ホーム > 日々雑記 「たったひとつの冴えないやりかた」
たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
もくじ|過去へ|未来へ
2007年12月22日(土) 自然治癒? ずるずると続けてきた病院メッセージをお終いにしました。あとは地元のグループのメンバーが続けていってくれるでしょう。もう自分が行くのはお終いにしよう、と決めてから、実際に実現するまで1年以上経過しています。
実は、今のホームグループが別の週の病院メッセージを冬場の3ヶ月担当するので、春までは通うのが続いちゃいますが。ちっとも終わってません。
10年そこへ通いましたから、数百人の依存症患者さんの話は聞いたでしょう。入院が初めてという人も少なくありませんが、2回目(あるいはもっと)という人が多かったように思います。
前回の入院からどれぐらい経過しているか、それも人さまざまで「一日持たずに即日再入院」という人もいれば、年単位という人もいました。たいていは、退院→シラフの期間→一見正常に飲めている期間→酷い飲み方の期間→再入院、という経過をたどります。病気がある程度進んでしまえば、飲まない期間は長くて数ヶ月で、飲んでいる期間が長くなるのですが、中にはシラフで長い時間を過ごす人もいます。
しらふの期間が10年以上という人は3人いました。3年、5年飲まなかったという人はザラです。実はそういう人は自助グループ(AAや断酒会)や医者にまったく通っていないか、通っていたとしても最初の数ヶ月だけだったりします。
断酒のために積極的な努力をしなくても、断酒が続いていく人が実際にいるのは確かです。しかしその人たちがまた飲んだからこそ、僕がお会いするチャンスを得たわけです。その人たちは再飲酒した理由は、短期間で再飲酒する人たちと変わりません。大きなトラブルが乗り越えられずに酒を飲む人もいれば、何気ない日常の中でふと飲んでしまう人もいます。
僕が2回目の入院の時に「生まれて初めて会ったアル中さん」は入院経験二十数回のツワモノでしたが、それでも十数年前には何の努力もなしに2年間酒をやめていた経験があると語っていました。
アル中はたまたま何年か酒をやめることがある。その事実は以前の僕を恐れさせました。自分はそれなりに頑張ってAAをやり、そのおかげで飲まないでいると思っているが、実はたまたま酒がやまる何年間かと、自分のAAの何年間が重なっているだけで、断酒は偶然の産物なのではないか・・と。
そういう不安を打ち明けると、仲間に「あなたのように努力している人がAAの恩恵を得てなかったとしたら、他の誰が得られるというのか」と諭され、それもそうだよなとテキトーに納得したのでした。
でも今では、僕の最初の何年間かの断酒は幸運によるものだと、はっきり知覚しています。あの頃は実に危なかったのだと。自分の力で酒をやめていましたからね。
ミーティングのあと、若いメンバーとお茶していてそんな話を思い出したのでした。たとえ何年酒をやめていても、飲んだときのみじめさに違いはないぞよ。
もくじ|過去へ|未来へ