妻は生クリームのドバッとのったケーキが苦手で、 若いころ喫茶店などで、ケーキといえば〈ミルフィーユ〉を頼んでいた。 薄い破片のようなパイ生地が何層にも積み重なっていて、 全体を数段に区切るように薄くクリームか何かが挟み込まれている感じだ。 私はそのケーキを見ていつも疑問に思っていた。 なぜこれが mille filles 千人の娘なんだろう、、、と。 ある時その疑問から解放された。 millefeuille という綴りを目にしたからである。 娘じゃない、葉っぱだ、「無数の葉っぱ」だ。 謎が解けてみれば、これは実にみごとな命名だと感心してしまった。
由来のわかりにくいお菓子の名前はいくつかあるが、 きょう、あるきっかけで思い出したのが〈モンブラン〉である。 Mont-blanc は、日本語で言えば、「白山」という感じである。 英語でいえば、Mt.White となるのであろうか、、? しかし私は表面の真っ白いモンブランを見たことがない。 上部を覆っているのはマロンクリームらしくて黄色いのがほとんどだ。 山状に作られているのは認めるから、Mont-jaune と命名すべきだろう。 元祖モンブランは、あのマロンクリームの上に、 真っ白の生クリームをドバッとのせていたのだろうか?
もっとも難解なのが、〈ショートケーキ〉である。 昔、何メートルもの長いケーキを作って、それを小さく切ったから ショートなのだろうか? それにしても、何とも味気ない命名ではないか。
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