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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2008年04月10日(木) Jさんの物語(その2) さて昨日の続き、以下は僕からJさんにあてて最初に出した返信(一部抜粋)です。
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ひいらぎです。
返信が遅くなりましたことを、まずお詫びします。
たとえば嗜好品のことを考えます。
チョコレートが大好きだという人のことを考えてみましょう。
毎日チョコレートがないと気が済まないという。
けれど、運悪く内臓の病気になって、医者からチョコレートを食べることを禁止されたとします。
哀れなその人は、大好きなチョコレートを諦めねばなりません。
あなたは、この人の立場をどう思いますか?
チョコレートぐらいなくたって、生きていけるのです。
チョコレートがないと、ちょっと淋しい、あるいはとっても淋しいけれど、生きていけるのです。
それが「嗜好品」です。
でも、依存症の人の対象物は、嗜好品とは違います。それがないと生きていけないぐらい思い詰める。あるいは、諦められるけれど、それが辛くて辛くて仕方ない。
やっと、諦めても、またそこへ舞い戻るのです。
僕は医者じゃないので、あなたが依存症なのかは診断できません。
ただ、気にかかることがあります。
あなたは、飲酒には、他に原因があって、それによる心の悩みとか辛さを癒してくれる道具として酒を使っているのじゃないですか?
そして、それが嗜好品ではなく、毎日なくてはならない「生活必需品」になっているのではないですか?
もし、大災害が起きて、辛い生活の中で何ヶ月も酒なしで生き延びることになったら、悪夢のようだと感じませんか?
そういう飲酒はとても危険なんです。
あなたが抱えている問題が何なのかは分かりませんが、心を酒で癒すのはやめるべきです。
おっしゃるとおり平日はビール一本、週末二日は完全に禁酒するということが、できるのだったら、僕はあまり心配しません。でもたぶん、あなたは週末二日を完全に禁酒することはできないでしょうし、毎日ビール一本では足りなくなるでしょう。
それと、もしあなたが「彼を選ぶか、チョコレートを選ぶか」をせまられたら、チョコレートを捨てて、彼を選ぶでしょう。けれど、あなたは「彼か、酒か」で悩んでいる。それはどうしてでしょう。
(中略)
僕は、あなたがAAに入るべきだとは思いません(少なくとも現時点では)。
だけれども、酒をやめられるのなら、やめるべきだと思います。
やめるのが無理なら、(たとえば週末二日は飲まないように)酒をコントロールすることを試してみるべきです。
そして、コントロールできなかったら、医者の判断を仰ぐことをお勧めします。
(中略)
あなたが酒をやめても、あなたは何も失うものはないのですよ。
ひいらぎ
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