心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2008年02月03日(日) 原因探し

統合失調症の家族の人にありがちな考えとして、病気になった原因を考えるのだそうです。この病気は破瓜(はか)の病とも言われ、思春期から20代にかけて発病することが多いのですが、その頃は人生の変動期でもあります。例えば、受験や就職に失敗した、失恋をした、友だち関係や金のトラブルがあった、というようなつまずきを経験する時期でもあります。そして、病気になった後で、受験の失敗や失恋のストレスが病気の原因だったに違いない、という考え方をします。

この考えには、じゃあその原因を取り除けば、病気も治るに違いないという願望が含まれています。もう一度本人が努力して受験や就職に成功したり、恋人や友だちに返ってきてもらえば、悩みも病気も消えてくれるに違いない、という願望です。
実際には、すでに病気が始まっていたからこそのトラブルだったかもしれず、因果関係が逆と言うこともあり得ます。

神経症みたいな心因性の病気では、原因を取り除けばけろりと治ることもあるのだそうです。うつ病でも、例えば会社を辞めたら治ったという話も聞きましたが、全般にはそう単純ではないようです。

アルコール依存症の人の話でも、「あれが原因だったに違いない」という病気の理由探しをする人がいっぱいいます。昇進に伴う仕事のストレスだったり、胃の手術だったり、経済的苦境だったり、家族内のトラブルだったり・・・。

「あれさえなければ、俺の人生はこうでなかったに違いない」

と思うのは勝手ですが、何の解決にもなりません。僕もずいぶんそういう考え方をしてきましたけれど、より飲みたくなるだけでした。もしそれがなかったとしても、別のことがきっかけになったことでしょう。

原因探しより、どうやって治療するかを考えた方がいいわけです。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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