「夕日がせなかをおしてくる」
3年生の娘が、国語で詩の単元に入った。 同じ題材。かつて私も3年生で習った。 娘の朗読を聞くなり、ある感情が私の心を支配する。 先生に「うそつき」と濡れ衣を着せられたことを思い出してしまった。
当時8〜9歳の私は、授業でこの詩を上質紙に清書し、 イメージする夕日の挿絵を色鉛筆で描いた。 それを、授業中に完成できなかったので、宿題となり、 翌日、先生の卓上の箱に提出した。 ところが、その翌日先生が、 私の事を「宿題を忘れて知らん顔をしている」とクラスみんなの前で言った。 「出しました」と言っても、取り合ってくれない。 「忘れたなら忘れたと正直に言いなさい」と怒られた。 でも、出したものは出した訳で、家に帰ろうがもう無い。 私は頑張って「ちゃんと出しました」と言った。 先生は「アンタは意地っ張りや」と言った。 …家に帰って泣いたなぁ。 だって、何度言っても頭ごなしにうそつき呼ばわりだよ。 校長すら恐れる、怖いベテラン女教師だった。 数日後、先生が提出物を返還する際に、 私のその「夕日がせなかをおしてくる」が返ってきた。 持ち帰って母に見せると、 「もう一度持って行って”コレのことですよ”と言いなさい」と言われた。 翌日、勇気を出して、先生に言った。 私が期待したのは「あとから出てきたよ疑ってゴメンね」と言う言葉だった。 がしかし、彼女が言い放ったのは、 「失くしたくせにあとで見つけてこっそり先生の机に出したんやろ!」 「アンタはしつこいな」だった。 泣いたなぁ。悔しかったなぁ。 それでも毎日休まず通ったもんね。 先生を信頼せずに、目立たないように目立たないように過した3年生だった。 今じゃありえない風景だね。こんな事問題になるよね。 私はこの先生に、字を書くことを鍛えられたし、ことわざを沢山教わった。 だけど、先生も「人間」で、性格の悪い人も居ると悟った。
これ、忘れられずにずっと抱えている傷なんだね。
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