一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。
目 次|過 去|未 来
第二部 その12
親方は言った・・・
「なんで、店をやらせるかわかるか・・・」
「不安材料はいっぱいある、でもただ一つだけ、その一つだけに賭けてみようと思った」
「それは、お前が田舎へ仕送りしながらコツコツ貯めたこと、商売ってもんは金さえあれば誰でもできるが、問題は看板を挙げてから先が大事で日々の生活を派手にせず、軌道に乗るまでは何年掛かろうとも必死で生きる事が大事やな。必死に生きる事やで!お客さんの気持ちも必死に解ろうとする気持ちが大切やな、そんな想いが心に宿る。それから、一度上げた看板は自分の命やからな勝手に下ろしたらあかんで!」
「人は食べる事で生きているが、これからの時代は必ず食べる事に人はもっと贅沢になる」
「早く時代の波に気が付かなあかん!もっと本を読んで、もっと沢山の職業の人と出会い、その人達からいろんな話を聞きなさい、もちろんお客さんもやで!」
私が独立してから親父さんが亡くなるまでの何年間に、たくさんの言葉を頂いた。今でも毎日のように仕事中にも思い出す言葉があります・・・
(仕事におぼれるな、だんだん仕事が小さくなる!) (自分に都合のいいことは、必ずお客さんには都合が悪い)
親方が銀行の保証人になって、当時1000万の借り入れを起こした。
またこの次
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