心の家路 たったひとつの冴えないやりかた

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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2006年11月02日(木) クマが多い

夏に子供たちと博物館に出かけたときに、途中の道でサルをみかけました。
走っている車の前を横切って、民家の屋根へと駆け上っていったので、「ほらあそこにサルがいるよ」と子供に教えてあげると、大はしゃぎでありました。
こっちが車の中にいるからこそ、こんな余裕の態度でいられるんであって、それはサファリパークと同じ原理です。
博物館の庭には、ニュートンが万有引力を発見したリンゴの子孫が植えられていたのですが、厳重に鉄柵で囲ってありました。理由を聞くと、サルに食べられないようにと教えてくれました。

サルと会ったという話を、実家の母にしたら「クマじゃなくてよかったねぇ」という反応でした。

本当に今年はクマが出たという話が多いです。毎週のように新聞記事になっています。学校の回りに危ない人がうろうろしているのも困りますが、腹を空かせたクマがうろうろしているのも困ります。
人里へ出たクマは殺すしかないと言われています。山に食料がないから、里に下りてくるので、里で食料をあさることを憶えたクマは、繰り返し里へ下りるようになるからです。罠を使って生きたまま捕獲し、催涙ガスを浴びせて山へ帰す「学習放獣」も行われていますが、無理解な批判をかわすためのパフォーマンスの類です。

今年は駆除数が多いので、猟友会に対してクマ狩を自粛しろと県から要請がでています。でも、猟友会も高齢化が進んでいて、駆除で疲れ果てて狩猟どころの話ではないとか。

それでもクマが増えているわけじゃなく、個体数を維持するのも難しい数になっているという話もあります。少ないはずのクマが人里に多い理由は、山野の荒廃です。

本来クマは人間の手が及ばない山奥の自然林に住んでいるものです。その下には、人間が手を入れる人工林があり、さらに下に野菜や養蚕用の桑を栽培する畑があり、そして一番下に人の住む領域があります。

山が荒れたのは、輸入材木との価格競争に敗れて、国産材が市場を失ったからです。割り箸も中国からの輸入が大半です。ちなみに割り箸は間伐材を使うので、割り箸を減らしても森林破壊を止められるかは大いに疑問です。。
また畑も、養蚕の衰退や農業の高齢化で荒廃が進みました。人が山に入らなくなって、クマに警戒心を起こさせる中間領域が失われ、人間とクマの生活領域がすぐ隣り合うようになってしまいました。

クマが多いのも、サルが多いのも、これ経済問題であります。

子供の頃は、一人で森の中へ遊びに行ったものでしたが、今やそんなことが望める世の中ではなくなってしまいました。

人間とクマ(あるいはシカやサル)は共存はできず、棲み分けをするしかありません。自然破壊ではなく、人間の山からの撤退が、このような事態を作り出したのは、皮肉な話であります。

ニュースで、中国が割り箸輸出に関税をかけるとやっていました。経済成長で、割り箸の国内消費が増え、日本に売る箸がなくなったんですね。


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by アル中のひいらぎ |MAILHomePage


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