ファルージャがたいへんな状況にあるようだ。 ブッシュ再選に後押しされた米軍が総攻撃を仕掛けるのだという。 報道によれば、30万人の市民の大半は市外に避難していて、 数千人の武装勢力が潜伏しているだけだとは言う。 大半、と聞けば安心してしまうが、実は2/3だけだという話もある。 だとしたら、まだ10万人ほどの一般市民が残っているということだ。 そのうちどれほどの人たちが、テロ行為とは無関係なのに、 〈テロとの闘い〉という大義名分の犠牲になるのだろうか?
大統領選はかつてないほどの接戦だったようだ。 半々の、わずかに多い方が当選し、わずかに少ない方が敗北した。 支持されたと言っても半分よりちょっと多い程度だし、 支持されなかったと言っても、半分よりちょっと少ない程度である。 20人の集団で、3、4人でもリーダーを支持しない人間がいたら、 たいへん気を遣うものである。 それが、8人も9人もリーダーの反対者だとしたら、リーダーは半泣きだ。 大統領や首相のようなリーダーは、そういう不支持者の顔や言動を 逐一見聞きせずに済むから、しゃあしゃあとやっていけるのかもしれない。
選挙の勝者は、いつでもそうだが、国民の支持を得た、 政策が全面的に支持されたと、ほくほく顔である。 現実には、投票率も計算に入れれば半数以下の国民の支持しか得てなくても、 そうして、その支持者さえ、政策のどこを見て支持したかはわからなくても、 全面的に国民の支持を得た、ということになってしまうわけである。 真に好ましいことかどうか疑わしい財政もイラク戦も全面的に国民の支持を 得たということになったわけだ。
大統領選は世界が注目していたし、 アメリカの運命だけでなく、世界の運命に関わる問題であった。 それについて、アメリカ国民がどれだけの責任感をもって投票したかはわからない。 ともあれ、その結果のひとつが、きょうのファルージャ攻撃である。 アメリカ国民の3割か4割が、もっと殺しに行け! と投票した。 そして、テロ行為とは関わりなくただ日常生活を営んでいた市民が、 何百人、何千人と命を奪われる。 彼らを殺せと促した人々に、罪や罰は問われない。 もちろん、彼らを殺すようにし向けた張本人にも、罪や罰は問われない。 多数決の原理によって、正義になってしまったからだ。。。
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