一平さんの隠し味
尼崎の「グリル一平」のマスターが、カウンター越しに語ります。


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2003年11月21日(金) その42

その42

それからというもの、大将は人が変わったようにトレーニングをした。

43号線沿いの排気ガスでいっぱいの、このジムがいままでと違った

雰囲気になった、ピーンと、張り詰めた空気でした、いちばん奥の

いつもの場所で、汗をビッショリ掻いて大将は頑張った、みんな

頑張った、普段あまり練習もせず、世間ばなしをして帰る連中も

大将にあおられてか、鏡の前でポーズをとっては筋肉をピクピク!

とにかく、みんな頑張った、一人ひとりが心の中で大将にエールを送った。


そんなある日、店に、大将から電話があった、

「赤い焼きそばを、二つジムに持ってきてくれへんか!」

初めてだった、ジムに配達するのが・・・。

「はい!わかりました!大将?まだ練習してるんですか?」

「やってるで!もう終わるけど!・・・」

この時間になると43号線も車が少なくなった、暗い国道沿いの中で

そこだけが灯りが漏れて、中を覗くと、大将ともう一人いた・・・。

「まいどー!一平です!赤い焼きそば持ってきましたー!」

その、もう一人の車椅子の人がこっちを振り向き、

「こんな、遅くにわるかったなー、このジムに通ってるんだって?」

「あ、あはい!」・・・・・・(大将にそっくり!・・・えええまさか!」



         また次の日


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