| 2004年11月17日(水) |
「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」 |
読み始めたのが9月の末ごろで、きょうまでかかって読み終えた。 その間に何冊かの本が割り込んでしばしば中断したし、 本を読まずに映画を見て過ごす夜もしばしばあったし、 そうでなければ仕事しなきゃならんとかで、 長時間費やして読み耽る時間はなかなか見出せなかった。 何日も中断しながら久々に読み継いだりしても、 すぐに作品の中に入ることができたので、積ん読状態にはならなかった。 それは、とりわけ、印象が鮮烈に残っていたからである。 こんなわけのわからない話なのに、なぜか印象的なのである。 そして、割り込んできた本を読み終えたり、忙しさから解放されたりして、 次の本を求め始めると、この本を読みたいという欲求に促されるのだった。
さて、読みながら考えたことなど、いろいろ書こうとして、 いざ何か書こうと思うと、この本について何もまだ書けない自分に戸惑う。 最後まで読んだ今は、ますます何も書けなくなっている。 とにかくおもしろかったから読んだ、、、それだけである。 屈託ない女性陣のどれもが魅力的だった。 物語も、なぜかぐいぐい引き込まれるものだった。 しかし、作品の意味については、もう少し問い直してみなければならない。
せめて、ストーリーだけはまとめておこうかな、と思ったが、たいへんだ。 あるサイトに「あらすじ」を見つけたので、今後の参考に貼り付けておこう。
--------------------------------- この作品は「ハードボイルド・ワンダーランド」の「私」と「世界の終り」の「 僕」の物語が交互に進行していくパラレルワールドになっている。
「ハードボイルド・ワンダーランド」の世界は、計算士が情報を守る組織(システム)と、記号士が情報を盗む工場(ファクトリー)が競合し、情報保護システムを複雑化していた。三年前、組織は単純にして解読不能なデータ・スクランブルの方式を開発するにあたって、大脳生理学の分野で最も有能な博士を選んだ。彼はシャフリング・システムを考案し、人体実験を重ねた後に選び抜かれた「私」を含む二十六人の計算士に、自身の思考とは別のオリジナル思考システムを組み込む。しかし、彼は自分の興味のために、さらに計算士各々の意識の核を映像化し、編集しなおして、第三の思考回路として取り付けていた。その後、「私」以外の二五人は原因不明の死を遂げていた。「私」は稀なモデルとして組織(システム)や工場(ファクトリー)の話題の中心にいながら何も知らされていなかった。そして彼に次々と事件が降りかかる。
「私」は、博士の実験のために第三回路を解放される。「私」の第三回路は、時間もなく生も死もなく自我もなく、一角獣が自我をコントロールしている世界だった。それは「世界の終り」と名付けられていて、何もかもがないのと同時に、失ったものや失いつつあるものがある世界でもあった。博士は「私」自身の思考回路が第三回路に焼き切られる前に元へと戻すはずだったのだが、彼の研究資料が結託した記号士とやみくろによって盗まれてしまい、それができなくなってしまった。このままでいくと、「私」の意識は恒久的に第三回路にはまりこんでしまうことになる。全てを知った「私」の意識が「世界の終り」に至るまで、そして思念の中の不死の世界に至るまであと29時間と35分しかなかった。 この世界の最後の時間を「私」は図書館のリファレンス係で胃拡張のガールフレン ドと過ごす。そして、ついに眠りがやってきた。
「世界の終り」の「僕」がこの世界にやってきたのはほんの何日か前で、季節は春だった。古い世界の記憶を持つ影を引きはがされ、夢読みの資格を与えられた「僕」はそれにより日の光を失い、心をも失おうとしていた。この世界は完璧な高い壁に囲まれていて、街の人々は影も心も持たず、そこは戦いや憎しみや欲望もないかわりに門の外を行き来できるのは一角獣だけであった。
「僕」は夢読みをしながら、引きはがされた「僕」の影に言われたとおりに街の地図を作っていく。森に入った「僕」は壁の脅威にさらされて体をこわし、作った地図を影に渡すころには、獣たちが沢山死ぬ厳しく危険な冬がそこまで来ていた。弱りゆく影にようやく面会を許された「僕」は、彼から街のしくみの実態を聞いた。「僕」は、人々の心が獣によって街の外に運び出され、押しつけられた自我の重みで死んだ獣の頭骨の力が「夢読み」の手によって大気に放出されていたこと、そして心がない完全な人間が街に住み、影を殺せずに心を抱いたものだけが森に追い遣られていたことを知る。影は不完全なものに不完全なものを押しつけて成り立つ完全さを否定し、一緒にこの世界から脱出することを促す。
「僕」はこの街に住む図書館の女の子を愛していた。彼女の母は心を持った人だったが、影も心もない彼女は「僕」の愛に本当の意味で報いることができない。彼女への愛は行き場をなくしていたが、頭骨に刻み込まれた彼女の心を発電所の管理人から譲り受けた手風琴が糸口となって読み取ることができた「僕」は、彼女に心を与えられる可能性を信じる。一度は脱出を決心した「僕」は、この世界を作ったのは自分自身だったと発見し、その責任を果たすべく、ここに残って彼女と森で暮らすことに決める。影は外の世界への脱出口である南のたまりに一人で呑みこまれ「僕」は影を失う。 -----------------------------------
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