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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2015年02月01日(日) 翻訳企画:AAの回復率(その7) セクションe)も2回に分けます。
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e) AAの成功率・失敗率とその根拠についての評価
AAが形成された時期(1935~1939年)に、どれだけのAAメンバーが断酒し、あるいは飲酒に戻っていたか、その数を正確に明らかにできる者はいない。ではあるが、達成された成果について程良い象徴的な推測を行おうとする努力が(過去においても、また現在も)払われてきた。AAが手助けしようとしている問題の対象となる人数については、他にもいくつか見積もりがある。
National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism (NIAAA) の2008-2013戦略プラン 20 には「アルコール問題とその影響の趨勢」という資料が掲載されている。それによると、US Centers for Disease Control and Prevention (CDC)と世界保健機構(WHO)は、アメリカ国内および世界におけるアルコールの過剰使用の犠牲者と影響を受ける人々の人口について、ほぼ同一の結論に達したとある。
20. NIAAA戦略プランの詳細については、http://pubs.niaaa.nih.gov/publications/StrategicPlan/NIAAASTRATEGICPLAN.htm
・2003年のアメリカ国内において、アルコールは死因の第3位となっている(推定死亡数85,000人)。
・NIAAAのアルコール関連状況疫学調査(NESRAC)21 によれば、アルコールを乱用するかアルコール依存となっているアメリカ人成人は1991~1992年には1,380万人であったものが、2001~2002年には1,760万人へと増加している(つまり、18才以上の人口の8.5%、大人12人に1人)。
21. NESARCの詳細については http://niaaa.census.gov/
・2004年6月10日発表のNational Institutes for Health (NIH)のニュースリリースではNESARCの調査結果をこのように要約している。
1991-1992年:アルコール乱用560万人、アルコール依存820万人、合計1,380万人。
2001-2002年:アルコール乱用970万人、アルコール依存790万人、合計1,760万人。
・NIAAAでは「アルコール乱用」を、仕事、学校、または家庭における主な責務を果たすことに失敗すること、対人関係あるいは法的な問題、および/または危険な状態での飲酒によって特徴づけられる状態と定義している。これには不注意によるアルコール関連の不運な一回限りの出来事も含まれていることだろう。このカテゴリに含まれる人はアルコホーリクかもしれないし、そうでないかもしれない。しかしながら、アルコホリズム(問題飲酒)の下方スパイラルの始まり段階の人々もある程度含んでいることだろう。より明確な判別が成されなかったのは残念なことである。
・NIAAAは「アルコール依存」(これはアルコホリズムとも呼ばれる)を、飲酒のコントロールの減弱、強迫的な飲酒、飲酒への没頭、アルコールへの耐性の増加および/もしくは離脱症状、によって特徴づけられる状態と定義している。このカテゴリに含まれると推定される790万人は、AAが「本物の」あるいは「アクティブな」アルコホーリクなどと呼び、主要な対象としているものに近い。
・NIAAAは「アルコール使用障害」の人数を、2002年の時点で、970万人のアルコール乱用に790万人のアルコール依存を加えた1,760万人としている。
2002年には世界のAAメンバー数は約210万人 22。このメンバー数の数字は、AAの実質的な成功を示す数的指標だと見なされている。
22. 本論の末尾にあるAAメンバー数の表を参照のこと
・AAは7人のアクティブなアルコール依存の成人について1人を助けている。仮にアルコール乱用者を潜在的なメンバー候補だとすれば、15人の問題飲酒者に対して1人を助けている。
・これに相当する調査として、1991~1992年にNIAAAが行った"National Longitudinal Alcohol Epidemiologic Survey” (NLAES)が同様の数値を示した。アルコール依存症者7人に対してAAメンバー1人、12人のアルコール依存あるいは乱用者に対して1人のAAメンバーである。
本論でこれまでに引用したように、1960年のゼネラル・サービス評議会でビル・Wはこのように言及している。「けれど冷静に考えれば、私たちのソサエティが成し遂げたことは、アルコホリズムという問題全体に小さなひっかき傷をつけたに過ぎません。そのことを無視するわけにはいかないのです」。とはいうものの、AAは表面に小さなひっかき傷をつけただけでなく、その候補者の多くを助けている。
AAの成功についての主張を検証する:
AAの成功率を「50%+25%」とする主張は、1940年を最初に、その後おびただしい回数引用されてきた。そこから生まれてくる疑問は、他にも統計があったにも関わらず、なぜこの3つのカテゴリ(つまり、50%がすぐに酒をやめ、25%は飲んだが戻ってきて、25%が失敗)の値が70年以上にもわたって固定され変化を受けずに残ってきたのか、である。
この数字は事例的なものに基づいたもの(訳注:統計的でないという意味)だが、繰り返し引用されるうちに、決定的に正確だというイメージが与えられた。ではあるものの、推定に含める候補者の範囲と条件を考慮に入れれば、このAAの成功率の推定はまず妥当と言えよう。
AAの成功率(あるいは失敗率)を議論する上で、あまりにしばしば欠落しているのは、AAミーティングにやってきた、あるいはAAメンバーと接触した候補者のうち、ほんの一部だけがその先に進むことである。その人数は、世界に手を伸ばそうとするAAに難題を投げかけている。
AAの共同創始者であるビル・Wは、AAにやってきた人のうちAAに真剣に取り組むのは20%~40%だと推定されると過去に述べている。ビル・Wによる「50%+25%」の成功率は、このセグメント(部分集団)に限って適用したものである(その後もそうであった)。ビル・Wはこの重大な限定条件を、American Journal of Psychiatry(1949年11月)、ビッグブック第2版の序文(1955年)、そしてニューヨーク市アルコール医学会(1958年)で報告している。
AAに顔を出したけれどAAに取り組まなかったという60%から80%を含めて結果を計算することは非合理的である。それは何らかの医学的方法の有効性を測る際に、その医学的問題を抱えながらも医学的な手助けを求めない人たちまで含めてしまうのに等しいからだ。AAの回復プログラムについても同じことが言える。
AAのビッグブックの副題には「何千もの男女がアルコホリズムから回復した物語」とあるが、量に関して言えば、過去70年あまりの間に「何千人」の成功は、「何百万人」の成功へと手渡されていった。
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(続きます)
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