心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

ホーム > 日々雑記 「たったひとつの冴えないやりかた」

たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
もくじ過去へ未来へ


2008年07月31日(木) 気まぐれ更新

月末になると仕事が忙しい。
別に月末になると仕事が増えるわけじゃありません。ただ納期設定が「月末」ってのが多いのです。例えば「いつ頃までにできますか?」と聞かれたときに、8月5日と答えたとすると、「なぜ7月末でなく、5日延ばす根拠はなにか」と聞かれても答えようがありません。経験と勘で決めてるだけですから。そこで面倒がると月末が忙しくなるのです。
ミーティングに行かなくても帰宅が夜10時という日々が続くと、雑記を書いている余裕も少なくなっていきます(と言い訳)。

さて、一人暮らしを始めてしばらくしたら淋しくなってしまい、毎晩AAに行っていた時期があります。一週間丸々AAメンバーと顔を合わせない日はないぐらい。もちろんそれはミーティングばかりではなく、病院メッセージだったり委員会だったりしたのですが、ともかくアル中仲間の中にいました。

これをやると淋しさは紛れます。生きていく虚しさとか、自分の愚かさ醜さとかも、かなり気にならなくなります。思い起こしてみれば、淋しさ、虚しさ、愚かさなどを紛らわすために酒を飲んでいたのです。酒が虚しさの治療薬だったのです。
そう言う意味では、確かに酒のかわりにAAで虚しさを紛らわすことで、AAに助けられているのです。でもそれは、依存の対象がアルコールからAAに変わっただけなので、回復とか健康とは言い難いわけです。

酒をやめ始めの時期はマイナスの感情で一杯ですから、それを肴にまた酒を飲みかねません。飲まないことが第一ですから、AAの仲間と触れあう事による「サポート」を得るのはとても大切です。その時期はともかくミーティングに通うしかありません。

でも、いつまでもそれでは困ります。ミーティングで得られるカタルシスも、時が経てば慣れてつまらなくなってきます。そこで週末のAAイベントに出てみると、知り合いが増えたりして、もっと刺激的で楽しかったりします。でもその刺激にも慣れてしまいます。さらにもっと遠くの、もっと大きなイベントを求めて毎週末出かけたり、あるいはイベントを準備する側にまわったり・・、そうやって現実生活からも回復そのものからも乖離していきます。熱狂している=実はシラフの酔っぱらいがいっぱいいるのがAAです。

淋しいときには淋しい自分と一人で向き合う必要があります。「安易な癒し」に逃げていては、自分自身を見つめる作業がおろそかになります。酔いに逃げずにシラフで生きていくのがソーバーですからね。ステップの成果が虚しさを埋めてくれるのがAAの原理です。

そしてもう一つ。淋しさ、虚しさ、愚かさを抱えていると、「なんとかそれを解消しなくちゃ」という強迫観念に囚われてしまいがちです。虚しくない完全な人生を目指してしまうわけですが、そこに誤りがあります。人間なんてどうやっても不完全なものです。虚しさ愚かさがあって当たり前です。それを無理に解消しようとするから、酒とか薬とか変になっちゃうわけです。虚しさを抱えながら生きて行けばいいのです。

愚かさを抱えながらも、「今の自分はこんなものです」とハイヤー・パワーに報告して、それで一日終了であります。


もくじ過去へ未来へ

by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


My追加