし、笑わし、元気づけて別れても、次に会ったら、また同じ事の繰り返し。そのうち、共通の友人の陰口や批判まで出てきた。あなたはあまり気分が良くないだろう。あんまり続くとその友人とのつきあい方を考える。

たとえ心でどう思っていようと、多少態度で示そうと、言葉に出すと出さないでは大きな違いがある。友人Aが、友人Bの陰口をたたいていた、という事は、口に出したとたん事実になる。それはAの中でだけの事実だったものから、あなたという現実の第三者をとおした途端、社会性を持ってしまう。

あなたがもともと、AとBの仲が悪いことを知っていても、Bも友人である限り、あからさまに「嫌い」という言葉を聞くと傷つくだろう。
そして、あなたが傷ついていることに気がついていないAに対して、少なからず反感を持つ。こういった小さい亀裂から、友人関係が壊れる事だってある。



私ができるだけ人の悪口、陰口、批判をしないようにこころがけているのは、言った自分自身が落ち込むからだ。「You gotta mail」という映画の中で、メグ・ライアンがこんなふうなことを言っていた。

今までここぞというときに
相手をやりこめる言葉が出てこなくて、
寝る前になって
ああ言ってやれば良かった、
こう言ってやれば良かったって思って、くやしくて。
こないだある人とケンカした時は違った。
「言ってやった」ってあとで思い出してもすっきりするくらい。
気持ちいいだろうなって今まで憧れていたのに、
なんてひどいことを言ったんだろうって、一人で落ち込んで。
最悪の気分。


言い得て妙だ。
自分で言っても、横で聞いていても、ののしりの言葉は気分が悪い。
人をおとしめる様な悪い言葉ばっかり使っていると、自分をどんどんおとしめているような気分になる。それで笑いを取るくらいなら、自分でぼけて笑ってもらった方がよっぽど気が楽だ。「鍋男はアホやなぁ」ってのは私にとっては一番気楽な言葉だ。それを見てて「鍋男はほんとにアホなんだ」と思う人も実際いるんだけど、そんな頭の回らない人は相手にしないことにしている。

あ、しもた。プチ落ち込み。


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