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2001年10月02日(火) ■ |
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1700時〜、開学10周年記念式典 大学が開学して10周年になったと言うことで、記念式典が行われた。 それにあわせてであろう作られ完成した能舞台「伝統館」の柿落としも、その式典後に行われた。
あたしたち学生にしてみれば、今後一体何に使う予定があるのか甚だ疑問で何のために作られたのかさっぱりわからない、本館前の能舞台で、その完成記念の柿落としが行われた。 演目は「翁」。 「翁」は、天下泰平、国家安穏、五穀豊穣を祈念する能で、他の能のような物語性を待たず、能が大成される以前の様式を残し、その儀式性の濃さゆえに正月や祝い事等の際に演じられることが多い、らしい。(←式典次第による) この「翁」に限って小鼓が三丁で演奏し、荘重でめでたい雰囲気が盛り上げられる能であるようだ。 三人の舞手、「千歳」「翁」「三番叟」の順に舞が舞われ、最後の三番叟の勇壮かつリズミカルな舞は、足拍子を踏む力強い「揉ノ段」と、種まきを意味する「鈴ノ段」の二段からなる。 翁の用いる面は室町時代に作られた福來作の「翁面」で、三番叟の「鈴ノ段」では黒式尉という種類の面を用いる。 …とは式典次第のくだりであるが、この下地を押さえておかないとどんなものなのだかさっぱりわからない。この次第をうっかりきちんと見ずに観劇に望み、「はあっ?!」となったのは他ならぬあたしである。 もともと能を直に見ることなど初めてのことで予備知識皆無だったのも災いしたかもしれない。 しかし、これが能か、と実体験ができたことはよかったと思う。下手したら年寄りにならないと見に行かなかったり、一生涯見に行かないものであるかもしれないためだ。感想はそれ(「これが能か」)に尽きる。 ついでにいうと、能に加えて、あたしが若いうちに一度は実際に生で見聞きしたいものは、オペラ(「魔笛」)、狂言、歌舞伎、雅楽、である。オペラ「魔笛」は一度有名歌劇団が近くまで来たが、チケット代がひねり出せなかったために行っていない。 災いしたと言えば、その柿落としで「翁」を演じられた時の天候がまた最悪だった。 いっそ見事と言いたいほどの曇天。 誰の目にも雨が降るのは明らかだった。 その上、実際に能の始まった1750時にはもう日が暮れており、寒い、暗いの二重苦。 当然ライトアップはされるが、今にも降りそうな(しかしなかなか降らない)曇天のもと、暗さと、10月だと言うのに底冷えのする寒さに、観客の注意は逸れる逸れる。 帰る時の背後の学生の囁きは、「もー超寒くて能どころじゃなかったよ」。 それにはあたしも心の中で頷いた。 一応学校側から、来賓のためにも毛布が支給され、要領のイイ学生はおこぼれに預かっていたが、それでもビョービョー吹く風と時折降る雨には勝てなかったようだ。(あたしは要領が悪かった…) 悪天候に加えて更に、あたし個人のことなのだが、眼鏡・コンタクトの類いを用意しなかったために、うまく見えなかった。……コンタクトなくしたんだよ!もおっ! そんなわけで。 全体的にも個人的にもコンディションの悪い状況下で行われた人生初めての能は、微妙な体験としてあたしの記憶に残るのであった。 まあちゃんと能は体験して来たんですけどねー(苦笑)
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