心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2011年06月02日(木) Nさんのメール

「家路」を読んだ方からメールを頂きました。
雑記への転載をお願いしたところ、快くお許しをいただけました。ありがとうございます。
ご感想などありましたら、掲示板か、あるいはひいらぎへメールでお寄せ下さい。

−−−−

はじめまして
末期のアルコール依存症から立ち直れずに
今月16日に心臓発作で亡くなったという事です
わたしは彼と6年間共に笑い、共に苦しみ
支えられたり支えたり・・限りなく魂の美しいアル中くんでした

27歳のころに依存症であると認め
病院にも入り、優秀な成績で卒業
その後、個人の依存症患者専門の病院で働き(食事を作る)
10年ほど酒とは縁のナイ生活を続け
又、同じように苦しむ人々を励ましながらまじめに働いていたようです

その後、先生自身の老齢もあり、病院閉鎖・・職業を失い
整体の免許を取得した後は自宅で整体師として頑張り

そのころの出逢いでした。
家族と本人が依存症であると認めるまでの彼はこのHPに記されている通りの
人生を歩み、職を失い、離婚、身内の疎遠、多額借金で母親を苦しめ
彼の家族の願いは死んで欲しい・・ただそれだけだったような気がします

そんな彼を引き取り(結婚はしておりません)
ともに生活を始め・・幾度もスリップし立ち直りスリップしの繰り返し繰り返し
病院だけはイヤだ自力で立ち直れる力はあるんだと・・
本当に素晴らしい男性でした
誰からも好かれ、笑顔が可愛く、動物を愛し、誰にでも優しく
彼がどうであれ・・最後まで見届けようと決めておりました

ゴールデンウィークの最後の方でケンカ
ケンカの原因はいつも隠れて飲むお酒の事
それしかありません。
そのころには・・根底を覆し
俺はアル中じゃないんだ・・お前は知らないだけで毎日適量を飲めていた
それ以上は飲まない・・仕事に差し支えるから
節酒出来る人間がアル中な訳はない
なんで誰でも楽しめる・・仕事の後の一杯が俺には出来ないんだ
もう何か月も飲んできた・・カップ酒1個それを飲んで寝ていた・・シアワセだった
だから俺はアル中じゃないんだ・・飲ませてくれよ・・取り上げないでくれ

お金もお酒も取り上げると
彼は家財を破壊しまくり・・出て行った
どうせ実家に帰って・・死ぬほど飲まされて
禁断症状が出て・・怖くなって・・お酒を自力で抜いて
ゴメンって言って帰ってくるのは目に見えていた。
何度もそれを繰り返し・・わたしは迎えに行っていたから

もうそろそろかも♪と自分の方が電話するのもしゃくだけど
大好きだったから・・電話を入れた 5月23日

母親が出て・・
亡くなったって
9日に様態が悪化
16日に心臓まひで死亡
解剖されて、お通夜も葬式も済んでいて・・
彼は跡形もなくわたしの前から消えていたの

どうやってこの死を納得すればいいのか
いまだにワカラナイでおります。
死亡してから一日が経過しており・・解剖
お酒だけを与えられ閉じ込められていたから
発見が遅かったのだと思います
睡眠薬は危険なのは本人も家族も知っていると思うのに
飲んだとわたしは思います

彼は不思議な人で
就職するたびに健康診断書を提出するのですが
病院の検査を受けるたびに先生に褒められておりました
タバコは吸っているけど・・肺はきれい
肝臓も胃腸も健康・・悪いところがないのです
毎日犬の散歩で早朝から走り・・山登りとスキューバが趣味な健康な肉体

それもあれだけ飲んで
床ずれができるまで寝ていて・・トイレにだってゆけない状態の
末期のアル中が・・いつもお酒を抜いた途端
3日で立ち直るのです・・元の普通の生活に戻れるのです
だから今回も・・「どうするの帰ってくるの?」
それだけのわたしの捨て台詞で・・彼は復活するはずだったのに

死んだって・・わたしは最後の顔すら見ていないのです
誰がこんなひどい病気を作ったのでしょうか
この病気を死ぬほど憎んでおります
・・けど彼は悪くはないのです
だれよりもお酒を憎み、嫌っていました

ワンコたちはいつ帰ってくるかと玄関の戸口にしがみつき・・
どうかみなさんには生き抜いてほしいです
彼のように死ぬ気も無いのに
間違って心臓が止まったなんて
そんな馬鹿な死にかただけはしてほしくありません
ご活動心より応援しております。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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