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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2011年10月28日(金) ソーバーの非数値的な評価 まず最初に、昨日の雑記で抗てんかん薬の例としてルボックスを挙げましたが、デパケンに訂正しておきます。ルボックスは抗うつ剤(SSRI)であり、抗てんかん薬ではありません。(えんぴつとFC2は修正済み)。ご指摘いただいて、ありがとうございます。
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さて、AAではソーバー(断酒)が10年続いたとしても、再飲酒してしまえばそのカウントはリセットされ、ワンデイ(最初の一日)からやりなおしです。
その時点で、10年飲まなかったことは評価されず、なかったことになる・・・その事に疑問を感じるという話を聞きました。他でも同じ主旨の話は聞くことがあります。
僕は、飲んでしまうとカウントがリセットされる仕組みの正当性を説明しようとは思わず、なぜその人が疑問を感じるのか、と考えてみるのです。
実際、10年以上飲まなかったのに、再飲酒してしまったAAメンバーを何人か知っています。もちろん皆がワンデイから数え直しです。しかし、それ以前の10年間への評価が失われる、というわけではありません。ただその評価が、ソブラエティの年数という数字に反映されていないだけです。
10年以上過ぎての再飲酒からのカムバックは「ぜひ耳を傾けるべき貴重な体験」であり、経験と力と希望の分かち合いという価値観の中で、とても高く評価されています。
また、AAメンバーは年数だけで評価されるわけではありません。人を評価するには様々なモノサシが使われます。その点は一般社会と変わりありません。まめにミーティングに出席しているかどうか。日の当たらないサービス活動を引き受けているか。ステップをやっているか。新しい人の世話をしているか。話は上手かどうか。献金をしているか。人には様々な能力があり、得意不得意があるのですから当然です。
AAはお互い助け合うことを目的とした団体ですから、自分を回復させ人を手助けするステップを軸とした評価が主になりがちではあります。ですが、「俺はステップとか難しいことは興味ないが、ともかくミーティングの始まる30分前には来て会場を開けておくぜ」という人が感謝されて当然なのは言うまでもありません。
10年のソーバーをふいにしたとしても、別の評価が消えてなくなるわけではありません。数字にこだわってしまえば、他の評価基準を軽んじることにもなります。ただ、年数以外の評価は数値化されていないで、あいまいで捉えにくいものではあります。いずれにせよ、AAメンバーはソーバーの長さだけで尊敬を得るわけではないし、再飲酒してもすべてが失われるわけではないということです。
という説明をしても納得してもらえるとは限りません。その背景には「数字へのこだわり」があるのでしょう。
発達障害に親しんだ人は「数字への関心」「こだわり」と聞いただけで、それが何を意味するかピンと来るのではないかと思います。
ちなみに、直近この疑問を僕に投げかけたのは、発達障害を自認している人でした。その話を聞いて、少数派というのは、こんなところにも悩ましいものなのかと思い至った次第です。
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