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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2011年10月19日(水) アラノンのメンバー調査 アラノンに関する話は人気があるので、もう一つ書いておきます。
AAと同じように(アメリカの)アラノンもメンバー調査を定期的にやっています。
直近2009年のものがこちら。
http://www.al-anon.alateen.org/survey.html
2006年のものもあります。
http://www.al-anon.alateen.org/pdf/AlAnonProfessionals.pdf
今回は、この二つを元に、アメリカのアラノンがどんな姿なのか、という話です。
僕の英語力は怪しいので、以下の話でヘンだなと思ったら、上の原文を当たってみて下さい。
まず調査の方法ですが、全アラノングループの3%である443グループを選んで、16部ずつ調査用紙を配っています。回収数が665だから、回収率は10%以下です。(2006年)。
性別は、84%が女性、16%が男性。
平均年齢は56歳。35歳以下のメンバーは5%未満。60%が54歳以上。
人種は93%が白人。
学歴は、99%のメンバーが高校を卒業し、56%がすくなくとも大学を卒業しています。
40%のメンバーが雇用されていない(引退、ホームメーカー、無職)。
一家の平均年収は$71,542。17%が3万ドル以下。
結婚状況は、未婚7%、既婚58%、別居3%、離婚17%、死別7%、ライフパートナーが7%。
平均結婚回数が1.5回、平均離婚回数は1.4回。
「現在」生活に影響を与えている飲酒者のトップは夫、次が息子です。
(以上2009年)
$71,542を今日のレート(77yen/$)で日本円に換算すると約550万円。
アメリカの世帯年収の中央値は5万ドル弱ですから、それより2万ドル以上多いことになります。(日本の平均世帯年収は550万円ぐらいですが、中央値は少し低くて500万円弱)。
アメリカのアラノンメンバーで、未成年の子供がいるのは14%にすぎません。これは平均年齢56歳ということから当然でしょう。一般に子供が成人すると支出が減るので、収入も減る傾向があります(日本では子供のいる世帯・いない世帯で150万円ぐらい違う)。
アメリカは大学進学率こそ日本より高いものの、学位取得率は日本より低くなっています。
これらを考え合わせると、アメリカのアラノンメンバーは「白人で、高収入で高学歴のおうちの奥さん」という平均像になります。さらに4割のメンバーは収入がなく、他の家族の稼ぎによっていることを考えると、高収入なのはおそらくダンナでしょうか。
続けます。
・平均では12.7年の連続したメンバーシップ(連続してアラノンメンバーでいること)。週に平均1.8回のミーティングに出席し、6%のメンバーはオンラインのミーティングを使ったことがある。
・73%のメンバーはアラノンの何らかのサービス活動に加わっており、過去も含めれば91%がその経験を持つ。
・3/4のメンバーはアラノンスポンサーを持ち、半分以上のメンバーがスポンサーをやっている。
・アラノンのメンバーになって5年未満の場合、飲酒者はまだ飲み続けているのが普通だが、5年を過ぎるとその率は2割下がる。
(以上2009年)
これからすると、奥さんがアラノンに通い出しても、ダンナ(や他の家族)はすぐには酒をやめず、数年は飲み続けていることがわかります。その一方で、レポートの後半には、アラノンに通い続けることでメンバーの状況がどんなに改善していったか(おもにメンタル・コンディション)が熱心に描き出されています。
つまり、アラノンというのは「アル中の酒をやめさせる目的で奥さんや母親が通うところ」ではない、ということなのでしょう。(むろんインタベーションを学ぶ場所でもないはず)。むしろ、家族が酒を飲み続けていても、アラノンメンバーは心の平安と健康を取り戻せる、そんなプログラムだというわけです。
最近日本国内の家族プログラムにちょっぴり関心を持っているのですが、国内の家族プログラムっていうのは、「依存症者に酒や薬やギャンブルを止めてもらうために、家族が勉強する」教室になっています。そしてそこに家族が行くと、本人がやめてくれないのは、家族が共依存だからであり、イネイブリングをしているからであり、手放せないからであると責められてしまいます。それが公的機関や病院のやっている家族教室の実態です。
本人に止めさせるためという観点を離れ、やめてくれようがくれまいが、家族そのもののケアをする、という家族プログラムが日本にどれだけあるのでしょう。
最後に、2006年のサーヴェイによれば、4割のメンバーはいったんはアラノンを離れた経験を持ちますが、平均4.2年後に戻ってきています。相互援助(自助)グループとして、いったんやめてしまったメンバーが戻ってきやすい環境が必要なのでしょう。
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