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たったひとつの冴えないやりかた
飲まないアルコール中毒者のドライドランクな日常
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2003年07月17日(木) 信頼 時間泥棒にたくさん時間を盗まれているひいらぎです。
先日、職場のK君が「なぜか知らないけれど頭が痛い」と発言したのでした。おおかた理由は睡眠不足だということはあたりがついているのですが、業務時間中にする無駄話をそんな正論で片付けてしまってはつまらなすぎます。そこで、皆で「きっと虫が湧いているのだ」とか「脳が成長してるんだよ」とか、荒唐無稽な理由をつけて笑っていました。K君は、「いやあ理由がさっぱり思い当たらないのですよ」と受け流していました。
僕もいくつか理由を挙げたのですが、「実は昨日酒を飲んだのを忘れている(に違いない)」という、実は二日酔い説と唱えました。ところが、主語が抜けてしまったせいでしょうか、「僕が」昨晩酒を飲んだ、と勘違いされてしまいました。
そこで、A氏が「なに〜〜〜」といって僕のほうを向いて、驚愕と怒りの顔を見せました。僕もその反応にびっくりです。A氏は僕とほぼ同期の入社で、僕の最後の入院まで知っているたったひとりの同僚となりました。彼は僕の苦労を覚えていてくれて、僕が酒を飲まないことを前提に宴会などの予定を立ててくれる親切な男なのです。そんな彼だからこそ「あんたは飲んじゃダメ」という言葉も、笑って受け止めることができたのです。
彼は「僕が飲んだ」という発言に心底びっくりしたに違いありません。僕が「K君が」という主語を補ってあげると、誤解を解け、そして無駄話はそこで終わりになりました。
少しひねくれた考え方をすれば、「何年経っても飲まないという信頼は得られない」などと嘆いてみせることもできるでしょう。でも僕は彼のくれた心配を、ありがたい思いやりだと思うことにしたのです。
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