心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2007年03月24日(土) 狂ったベクトル

初めてタバコを吸ったのは、小学生の時でした。
近所の友だちと悪ふざけをし、父のタバコを持ち出して、空き地で吸ってみました。吸い込んだ瞬間に、頭ががーんとなり、目の前が真っ暗になりました。意識を取り戻した後に友だちから聞いた話では、僕はその間に口から気持ち悪い液体をはき出していたそうです。
それでも高校生の頃には立派なスモーカーになっていました。

タバコを吸い始めの頃は、吸うことで軽い酩酊感や浮揚感を味わうことができます。それを味わうために吸い出したのではなく、ただ同年齢の仲間たちに後れを取りたくなかっただけでした。そして、煙っぽいのに慣れる頃には、吸うことの夜気持ちよさはどこかへ消えてしまいましたが、それでも吸うのをやめませんでした。

ときどき経済的な理由でタバコをやめてみて、間をおいて吸い始めると、またあの浮揚感を感じることができましたが、1日か2日でそれも消えてしまいました。僕にとってタバコが「無くてもかまわないけど、あると嬉しい嗜好品」だったのは高校時代ぐらいのものでしょう。あとは依存症で、タバコを切らせば夜中のコンビニまで買いに出かけるのが当たり前でした。

深々とタバコの煙を吸い込んで「プハー」とやれるようになるには、相当な訓練が必要です。わざわざ苦労して依存症になったようなものです。

酒の場合もそうでしたね。飲み出した最初からバンバン飲めたって人もいますが、僕は訓練して酒に強くなったタイプです。そして、飲み出した最初から「もう明日どうなってもかまわない」と無茶な飲み方をしていたワケじゃありません。
翌日二日酔いで苦しまないよう、飲む量を加減し、そして(もっと気持ちよくなるために)その量が増えるように=酒が強くなるように、訓練を重ねたのです。まあ、訓練といっても酒を飲んでいただけですが。
それでも、苦労を重ねて依存症になったことに変わりありません。
酒で失敗をすれば、その失敗を繰り返さないように飲み方を工夫しました。

病気になりたくてなったワケじゃありませんが、振り返ってみれば、病気になる方向へと懸命に努力していた自分の姿があります。飲み過ぎた挙げ句に「正気と狂気の境目」を踏み越えてしまったのではなく、最初のベクトルからして方向が狂っていたにもかかわらず、努力の方向を変えることができませんでした。
ま、自分で方向を変えられないからこそ「無力」なんでしょう。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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