心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2008年04月02日(水) 12の伝統

今夜中に出荷コードを出さなければならないので、会社で徹夜になるかと思ったのですが、お客さんから来週頭でいいよと連絡をもらったので、8時過ぎに仕事を切り上げてAAミーティングに行くことにしました。
ビッグブックミーティングで「12の伝統」のところ。最後に余った15分を二人でシェアしました。

アメリカで始まったばかりの頃のAAは二つの大きな不安があったと書かれています。ひとつはメンバーの再飲酒(これは当然ですね)。そして、当時のAAは本人も家族も一緒にやっていたので、しばしば三角関係が起こり、それがグループを破壊するのではないかという不安が二つめです。けれど、AAでのセックスの問題は、他の社会集団以上に深刻ではないことが次第に明らかになっていきます。

もっと深刻な問題は、権力や支配、そして金銭の問題です。だから、12の伝統はおもにこちらを扱っています。

AAメンバーは全員が平等だと言っても、人間はどこでも上下関係(序列)を作りたがる物です。ソブラエティの長さなんて、ただひとより早くAAにつながったというだけで、人間的優秀を示す基準ではないのですが、ソーバーの長い人間が偉いということになりがちです。

グループのビジネスミーティングで決めごとをするときに、意見を決めかねると、なんとなく皆が顔色をうかがう人がいます。それはグループの長老と言われるような人たちです。鶴の一言によって、意見が雪崩を打ったように変わってしまうこともあります。劣勢に立たされた側が、長老の意見によって優勢に早変わりとか。

本当の長老とは、余計な口を差し挟まず、グループの皆が「間違える経験を積む権利」を行使するに任せ、事態の推移を辛抱強く待ち、本当に危なくなったときだけ適切な助言をするために静かに待っている人のことです。

ところが人間とは弱いもので、「皆のために良かれ」「新しくつながる仲間のために」といいながら、トラブルの芽を摘んでいきます。転ばないように大事に育てられた子供は、転ぶことに弱く、起きあがれなくなると言います。AAグループでも「自分たちで間違える経験」を積まなかったグループは、「死にかけの執事」が去った途端に崩壊の危機にさらされます。

先ゆく仲間の責任とは、自分がいなくなっても、後から来た人たちが自分たちでやっていけるようにすることではないでしょうか。伝統12の言う「本当の謙遜」とは、なかなか難しいものであります。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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