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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2004年05月18日(火) しょうじきになったおとこのはなし パソコンを組み立てるときにやるミスで、ありがちなのが「ビスを中に落っことす」というやつです。パソコンの中はカードが挿さっていたり、ケーブルが這っていたりするので、手を突っ込むとたいてい後悔します。見える場所にあれば、帯磁したドライバーの先っちょにくっつけて取り出せばいいのですが、奥へ入ってしまうとやっかいです。
こんな時のために、先っちょに磁石が着いた棒という工具がありまして、僕も百円ショップで買ったのをスチールラックにひっつけてあります。
先日その棒が机の下に落ちていたので、また子供たちがいたずらしたのだろうと、そんなに気にもかけずにいました。しかし、ふと気がつくとパソコンのモニター(CRTディスプレイ)が変色しています。
磁石をテレビに近づけると、テレビの色が変色します。距離や角度を変えると、オーロラのように美しい模様を見ることができます。きっと皆さんも子供の頃に磁石とテレビでいたずらしたことがあるでしょう(ねーか)。でもテレビ画面に近づけすぎると、そこが磁化してしまい、色が着きっぱなしになってしまいます。そして電器屋さんに修理してもらうはめになり、すんごく怒られるわけです。
一応子供たちに「磁石で遊んでねーか」と尋ねてみましたが、口をそろえて「知らなーい」と言っております。なかなか正直者には育ちません。だいたい親のほうが、「おなかが痛いよ」と言われても「大丈夫ひと晩寝れば治るから」と言って寝かしつけ、翌朝「寝たけど治んないじゃないか、うそつき」と言われているようでありますから、なかなか正直と言う美徳は身につかないものであります。
モニターにデガウスという機能があるのですが、何度やっても直りません。
このモニターは秋葉原で買って送ってもらったものですから、販売店に持ち込むわけにもいきません。メーカーに修理を依頼しようにも、「まず梱包材料を送ってもらって、それに入れて送り、修理が終わったら送り返してもらう」という手順で、梱包材も有料なら、送料も全部こっち持ちです。ちなみに、モニターの重さは僕の体重の半分ぐらいです。
もう少し安価にすます方法はないのか、ネットで探して見ました。工具メーカーから こういう工具 が出ていました。7千円なら修理より安いかな。でも こっち のほうが効きそうな感じですが、値段がわかりません。
この消磁器ってのは自分で作れないのかネットで探してみると、確かに作っている人がいました。でも我が家は「部屋の隅っこに要らなくなったトランス」が転がっていたりはしないので、材料購入費が高くついてしまいます。
原理的には、コイルに交流を流すことで、磁界を高い周波数で反転させ、それによって脱磁すると説明してありました。うーん、よく分からないがともかく磁界が反転すればいいのだな。コイルに交流といえば思い浮かぶのがACモーター。ACモーターの中では磁石が回っています。
僕は百円ショップで買った磁石の柄を両手で挟むと、竹とんぼを飛ばすように(キリを揉むように、棒で火をおこすように)回してみました。
「原理的には似てるはずだ。反転の周波数は低いがそこは根性でカバーだ」
しばらくしてコツが判りました。モニター表面に対して円を描くように磁石を回すこと。渦を描くように円の半径を大きくしていくこと。そして、最後はモニター表面からゆっくりと距離を離すことです。キリキリ回し続けること30分。モニター表面からオーロラが消えました。
このようにして僕は人間消磁器になったのであります。
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