仕事中。決して暇ではないはずの同僚が、突如大掃除を始めた。そんなもん、年末にやっとけや!そう呆れつつ訊ねてみた。 「どうしたんですか、突然」 「……なんか、突然片付けたくなってね」 もくもくとスチールの棚を空っぽに近づけていく。
その棚に収納されているのはフロッピーディスク。しかも、今はもう滅多に使用しない5インチフロッピーディスクだ。滅多に使用しないとは言っても、すっかり忘れている今頃になって「ずいぶん前にやった仕事なんだけどデータ残ってるよね?」と持ち込まれることもあるので、一応選別をする。 ディスクは燃えないゴミ用の袋へポイ。箱は燃えるゴミ用の袋へポイ! 暇だったワタクシは、箱を潰す係をかって出た。
床に投げ出された箱をぐしゃっと踏み潰す。ところが、これがなかなか潰れないのだ。特に、角は思いのほか強度がある。普通に踏んだだけではそのまま保たれてしまう。う〜ん、この強度では象が踏んでも壊れないかもしれない。100人乗ったらダメだろうが。 ワタクシ愛用の、ドクターマーチンのごつい靴底でガンガン蹴り潰す。 「小さい箱なのに、かなり頑丈なんですね。やっぱりディスクの保護の為ですかね?」 「それ、昔の箱だからだよ。わりと最近の箱は簡単に潰れるよ」 と、示す箱に足を乗せてみる。僅かな力でくしゃっと潰れた。 「ええ?どうして??」 「やっぱりね、バブルの頃は色んなトコに経費掛けられたから、かなあ」 バブル沸き立つ頃は箱も厚い紙を使用して頑丈だったが、はじけてしまえば色んなトコロで経費削減。そのため、保護の為のパッケージもギリギリの強度で我慢。ディスク自体も、厚みが微妙に変わっている。
箱を潰す、という作業だけで、経済の移り変わりを勉強できた。
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