QP-Days
くづき



 エリザベート・3回目/井上芳雄ソロコンサート

今日から連休に突入です。
先週の休日出勤分の休みをもらって、帝劇へGO!

本日のキャストは山口・鈴木・パク(敬称略)なの皆さん。
今期は山口トートは2回目、パクルドルフはお初、鈴木フランツはまたか!な
組み合わせなのでしたが、今日はね、パクさん・・・パクさんのルドルフに
マジ泣かされた。
いや・・・ちょっとね、自分でも観ててビックリする位にパクルドルフの孤独や
繊細な心が伝わってきて、非常に良いルドルフでしたよ。

先週までの浦井ルドルフは若いし、その分自分で運命を切り開こうとする気概を
感じる皇太子でした。トートや革命家たちの思惑はあっても、母親であるシシィと
同じ強さを内面に持って外に世界に走り出すような印象。

対してパクルドは『帝国の為に何かしなくちゃ、変えなくちゃ!』と思っては
いても、彼1人では本当に無力で何も出来ない皇太子なんですよ。
ハンガリーでの活動も初めて自分の周りに人が集い、自分を(皇太子の肩書きを)
信じてくれた人たちを裏切れない、そんな感じでなしくずしに動き始めてしまう
ようなのね。馬車の上でニコーッと微笑みかけるトートにも緊張した顔を崩さずに
人々の熱狂にも真摯に応えようとするあたりで、なんかもうダメ。
『ああ、そんな生真面目くんで大丈夫なのかー』と心配させられ、いよいよ
人々の中心で自分の意志で踊り出すところでの、見事なまでに運命の操り人形と
化しているところで更に心配させられ・・・

逮捕された後で名乗るまでの時間がすごく長いのですよ。
活動が失敗した事、出来る事ならこの場から逃げてしまいたい、助けはないのか、
そんな思いがルドルフの頭の中をかけめぐった末に、弱々しい声でようやく
『・・・ルドルフ・・・』
後が続かず、警官に肩を掴まれて手荒く扱われた後で本当に辛そうな声で
『ハプスブルク・・・』って言うのさー(><。
陛下の叱責には元の気弱な青年の姿に戻ってしまったように『わたしは・・・』と
震えたような弱い声で必死に弁解をしようとするのにまた泣かされそうになった。
この弱くて不安定な姿が去年のパクルドルフよりも一段と深みと繊細さを
増していて良かったなぁ。

ママとの対話でパクさんはあんまりシシィを見なくて、自分の世界に隠って
思いを伝えるように見えていたのが気になっていたんだけど、今日はこの
シーンで彼はママに『闇が広がる』でのトートと同じように一緒に踊って
自分に力を与えて欲しかったんだね、という事が彼の動きと全く反応して
くれないシシィに姿のセットでクリアに感じられました。
この辺りにシーンでツツーとくづきの目からは涙が流れてきて、自分でも
「なんでこんなに入り込んでんのよー」と(苦笑)

1人その場に残されて、闇にダンサーズたちが浮かぶまでの短い間。
ルドルフの周りには闇しかない。周囲を見回して怯えたような顔を見せるパクルドルフ。
暗く孤独な世界。

マリー・ヴェツェラかシシィの幻のような女性たち、荒々しく彼を翻弄する
支持者や皇帝の影。誰もルドルフには優しく接してはくれない。
彼の心も身体も容赦なく傷つける存在の中で現れる本当の『闇』。
それが自分の不幸の源だと理解したのか、背を向けて逃げ出すルドルフ。
けれど逃げ切れず捕らえられ、闇に包み込まれる。

ここで空気が変わったな、と思いました。

このシーンでのトートたちの雰囲気ってのは獲物を捕まえた捕獲者としての
怖さみたいなものが出ている事が結構強いと思うのですが、今日の金トートは
不思議と優しい感覚というか・・・
もちろん、死の前から簡単には逃げられなよ、という強さ感じますけれど、
少なくともルドルフの魂の繊細さを無闇に踏みにじる彼にとっての恐怖の
対象ではない、という事が観ていて感じられる『死』でした。
幼いルドルフと別れる時に金トートは少年の手を剣に添えさせてから去って
いくんです。(銀トートはスルッと彼の手を離し、支えを失わせるみたいなの)

あの日の剣の代わりに今度は銃を渡す。

この一連のやりとりでパクルドルフは全てを理解し、『死の愛』ってやつを
受け入れたのかもしれません。
えーと、一応書いておこう。
浦井ルドルフの時はわりと長い間キスしてた金トート。
パクルドにはほんの一瞬、それも軽く触れる位の『死の接吻』でした。
なんだっけ?昔の少女漫画で『少女は花のように散りやすいから、くちづけを
する時はそっとしなくてはならない』とか言う名言があったと思うのですが
ソレを思い出すようなやけにジェントルなトートでしたよ、と。(笑)

この後の霊廟でのシシィの嘆きの歌がルドルフへ優しい子守唄を歌って
あげているみたいに柔らかい声と雰囲気だったのも新鮮だったなぁ。

あれは日本語の判らない人が聞いていたら、お母さんが赤ちゃんを抱いて歌い
かけているみたいに聞こえるんじゃないだろうか。
いままでのシシィの狂気と悲しみが全面に出た歌い方よりも、こっちの方が
更に怖くて哀しい雰囲気です。

今日は中盤までは話の展開というか、物語の空気がちょっと迷走ぎみにみえて
いて『あちゃー。今日の公演はハズレだったかも』と思っていたんですよ。
キャストさんの歌や演技は公演も真ん中過ぎて、良くなってるなーと思って
はいたんです。ただ、個々の感情の伏線の張り方がイマイチよく見えず収拾が
ちゃんとつくかなぁ?と思っていたところに、パクさん登場ですよ。

いやー、彼の登場で一気に物語の歯車が噛み合って、前半でのシシィやトートの
表情や動きにもパーッと色がついていくみたいな感じでした。

『エリザベート』って結局シシィはトートの愛をいつ、どこから受け入れたのか?
ってポイントが判りづらかったり、『死の偉大な愛』ってどういう意味よ?と
いうところが言葉で説明すると難しく、『トートはシシィを愛しているから彼女を
不幸にして、「死=自分」へ近付けようとするんだよ』とか言ってもやっぱり
なんだか違うかも?と思うことが多いのですが、今日はそのトートの愛情表現の
形と意味、それを最終的に理解し受け入れたシシィ、という点は妙にスッキリと
わかるオチになっていたなぁ。

まあ、要は『死の愛』を理解しちゃったシシィって、変な女。ってことなんだな。
もうそんな結論しか出せない展開なのに、感動させられて泣いてる自分は何なんだー!?

一路さんのシシィは先週は強さと光を持った存在としての印象が強かった気が
しましたが、今日は前半と後半で彼女の中の光と影の領域が入れ代わっている
のが見事でした。音楽部分とシシィの精神状態とのシンクロ具合の出し方が
凄いと思うのよ。なんだろな、歌詞の裏の意味を取るとかを超えて、音として
意味を体感しろ!みたいな感覚。
ちょっとここらへんは語りたい、ちゃんと語りたいので、また後で。(オイ、コラ!)

山口トートはとりあえずハンガリーでの『闇が広がる』の声だけなんとかして。
うーん、あれは賛否両論ってか基本は否でしょう!
観ていない、聞いていない方の為にちょっと説明。
ハンガリーでベビーゾフィーの棺が出てくるところで、シシィに怒られますね。
あそこの返しの『♪ふーたーりーでー おーどーったー』のところから、山口さん
変な声で歌います(泣
変な声ってどんな声?と聞かれても『変な声です』としか言えない変な声。
6日に初めて聞いた時は『なんでここで子供の声が?え・・・山口さんの声?
マイクの故障か!?』と思った位に変な声。うーん、ヒキガエルか宇宙人系?
音も抑揚がなく、棒読み的に歌い始めるので客席も微妙にザワつくんだよ。


一応くづきは彼のファンですし、妄想回路搭載のヘッポコ脳の持ち主ですから、
好意的に解釈するならいろいろ言えます。

・霊廟に潜む正体不明の闇から声
 この時点までシシィ自身がトート=死だと理解していなかった。なのでトートが
 憎悪の対象となったあの瞬間はあんな声に彼女には聞こえた

・死んだゾフィの亡霊姿をトートが借りてる
・シシィの神へ信仰の不信が世界を歪ませる

.元々トートは美しい存在ではく、あの声とそれに相応しい姿が本来の彼の姿で
 シシィの乙女回路が娘の死で一瞬外れた

・好きな先生にカエルをプレゼントしたら学級会でこっぴどく叱られてしまい
 ガクブルな小学生

・・・etc。
まあ、いろいろ解釈してもいいけど純粋に今の声は『違う』と思います・・・
怖さ、不気味、醜さ、不可解さなどを出すにしてももう少し声の選びようがある
と思うのですよ、山口さん!
今のはそうした演出的なこと以前に単純におかしく聞こえるのです。トホホ。
6日よりも綺麗な普段のトート声に切り替わるタイミングが早くなった気がする
のは本人もやっぱり気になってる・・・のか?(笑)
試行錯誤で調整中なら早く完成型にしてください・・・

そこ以外はカッコええートートでした。
今日はパクルドとの絡みもあって彼が与える『無垢な不幸』と死の愛の形みたいな
ものはものすごく良く形になっていた気がします。
日本版エリザについて回る『愛と死の輪舞』って意味がストレートにわかった。

文句言いながらも、やっぱり今日もハマって帰ってくるんだ。


夜は井上芳雄くんのソロコンサート。アートスフィアです。
3階の1列目だったので手すりが邪魔で邪魔で(^^;姿を観る為に常に姿勢を
変えなくてはいけませんでした。あの席は観づらいねー。
こちらもサクっと。19日にも行きまーす。
ゲストの笹本玲奈ちゃんとのデュエット曲が良かったなぁ。ってソロコンでしかも
ファンクラブの貸切日なのに女の子とラブラブな歌ばっかりってどうよ!?(笑)
ファントムを二人で歌ったのですが、最後の『♪Sing of me〜』でクリスがどんどん
高音を出していくところを井上ファントムはこの台詞を言わずいっしょに歌って、
二人でアーアー歌っているところがなんかエロくて良かったです。(ええー!?)

井上君は歌ってる時ホントに楽しそうだな。そういうところが好きだ。

トークコーナーでエリザの稽古の話。
久しぶりのルドルフなんだけど台詞もダンスも意外に覚えていて、よしよしと
思っていたのにダンスは自分の時と振り付けが凄く変わったので大変!と。
コレとこんなのとか(と旧ルドルフダンスの振り)なくなっていて、かろじて
コレは残っていたんですけどぅ、それで前に進めとか言われてエエーッ!?
みたいな感じで難しいです。っていいながらハンガリーで革命家たちを率いて
トートに向かって行くところをちょっと踊って(動いて?)くれました。

それと登場シーンでの陛下とのやりとりを1人2役で再現。
『おはようございます、皇帝陛下』『まて!ルドルフ』と台詞と立ち位置を
交互にやってくれて、これは客席大ウケでした。
今日の感じだとやっぱり少しヴォルフMIXなルドになっているのかな?
言いたい事はちゃんと言える、でもちょっと神経質そうな雰囲気・・・って
あんな短いシーンで語るな、って感じですね。(笑)
とにかく復活のプリンス、楽しみです。

ファンクラブアンケートでのサービス曲は去年のソロコンでも歌った『ニーナ』
でした。職人のお爺さんが作った木の椅子を歌った物語的な曲。
しかし井上君が『この歌をリクストしてくれた方ー』って挙手を促したのに
ほとんど手があがらなかったのは何故?(笑)
一応アンケート1位のはずなのになぁ。

今日のコンサートの模様は12月にDVDで発売されるそうです。


明日は帝劇マチソワ、18は仕事と『吉原御免状』、19は井上君ソロコン楽。
充実し過ぎの連休の予定です。





2005年09月16日(金)
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