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2001年11月07日(水) ■ |
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イギリスには、ブッククラブという種類の本屋さんがあるらしい。 どんなのものかというと、店に行くと、店員が席を薦めてくれて、そこで座って待ってるとまた店員がやってくる。それで、店員はこう言う。「今日はどんな本をお捜しですか?」 それに対して客は、求める本のタイトルとか、どんな内容であるとか、作者は誰々の本であるとか、こんな本が読みたいのだが…とか、どんな細かなことでも特徴になりそうなことや読みたい本の条件等を述べるのだ。そうすると、承った店員が、おおよそ客のニーズに合いそうな本を、場合によっては数冊、店内の本棚から探し出して、またそれを持って客のもとに帰ってくる。そして、持ってきた本を薦めてくれるのだ。「お客さま、こんな本はいかがでしょうか?」 要は、一般的な本屋のように店内にある自分の読みたい本を客がレジまで持ってきてそこで店員はただ会計するというスタイルではなくて、ブッククラブでは店員=本の専門家で、その店員が客の求めに応じて様々な本を探し出して薦めてくれると言うものだ。 ただ、あくまで本の選定はその店員個人の価値観だとか趣味、主観に寄るので、人(客)によっては、その店員のセレクトが客である自分の価値観等とあわない時もある。機械的に、店員個人の主観を挟まずにセレクトしてくれる、と言うわけではないのだ。 でも反面、その店員(=店を構えている「本の推薦者」)自体が気に入ったら、次からもその人のセレクトを信じてその店員のいるブッククラブに通い「エッセイを読みたいんだけど、なにかおすすめは有りますか?」と訪ねれば良い。 そういう形体の本屋が、最近では出来始めているようだ。 面白い形体だと思う。実際近くにあったらきっと利用する。 近くというと、最近ではインターネットで手軽に本が買えるようになった。届くのに日数はかかるが、本屋まで行かなくてもウチにいながら本が買える。店で本を手に取る楽しみはなくなってしまうが、ゆっくり本屋には行けないが本が欲しいと言う時等には便利かも知れない。時代はどんどん変わる。 そのインターネットだが、先ほどのブッククラブ、インターネット上でもできるのではないだろうか? すぐに本を手に入れて即日読めると言うことはないが、薦めるだけということでもできるだろう。むしろ無意識にかも知れないが、同じ、本を薦めると言うことをやっている個人はたくさんいる。 そういう個人が集合してどんなジャンルでもカバーできる団体になれば、ネットブッククラブはすぐにでも成立可能だ。 結構よさそうな気がする。
…ちょっとそう言う団体を立ち上げてみたくなった夜。 (度胸と勢いが足りてないが…/苦笑)
この話は大学の講議で長く出版業界に関わっていたというゲスト講師から聞いたのだけれど、彼はこれからの出版メディアをとても心配していた。 活字離れとか業界の不景気、読む雑誌から見る雑誌への変化、インターネット参入に寄る紙媒体の活字のあり方の変化等、本が大好きだと言うゲスト講師の気にかかる問題は多いようだが、それでも彼は未来を憂いてばかりではなく、むしろ期待を持っているようだった。 ブッククラブと言うのもその変化・移行の先にあるものではないかと、彼が例としてあげたものである。
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