同業者だからこそ通じる呼吸、というか手を抜ける作業というのがある。本来は作業工程上省いてはいけないのだが、往々にしてあるのが、小さな会社ならでは。
ワタクシの勤め先は、印刷会社である。当然、印刷物にはいちいち指示書が付く。「この紙を使ってこの刷り色にして、必要な数はこれだけ、納期はいつまで」そんな内容だ。 だが、小物……納品数の少ない物や名刺、ハガキ、封筒等ほぼ消耗品といえそうな物には簡単なメモ書きが付箋で付いているだけという事がある。例えば、見本品に「増刷なのでこれと全く同じ物を200」と走り書き。もっと酷いときには口頭のみの場合もある。
そんな細かいことは実は日々起きているんだが、本日の出来事にはさすがに感心するやら、呆れるやら笑ってしまった。
封筒の印刷が持ち込まれた。 版下に、使用する封筒も用意され、納期は手が空いたときにチャッっと入れてくれというアバウトさ。(実はそういうアバウトな納期指定が多かったりする)で、肝心な刷り色。 「墨(黒色)でいいんですか?」 「いや、紺っていうか、青?あの、煙草のピースのパッケージ知ってる?ああいう青」 「はあ、ピースの青ですか。はい分かりました」 「じゃ、よろしく」 お客様は、今度は大きい仕事持ってくるからね、と帰っていった。
封筒の印刷を受注したワタクシ、印刷オペレーターに直接持って行く。 「まあ、今週中に刷り上がってりゃOKですよ。刷り色は煙草のピースの箱の青、あんな感じで」 「ふーん。ピースの青ね、分かった」
これで通じちゃう印刷会社。こんな具合に進行していく印刷会社。楽だけど……社会人としてこんな進行でいいのだろうか?笑いの裏にうすら寒いワタクシを発見。
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