一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
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第二部 その14
体調があまり良くないのか、オルテガさんは寝ていた・・・。
不思議と事務所の中も前とちがって、コザッパリしていました。 ソファに座って待ってると、オルテガさんがしんどそうに僕の前に座った。
相変わらず大きな頭だった、それとビックリしたのが顔色だった、「真っ黒」になってた、あの時の私は肝硬変だと顔色が黒くなるのを知らなかったし、
「あのー顔が・・・だいぶん焼けましたね・・・」
オルテガさんが、 「そんな俺の事より、のれんわけ、してもらえるんやて、よかったなー」 「コツコツ頑張ってれば誰かが見てるんや、信用、ゆうもんは自分で掴む もんじゃないんやで、人から与えてもらうもんや!信用と書いて用事を信じる つまりや、自分の仕事を迷わず信じて働くってことや!すると誰かが見てるから少しずつ信用してもらえるわけで、これからが勝負やで!」
「それから、おまえの店に行って飯でも食べたいが、それはやめとく」
「ワシらのような人間がおまえの店に出たり入ったりしてたら、ほかのお客さんが来なくなるやろ、それともうーこの事務所にも来るな、店のオーナーがやくざの事務所に出入りしてたら誰が見てるやかわからんからな」
「その代りや、店前に祝いの花輪だけ出さしてもらうわ、」 「尼はやくざの事務所の多いとこや、開店した店は必ず上納金を取りに 来よるからな、ワシの花輪が出てたら誰もよう来んから大丈夫や!」
オルテガさんは、「ちょっと待っとき」と、言って、部屋の奥の方へ行った・・・
またこの次
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