心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年05月02日(水) ステップは踏むな

皮膚科の医者にかかりました。3週間ほど前から右手の甲に湿疹のようなものができて治りません。診察の結果、真菌によるものではない(要するに水虫ではない)ものの、なんだかよく分からないという結果でした。
飲んでいる薬はあるか? と聞かれたのですが、「ない」と返事しておきました。あんな薬やこんな薬も飲んでいますが、湿疹が出るから飲むのをやめるってわけにもいきません。2週間後にも治ってなかったら、「実は」という話をすることにしましょう。とりあえずステロイド剤を塗ることになりました。

さて、AAの本の翻訳には「どうにもなじめない言葉」というのが結構あります。
その一つが「ステップを踏む」です。ビッグブックには、実はそうたくさん step という言葉が出てくるわけじゃありません。ふつうの動詞とか名詞としても使われているので、12 steps を示しているところはさらに少なくなります。

AAミーティングのはじめには、ビッグ・ブックの3章・5章の先頭をよく読みます。日本のAAではこの部分だけを抜粋した「ミーティング・ハンドブック」が多く使われているので、読む作業がなんだか儀式化している感じがします。それはともかく、5章の頭には steps we took という一説があり「私たちが踏んだステップ」と訳されています。これは旧訳から引き継がれています。おかげでスピーカーの話にも、ステップは踏んでいくものという表現が良くされます。

でも「踏む」という表現がどうかと思います。
ステップを踏むという表現は、もとは「ダンスをする」の修辞的な表現でした。step を足の運びと解釈しているわけです。12 steps のイメージをイラストに描いたものを何点か見たことがありますが、たいていは階段かはしごをイメージしており、足跡とかダンスのステップのイメージは見たことがありません。

12 steps は take もしくは work するものだと思います。どういう日本語をあてるかは難しいですが「取り組む」なんてのはどうでしょう。「私たちが取り組んできたステップ」であれば、12ステップには実作業が伴うことが想起しやすいのではないでしょうか。
ともあれ「ステップを踏む」という表現が「先ゆく仲間の足跡をたどる」というようなミスディレクションを与えているんじゃないか、ということを考えているのは僕だけじゃなさそうです。

英語なんかわからなくても、AAの本を読んでいれば変な日本語はいろいろ目につきます。印刷されちゃったものは変えられないと諦めずに、次の世代のために変だと思ったら変だという声を出していく責任があると思います。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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