心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2009年10月08日(木) 「自信」について

「ぼくは自分が指導者になったところを空想した。ぼくほどの統率力があれば、巨大な企業のトップでも務まる。絶対の信念を持ってうまくやれるはずだ」

「酔っぱらってくると、いまにきっと勝ってやる、という昔から持っていた固い信念がよみがえってきた」(第1章 ビルの物語)

自信については 以前にも書きました

世の中の不公平に敏感である(「会社が病気に無理解なのが悪い」とか)、
小さな勝敗にこだわる(「俺だけ酒を飲まないのにワリカンかよ」とか)、
一人前扱いされないと気が済まない(「上から目線で見下されてる感」とか)。

こうした傾向は「自分に対する自信のなさ」から来ています。自信がないから虚勢を張り、虚勢を張り続けるから精神的に疲れ、疲れが無気力を呼び、それを「うつ」症状だと訴えます(でも、本当のうつではないから楽しいことはできる)。

自信のなさは時に人生まで変えてしまいます。例えば、酒のせいで仕事のトラブルを起こし、一時的にマイナスの評価を食らってしまった。努力を続ければ後日失地回復できるのは明らかですが、自信のない人は目の前のことにこだわります。「会社が俺を信用してくれない」とか「この会社にいても一生昇進の見込みがない」などと言って退職してしまいます。

自信がない人の夢は大きい。貧弱な自己像の裏返し(補償作用)です。ビルも大きな夢を描いていますが、誇大妄想狂だったわけではなく、単に自信がなかっただけです。そして、自信のない男にとって、酒の酔いの与えてくれるかりそめの自信、解放感、万能感ほど心地よいものはありません。

ではこういう人間が、酒で惨めになったから、今度は酒をやめれば楽しく生きられるでしょうか? 誰かが書いていましたが、「回復」とはいうものの、元々持っていない能力は取り戻しようがありません。酒をやめても元の虚勢と緊張の状態に戻るだけです。

だから、単に酒をやめるだけでなく、自分を変えることもしなければ、本当の意味で酒をやめたことにはなりません。酒による解放感を必要としているうちは、ガマンの断酒が続きます。元々ガマンができない性格なので、ガマンの断酒は長くは続きません。

では、どうしたら自信が持てるのか? 自分で決心すれば自信が持てる、ってわけにもいかないのです。

いろいろな手法が考えられますが、例えば「失敗したところにとどまって、小さな成功をする」ことは肝心です。テニスで失敗した人が、サッカーで成功しても、テニスに対する苦手意識を克服することはできません。女性が苦手な男が、同性愛に走っても、女性に対する自信を得ることはできません。

元々(テニスや女性が)苦手な分野だったのですから、踏みとどまって努力しても大きな成功は望めません。でも小さな成功(女性とデートできただけでも、テニスのボールが前に飛んだだけでも)を得られれば、それは自信の土台になります。その人にとって失敗の意味合いも変わってきます。

だから、失敗した場所から逃げない、ということは、断酒継続にとって大事なことなのです。仕事で失敗したことは、仕事で取り戻さなければ意味がないし、別の仕事に移ったところで、自分が変わらなければそこで同じことの繰り返しです。

自分を変える(問題を解決する)ことが、断酒の「手段」であることを理解していただきたいのですよ。

「自信が持てない」―現代の「ウツ」に潜む悩み
http://diamond.jp/series/izumiya/10020/"


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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