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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2003年08月01日(金) ABSI発刊 『ビルはこう思う』が出版されました。1,500円で、例によって一般の書店では手に入りません(AAは出版社ではないからです)。ビルの精選文集です。ビルの晩年に、彼が書いた文章の選集として、さまざまなAAの本や手紙から抜き出され、手直しされた文章です。
ビッグブックや12&12を読まずに、いきなりこれを読むというのは反則なんじゃないかという気もしますが、もともとAAの本はすべて「繰り返し読む」ことが前提ですから、一日に1ページずつ読める本は、手軽でよいかもしれません。少なくとも何も読まないよりもずっと良いでしょう。
もともと1967年に原書が出版されたときには、The A.A. Way of Life(AAという生き方)という題名だったのですが、その後 As Bill Sees It に変更されました。この日本語タイトルがなかなか最後まで確定しませんでした。4個の単語とも中学校で習うでしょう? だから、少しでも英語の心得がある人は、その人なりの考えがでるのです。未訳だった頃の仮題は「ビルの見解」。最初に関西で訳されて「ぶどう樹」に載ったときは「ビルの思い」(だったんですか?)。公式な翻訳の仮題は「ビルの言葉」。さらに案として出されたものは、「ビルの見方」「ビルが残したかったもの」(彼の最後の著作だから)「ビルが見たもの」「ビルのことば」「ビルの思い」。どれも誤訳というものはないでしょうが、最後は「こう思う」に決まりました。
副題は「AAの生き方」です。
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そういえば『今日を新たに』という本の原題は Daily Reflection で、そのまま訳すと「日々の投影」となります。これは一日一ページずつ、AAのテキストからの抜き書きが書かれ、それがAAメンバーの心にどう映ったかをそのメンバーが書いている選集です。ちなみに reflection には黙想とか熟考という意味もあります。原文のニュアンスを伝える訳をとなると難しいですね。
最近の商業出版は、原著者の題名への苦労など無視して、いかに売るかだけで題名を決めちゃうので、面白くないですね。昔は名訳が多かった<『長いお別れ』とか(long goodbye)。
道具90を更新しました。
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