天使に恋をしたら・・・ ...angel

 

 

おなじ場所に帰る - 2004年01月11日(日)

寒くて寒くて、ローラーブレイドなんかとても出来る気温じゃなかった。
金曜日は外にごはんを食べに行くのすらデイビッドは嫌がって、ヴィエトナミーズのレストランからデリバリーした。―10℃。カリビアンから帰ったばっかりのデイビッドは「なんでこんなとこに住まなきゃいけないんだろ」って本気で鬱いでた。

古いアパートの窓のひとつからは冷たい空気が入り込むから、ブラインドの上からコートやらジャケットやらをたくさんぶら下げて風を塞ぐ。カヤック用のゴムのスーツをバンザイの格好にその上にかけたら、妙にデコラティブでおもしろかった。

土曜日はデイビッドはお昼過ぎまで少しだけ仕事をしたあと、トレーナーの予約を取ってあるワークアウトに出掛けた。わたしはナターシャを散歩に連れ出して、それからグローサリーのお店に遅いランチの買い物に行った。帰って少し経ったらもうデイビッドは戻って来た。「何に決めた?」「リゾット好き?」「I love リゾット」。それからことことリゾットを作る。キッチンの椅子に座って本を読みながら、ときどきお鍋の中をかき回す。「How good do we have to be?」。それはジューイッシュのラバイが書いた本で、でもそんなことわたしには関係なかった。書かれたことは、わたしが神さまを本当の意味で信じるようになるずっと以前に考えてたこととか、ジーザスと出会ってから確信をもって思うようになったこととか、教会でパスターが話してくれることとか、そんなことにとても共通してた。

デイビッドは、今月の最後の週に連れてってくれるスキー旅行を、インターネットであれこれプランしてた。仕事場から何度もわたしを呼んで意見を求める。リゾットがとっくに出来上がってテーブルに並べてからも。

トマトのリゾットしか食べたことないってデイビッドが言うからびっくりした。わたしの一番の得意はトマトのリゾットだけど、レストランじゃトマトのリゾットなんか見たことなくて、わたしが間違ってたんだと思ってたから。だから作ったリゾットはオリーブオイルをたくさん使ったマッシュルームの茶色いリゾットだった。デイビッドは美味しいっておかわりしてたくさん食べてくれた。

夜はわたしはスタジオのサルサ・パーティに行く予定だった。バンドのライブが入るから楽しみにしてた。デイビッドは何も予定がなくて、だから誘ってみたら「行ってみようかな」って言ってくれてた。

だけどサルサは踊れないからやっぱりやめとくよ、って言い出した。サルサ用のドレスに着替えて見せたら、僕のためにはそんな素敵なドレスを着てくれないのにほかの男たちと踊るためか、って言うから、「そうよ」ってくるくるターンする。腰のところで細い赤いリボンを結ぶ水玉もようのドレスが「贈り物みたいだ」ってデイビッドは笑った。

デイビッドの前では殆どつけない口紅を塗ったわたしに、「気をつけて行っておいで、リップスティックさん」って抱きしめて送り出してくれた。

ライブの演奏は素敵だった。ボーカルの女の人が可愛くて、赤いトップと黒いベルベットの脇にうんとスリットが入った膝下丈のスカートにブーツを履いた格好がシンプルでおしゃれで黒い髪によく似合ってて、歌う声がとても素敵だった。踊りながら目が合うたびにボーカリストさんはにっこり笑ってくれた。先生と踊ったチャチャで、ターンのときの首の回し方を先生の真似して踊ったら、ターンを奇麗に見せるコツを掴んだような気がした。ライブのキューバン・サルサはとても長くて、15分くらい踊り続けるのが楽しかった。ルンバもボサノバもみんなとても素敵な演奏だった。オスカーさんとたくさん踊った。

「You guys danced beautifully」って、知らない男の人がオスカーさんとわたしに言ってくれた。ものすごく嬉しかった。

デイビッドのアパートに戻ったらドアはロックされてて、約束の場所に鍵が置いてあった。もしもデイビッドも出掛けたときの場合にってふたりで決めた場所だった。ナターシャを夜のおしっこに連れてって、それからずっと待った。2時になっても帰って来なくて、ひとりでダンス・パーティに行ったこと怒ったのかなって心配になった。「ねえ、デイビッドはどこに行ったの?」ってナターシャに聞きながら、本の続きも集中して読めなくたった。キッチンでチャイを作ってたら帰って来た。2時半を過ぎてた。わたしが出掛ける前に電話で誘われてた弟の友だちのパーティに、たいくつだから行ってみたって。

抱きついたらコートがひやひやに冷たかった。

「楽しかった?」
「まあね。僕も踊ってきたよ。70’Sの音楽だけどね。きみは?」。

当たり前なのに帰ってきてくれたのが嬉しくて、待ってたあいだの不安がこぼれて消えて嬉しくて、チャイがパーフェクトなタイミングで出来上がったのが嬉しくて、ふたりで違うパーティに出掛けたけど、おなじ場所に帰って来てまた一緒に過ごすのが嬉しくて、くっつきまわってくっつきまわっておしゃべりしながら何度も抱きついた。


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